給与明細を買い取る「給与明細買取屋さん」が語る、忘れられない"お仕事人"とは?

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2025年03月10日 06:40  週プレNEWS

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給与明細買取屋さん 某企業のオーナー社長。労働時間1日1時間。本業のかたわら、21年から給与明細を買い取り、Xで公開する活動を開始。フォロワーは11万人超。【@kyuyokaitori】

よくニュースになっているように、いわゆるJTCと呼ばれる伝統的な大手日系企業における新卒初任給のアップは最近の傾向のひとつです。そのためJTCで働く20代後半の年収は総じて高め。

ただ、新卒の給料が上がった分、元からいた社員の給料も上がったかというとそうでもなく、「5年も働いているのに新卒と同じ給料で不満だ」といった声もちらほら耳にします。

また、業種や職種に分けて俯瞰した場合、一般的なイメージと比べて意外と給料が高いと感じたのは、外資IT企業の営業職ですね。30代や40代で年収2500万円の人が何人もいますから。

実際に買い取った給与明細から振り返ってみると、転職5年目で年収2400万円の30代男性、20代後半で年収3160万円を稼ぐ女性などの例があります。

逆に、思いのほか給料が低いのは、勤務医師と地方公務員です。大学病院の勤務医師の場合、ストレートで医学部に進んだ人でも30歳で年収1000万円ほど。しかし当直などもあり、会社員の2倍に相当する月300時間労働でこの数字ですから、さすがにキツいですよね。

一方、地方公務員の買い取り事例では、大卒の30代前半男性で年収450万円という消防士や、同じく大卒の30代男性で入職10年目の市役所職員が年収480万円という例がありました。

よく聞かれるのは、年収が高い人と低い人、それぞれの共通点です。しかし、個人の能力は年収への影響度が少なくて、実はどの業界に属しているか、そしてその業界のどんな会社に属しているかに大きく影響される印象を受けます。

前述のようにIT系には年収の高い企業があるわけですし、逆に介護や保育などの福祉系は年収が低い傾向があるんですよ。

都内のある保育士が、転職エージェントに同じ職種で年収400万円超を希望したところ、「そんなに高給な求人はない」と言われてしまった実例もあります。社会的な価値もまた、収入とは比例しないと言っていいでしょう。

そのほか、最近買い取った給与明細の中から、とりわけ印象的だった例をいくつか挙げてみましょう。

まず、某日系企業の20代男性で、年収1400万円の方がいました。3年連続年収1000万円超えだそうですが、仕事は「まったく面白くない」と言っている。でも、ほかの会社ではこんなに稼げないので転職するわけにもいかず困っていました。

日系システム開発会社でコンサル営業を担当している20代の女性も興味深い例でした。年収は1000万円。完全テレワークで毎日昼まで寝られるくらいの仕事量だというので驚きました。ネットに出回ってない穴場系の会社といえます。

また、教員のブラックな労働環境がよく話題になりますが、偏差値が高い名門ほどホワイトな職場が多いようです。極めて偏差値が高い私立男子校の20代の男性教員は年収770万円だった上に、詳細は言えませんが各種の賄賂でかなり潤っているようでした。

そして外資系企業で1日6時間労働ながら、年収900万円を稼ぐ23歳の男性。大学卒業後にすぐ、年齢が評価に直結しない外資に入った事例で、この方は環境を生かして巧みに英語力を養っていました。

最後になりますが、収入を増やす最も手っ取り早い行動は、会社に期待するのではなく、転職と副業です。多くの転職事例を見てきましたが、給与や労働環境の改善に成功した人がほとんどでした。今後のライフプランの参考にしていただければ幸いです。

文/友清 哲

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