写真はイメージです―[FIRE投資家が教える「お金・投資」の本質]―
東京23区の中古ワンルームマンション中心に不動産投資を展開。現在、38戸の物件を所有し、資産額10億円、年間家賃収入4000万円の個人投資家・村野博基氏。村野氏が実践する「無敵」の負けない投資は「複利の効果」を「最大化させること」に極意があると言います。村野氏が改めてなぜ「複利の効果」を重要視しているのかを解説していきます。
◆「複利の効果」を正しく理解していますか?
私は負けない無敵の投資を考えて「不動産投資」にたどり着き、2004年から物件を買い始めて現在では年間約4000万円の家賃収入にまでなりました。ただ、私が不動産投資の話をすると「2000年代で不動産価格も低く、時期がよかったのが勝因」や「不動産価格は大分上がっているし、今からは無謀では?」というコメントをもらうことも少なくありません。確かに今よりも低い価格かつ、良い利回りで物件を取得できたことは否めませんが、たとえ今から始めてもこの規模にするのに20年かかったのが25年か30年か、になるだけだと考えています。私はインカムゲインの拡大を目指す投資家でキャピタルゲインはおまけ程度にしか考えておらず、期間さえかければ規模を拡大させていくことが可能です。そのために大切なことは「複利の効果」を最大化させる投資行為を行っていくことだと思っています。
金融商品の利息の付き方には「単利」と「複利」があります。1.1倍になる商品を単に2つ買うと、増えるのは0.2部分だけの「単利」ですが、1.1倍になったものをさらに再投資すると「1.1倍×1.1倍」で増える部分が0.21になるのが「複利」です。
複利自体はご存じかと思いますが、「複利の効果」を正しく理解するために、ここでみなさんに質問です。今ここに「毎年10万円払って10年後に250万円もらえる商品A」と「はじめに100万円を支払い、10年間毎年20万円もらえる商品B」があったとき、どちらに投資したいでしょうか?
なお、条件は以下です。
・リターンは保証
・税金は考慮しない
・年初に入出金が発生
・何個でも何回でも購入可能
両方とも持ち出しの資金は100万円だとすると、それに対し商品Aは10年後に250万円もらえますが商品Bは10年間毎年20万円ですから合計200万円。パッと見のリターンは商品Aの方が大きいので、前者を選ぶ人が多いのではないでしょうか。
しかしこの2択であれば、実は商品Bを選ぶのが正解です。この時大事なポイントは、リターンの額ではなく「リターンが保証されていること」「何個でも何回でも購入が可能」。つまり「元本の制約がない」という点です。
◆長期的にみて“大きな差”となるのは?
例えば、商品Aを2つ買って10年間持っていた場合には投じたお金は200万円、トータルリターンは500万円なので利益は300万円です。一方、商品Bを2つ買っていた場合には3年目には120万貯まるので次の商品Bが買え、手元には残金20万と新しく購入した商品Bから貰った20万の計40万円が残ります。
4年目には3つの商品Bから60万と手元の40万を使ってさらに商品Bを追加購入し計4つと残金20万に。5年目では入ってきた80万と手元の20万を使って5つめの商品Bを購入し、残金が20万となります。6年目からは購入をしないとすると、5つのBから計100万円×5年と手元残金20万で”手元に残るお金は520万となり、リターンは商品Bに軍配が上がるのです。
毎年10万円払って10年後に250万円もらう商品は、いわゆる投資信託やETFなどの積み立て投資のようなものが該当するでしょう。キャピタルゲイン型で市場が伸びていくときには資産は増えるとは思います。
一方で、はじめに100万円を支払って10年間毎年20万円もらえる商品はインカムゲイン型で株式投資の配当や銀行預金の利息や家賃を貰うことを目的とする不動産投資が該当するでしょう。この形の商品の場合には「複利の効果」が活用できます。はじめに購入しそこから産まれるリターンを再投下することによりさらなるリターンを得られるわけです。これを長期的に行えば大きな差になるのです。
◆「複利の効果」は長く続けると投資効果がより大きくなる
私自身は途中で売却などはしておらず一貫して物件を保有し続けるとともに、基本的には毎年1〜2戸は購入してきました。継続して得られたリターンを再投下することで、より資産の規模も増えることになります。続けることによって、毎年のリターンが増えて「複利の効果」もより大きくなっていくのです。
昨今では人生100年時代とも呼ばれています。最初に「収入>支出」という状態を作り出し、差額を再投下して複利の効果を活用することで長い人生を最大限に活かすことができます。
誰しも“今”の“現時点”が一番若いものです。投資をするときにこそ、キャッシュフローがプラスの状態で時間(期間)を味方に付けていること、が大事だと考えています。「複利の効果」は最初は微々たるものなのですが、年月が経つとより大きくなります。是非今一度、計算してみると面白いのではないでしょうか。
構成/上野 智(まてい社)
―[FIRE投資家が教える「お金・投資」の本質]―
【村野博基】
1976年生まれ。慶應義塾大学経済学部を卒業後、大手通信会社に勤務。社会人になると同時期に投資に目覚め、外国債・新規上場株式など金融投資を始める。その投資の担保として不動産に着目し、やがて不動産が投資商品として有効であることに気づき、以後、積極的に不動産投資を始める。東京23区のワンルーム中古市場で不動産投資を展開し、2019年に20年間勤めた会社をアーリーリタイア。現在、自身の所有する会社を経営しつつ、東京23区のうち16区に計38戸の物件を所有。さらにマンション管理組合事業など不動産投資に関連して多方面で活躍する。著書に『43歳で「FIRE」を実現したボクの“無敵"不動産投資法』(アーク出版)