子猫期【今日のにゃんこタイム〜○○さん家の猫がかわいすぎる Vol.160】
2024年7月11日、キャリーさん(@d4w5mvnpHM2Aans)は、最愛の家族を亡くしました。天国へ旅立った愛猫マメくんは、16歳11か月もの時間を共に歩んできた、かけがえのない存在でした。
「しばらくは、毎日泣いていました。家にいると、マメがふっと出てきてくれるような気がしました」
◆愛車のタイヤの上にいた生後1か月の子猫を保護
マメくんは、駐車場に停めていた愛車のタイヤの上で鳴いていた子です。まだたった生後1か月ほどであった体はとても小さく、ノミだらけ。人間を警戒し、飼い主さんを威嚇しました。
保護後は、すぐ動物病院へ。健康状態を調べてもらい、ノミ駆除薬も処方してもらいました。
クリクリとした目元はまるで、鳩が豆鉄砲をくらったような顔に思え、名前は「マメ」に決定。当時、自宅には先住猫が2匹いたため、1週間ほどはケージの中で過ごしてもらいました。
最初こそ威嚇していたマメくんでしたが次第に慣れ、触らせてくれるようになったとか。心を許してくれてからは、すっかり人懐っこい性格に育ちました。
「後をついてきたり、時々『ワン』と鳴いたりしたので、犬なのかな?と思うこともありました(笑)」
◆同居猫のエリザベスカラー姿がストレスに…!
穏やかで優しいマメくんには、繊細な一面もありました。飼い主さんが驚かされたのは、先住猫がエリザベスカラーをしたときの反応です。
「怖がって食事ができず、具合が悪くなってしまいました。慌てて病院に連れて行ったら、ストレスが原因だと。肝臓の数値が高くなっていて、あと1日遅かったら命が危なかったとまで言われました」
その後はしばらく通院するも、今度は病院に行くストレスで体調不良に。獣医師からは「この子は病院に来たほうが体調不良になるので、連れてこないほうがいい」とも言われました。
そんな成猫期を過ごしながらも、飼い主さんとの二人三脚によって、マメくんは“シニア猫”になるまで年齢を重ねていきました。
1日でも長生きしてほしいと願う飼い主さんは、腎臓サポートのフードを用意するなど食事面にも気を遣いながら、一緒に過ごせる時間を大切に積み重ねていきました。
◆ともに「甲状腺機能亢進症」の治療に励んだ日々
体調に大きな変化があったのは、2024年3月のこと。マメくんは突然、食事ができなくなりました。
通院にも大変な負担が伴うため、飼い主さんは往診専門の獣医師を呼び、検査をしてもらうことに。すると、「甲状腺機能亢進症」と診断されました。
甲状腺機能亢進症は、甲状腺のホルモン過剰によって発症する病気です。
10歳以上のシニア猫でみられることが多く、「よく食べるのに痩せる」「多飲多尿」「落ち着きがなくなる」などの、様々な症状が現れる病気でもあります。
マメくんは投薬治療をしながら、経過観察することになりました。治療開始から2か月ほど経つと数値が落ち着いたため、飼い主さんはほっと一息。
しかし、今度はめまいやふらつきといった症状が現れてしまいます。薬の副作用が疑われる症状であったことから、減薬して様子を見ることになったそうです。
「薬を減らすとふらつきは収まりましたが、次第に肝心な甲状腺の数値や腎臓の数値が悪くなってしまいました」
病気の発覚から5か月ほど経った2024年7月には、衰弱した様子に。飼い主さんは1日置きに往診を頼み、点滴をしてもらったと言います。
しかし、7月11日、マメくんは眠るように息を引き取りました。最愛の家族を天国へと失ったことで、飼い主さんはペットロスに陥ってしまいます。
「外出しても、理由もなく涙が流れ、止まりませんでした。マメは帰宅時にいつも出迎えてくれていました。あの子が玄関にいない現実に、涙が止まらなかったんです」
◆うちの子クッションが“猫型の穴”を満たしてくれた
心と体に寄り添ってくれていた愛猫がいない――。その深い悲しみから抜け出すきっかけをくれたのが、SNSのフォロワーさんから教えてもらったという「うちの子クッション」でした。
実はそのフォロワーさん自身も、愛猫の写真でリアルな猫クッションを作り、心を癒していたそう。
「すぐに注文しました。クッションが届いた時は、マメが帰ってきてくれたようで本当にうれしかったです」
飼い主さんはこのクッションを、マメくんがいつも座っていたソファーに置くことで、「近くにいてくれる」と感じられるようになり、心が救われたそうです。
「ほとんど泣かなくなりました。マメのクッションとは毎晩一緒に寝ていますし、旅行にも連れて行っています」
愛猫を大切に思うほど、ペットロスの傷は深くなるもの。この先、飼い猫の長寿化が進むにつれ、ペットロスによる苦しみはより深刻化する可能性もあります。
そうした時、ぽっかり空いた“猫型の穴”とどう向き合い、どう最愛の子を弔えばよいのか――。
愛おしく思う命に対峙する心の重みや痛みに、種の違いはあるわけがありません。大切な家族と過ごせるこのかけがえのない日々を、大切に噛み締めなければと今一度思わされます。
<取材・文/愛玩動物飼養管理士・古川諭香>
【古川諭香】
愛玩動物飼養管理士・キャットケアスペシャリスト。3匹の愛猫と生活中の猫バカライター。共著『バズにゃん』、Twitter:@yunc24291