
マンション経営をしているAさんは、20戸もの物件を所有しているにもかかわらず、空き部屋が埋まらず収入が思うように上がらず悩んでいました。適切に部屋をリフォームしたり、家賃を相場より安くしたりしても、思うように入居者が現れないのです。
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そんな中、知人から「出張でAさんのいる場所の近くに来る予定なのに、ホテルが満室で困っている」と連絡を受けます。困っている知人に対してAさんは空き部屋をひとつ貸す約束をした時、「これはビジネスになるのでは?」と思いつきます。
さっそくAさんは、知人を中心に口コミで広めて空き部屋を利用した民泊ビジネスを開始すると、予想以上の反響がありました。ビジネス客や観光客など、さまざまな人が利用し始め、空き部屋問題が一気に解消されたのです。
しかし、この状況を知った友人のBさんは「無許可での宿泊施設運営は違法であり、罰則の対象になる」と忠告します。ところがAさんは「バレなければ大丈夫」と軽く受け流して、無許可のまま民泊ビジネスを続けようとしています。もしAさんがバレてしまうと、どのような罰則が科せられるのでしょうか。まこと法律事務所の北村真一さんに伺いました。
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ー無許可で宿泊施設を営業するとどんな罰則が科せられるのでしょうか。
民泊経営を始める際には、法律に基づいた適切な許可や届出を取得することが不可欠です。Aさんのように「民泊」を営業する場合、以下の3つのうちいずれかの法律に基づき宿泊施設の許可・届出が必要です。
・民泊新法(住宅宿泊事業法):民泊サービスを健全に運営するために定められたルール、年間180日以内の営業で、届出をした場合
・旅館業法:宿泊サービス業に対する規制を定めた法律、180日を超えて営業する場合、住宅以外の施設で営業する場合
・国家戦略特別区域法(特区民泊):特定の地域で家やアパートを宿泊施設として利用できる制度、特定の地域でのみ適用される特別な制度
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一般的に、事前相談、必要書類の準備、申請・届出、審査を経て許可・届出が取得できます。
許可を受けるのにかかる労力や時間は、選択する法律や地域によって大きく異なるものの、旅館業法による許可取得で数カ月から半年以上、民泊新法による届出でも1〜2カ月程度はかかると考えられます。民泊仲介サイトに登録する際も、許可・届出は必要です。
面倒だからといって許可・届出を得ずに宿泊施設を営業すると罰せられる可能性があります。
ー具体的にはどのような罰則ですか
旅館業法第10条に則り、最大6カ月の懲役もしくは100万円以下の罰金が科せられる場合があります。
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また実際に、2017年に旅館業法違反(無許可営業)の疑いで、民泊営業者の男性らが書類送検される事案も起こっています。市からの行政指導を無視して営業を続けていたことから、警察の捜査につながったようです。本件では市は営業を停止するよう再三にわたり行政指導をおこなっていました。行政指導にはほかに、許可や届出の取得要請、施設の問題点の指摘などもありえます。
部屋が空いているからといって、安易に民泊を始めるのは避けるべきです。適切な手続きを踏んで、正しい営業を心がけてもらいたいです。
◆北村真一(きたむら・しんいち)弁護士 「きたべん」の愛称で大阪府茨木市で知らない人がいないといわれる大人気ローカル弁護士。猫探しからM&Aまで幅広く取り扱う。
(まいどなニュース特約・長澤 芳子)
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