同性婚訴訟を巡り記者会見する愛知県在住の原告ら=2月2日、名古屋市中区 同性同士の結婚を認めない民法や戸籍法の規定が憲法に違反するかが問われた訴訟の控訴審判決が7日、名古屋高裁で言い渡される。原告の鷹見彰一さん(仮名、30代)は「一審名古屋地裁判決が出た2年前に比べると、社会の理解が一層進んだ」と期待感をにじませ、パートナーの大野利政さん(同)は「早く解決してほしい」と訴えた。
2016年秋に知り合った2人は、交際を始めてすぐに結婚を意識するようになった。どちらも子ども好きだったが、国内では代理出産が認められておらず、子育ては諦めていた。
翌年、大阪市の同性カップルが、虐待などの理由で親と暮らせない子どもを一定期間預かる「養育里親」認定を受けたことを知ると、19年に認定を受け、23年9月には里子を迎えた。
「台所でご飯を作っているときに、リビングで旦那が子どもと一緒に遊んでいる風景を見るだけで、夢をかなえてもらっていると感じる」と相好を崩す鷹見さん。同性同士の子育てだが、困った経験はほとんどなく、家族で外出しても嫌な思いをしたことはないという。
2人は口をそろえて「幸せです」と語るが、この先にはまだ壁が立ちはだかっている。里子を育てられるのは原則18歳までで、法的な親子関係となる「養子縁組」は、婚姻関係が条件となるため2人は対象外だ。そうした制約を知った時、鷹見さんは「そこでも権利が奪われるのか」と落胆したという。
これまでに出た3件の高裁判決は、いずれも違憲判断を示している。大野さんは、同性婚を巡る世論など社会情勢について「良い方に向かっている」と述べ、「(今後)いろんな生活の変化がある。いい判決結果が欲しい」と期待を込めた。