薄型2in1タブレットPCだけどモンハンワイルズも快適! Ryzen AI Max+ 395搭載の「ROG Flow Z13(2025)GZ302」を試す

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2025年03月10日 12:11  ITmedia PC USER

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今回レビューする「ROG Flow Z13(2025)GZ302」は、CPU(APU)としてAMDの「Ryzen AI Max+ 395」を備える。

 ASUS JAPANの「ROG Flow Z13(2025)GZ302」は、13.4型のコンパクトなフォームファクターでありながら、強力なゲーミング性能を備えたゲーミング2in1タブレットPCの最新モデルだ。


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 この最新2025年モデルでは、先代の2023年モデルからスペックを一新し、CES 2025で発表されたばかりとなるAMDの最新プロセッサ「Ryzen AI Max 300シリーズ」(開発コード名:Strix Halo)を搭載している点に注目だ。


 Ryzen AI Max 300シリーズは、最大16コア32スレッドのCPUコアに加えて、これまでのAMDのプロセッサとは一線を画す最大40コアの強力な内蔵GPUと、50TOPSのNPUを統合しており、どれだけのパフォーマンスを発揮できるのかが気になるところだ。


 実機を入手したので、内容を詳しく見ていこう。


●近未来的な外観の2in1タブレットPC


 ROG Flow Z13(2025)GZ302は、キックスタンドで自立し、デタッチャブルキーボードを装着するとノートPCとしても使える2in1タブレットだ。


 13.4型の画面を搭載するボディーのサイズは、約300(幅)×204(奥行き)×12.9〜14.9(厚さ)mm、重量は約1.2kgだ。画面カバーを兼ねるデタッチャブルキーボードを装着すると、重量が約1.59kgに、厚さが約18.7〜20.7mmになり、タブレットとしてはかなり重厚なボディーになる。


 ディテールにこだわった、近未来的な外観も印象的だ。裏面にはサイバーなパターンと共に「シースルーウインドウ」と呼ばれる透明窓を装備する。内部の基板をRGB LEDでライトアップして楽しめる。


●強力なGPUを統合するRyzen AI Max+ 395を搭載


 今回利用した評価機のCPUは、シリーズで最上位のRyzen AI Max+ 395を採用している。


 CPUコアとして、Zen 5コアを16基(32スレッド)備えると共に、40コアを搭載するGPU(Radeon 8060S Graphics)、50TOPSのAIパフォーマンスを持つNPUを統合している。


 このRadeon 8060S Graphicsの40コアというのは、CPU(APU)内蔵GPUとしては画期的なスペックだ。Ryzen AI 9 HX 375に内蔵されているGPUであるRadeon RX890Mは16コアであり、2.5倍にもなっている。


 Radeon 8060S Graphicsは、専用のグラフィックスメモリを持たない。メインメモリ(ユニファイドメモリ)をCPUとGPUでシェアして利用する。そのため、GPUの性能を引き出すにはメインメモリ(ユニファイドメモリ)の帯域と容量も重要になるが、本製品ではLPDDR5X-8000を32GB実装している。ノートPCのメインメモリとしてはかなり高速な部類で容量も十分といえるが、実際のパフォーマンスは後で試すベンチマークテストで検証しよう。


●ハイスペックなディスプレイを採用 クアッドスピーカーも内蔵


 13.4型の液晶ディスプレイは、2560×1600ピクセル表示をサポートする。画面輝度は500ニト、コントラスト比は1500:1、色域がDCI-P3比で100%、リフレッシュレートは180Hz、応答速度3msとスペックは高い。スピーカーもクアッド仕様で、迫力のあるサウンドでゲームやエンタメを楽しめる。


 通信機能としては最新のWi-Fi 7を備え、Bluetooth 5.4にも対応する。USB4対応を含めた3基のUSB Type-C端子、HDMI出力、ヘッドセット端子(ハイレゾ対応)など端子も豊富に装備している。


 なお、過去のROG Flowシリーズが備えていたGPUユニット「ROG XG Mobile」との接続インタフェースは省かれている。


●高画質カメラを装備 Copilot+ PCならではのローカルAI機能も


 液晶ディスプレイの上部には、インカメラとして約503万画素の高画質Webカメラとノイズキャンセリング機能対応の3Dアレイマイクを内蔵している。インカメラにはWindows Hello対応のIRカメラも統合されており、顔認証によるノータッチログインが可能だ。


 アウトカメラは約1312万画素と超高画素で、最大4096×3072ピクセル(アスペクト比16:9の場合は3840×2160ピクセル)の写真、2160p(30fps)の動画撮影にも対応する。


 インカメラはWindows スタジオ エフェクトによる背景ぼかしやアイコンタクトなどのカメラ効果が利用できる。この機能には、CPUに統合されているNPUを活用する。さらに近い将来には、現在Windows 11のプレビュー版やArm版に実装されているさまざまなローカルAI機能も近日利用可能になる予定だ。


●並のデスクトップPCを圧倒するCPUマルチスレッド性能


 それでは、ベンチマークテストの結果を見ていこう。特に言及がない限り、Armoury Crateユーティリティーで選択できる動作モードは「Turbo」、GPUモードは「Ultimate」、Windows 11の電源設定は「最適なパフォーマンス」を選択している。


 CPUの馬力がストレートに現れるCINEBENCH R24のCPUスコアは1653ポイント、CINEBENCH R23のCPUスコアは2万9826ポイントだった。さすがにオールZen 5コアの16コア32スレッド仕様であり、並のデスクトップPCを圧倒するインパクトの大きなマルチスレッド性能だ。


●内蔵GPUの常識を覆すグラフィックスパフォーマンス


 注目のGPUパフォーマンスを見てみよう。3DMarkでは、Time SpyやSteel Nomad LightでNVIDIA GeForce RTX 4070 Laptop GPU(グラフィックスメモリは8GB)搭載機に迫る一方、レイトレーシング(DirectX Raytracing)を利用するPort RoyalやSpeed Wayでは、かなり離されている。レイトレーシング性能を除けば、一流のパフォーマンスを持っているといえそうだ。


 また、Steel Nomad Lightのスコアは、Ryzen AI 9 HX 370(Radeon RX890M Graphics)搭載機と比べると3倍近いスコアをマークしており、GPUのコア数(2.5倍)以上の結果だ。2.5倍よりもスコアの差がついている理由としては、ゲーミング向けの本製品と、薄さを追求した一般向けの「ZenBook S 16」(Ryzen AI 9 HX 370搭載)との熱設計や電力設定の違いが出ているのだろう。


 FINAL FANTASY XIV:黄金のレガシーベンチマークでは、最高品質で「とても快適」評価のスコア、モンスターハンターワイルズベンチマークでは、FSRフレーム生成有効ならフルHDのウルトラ設定で、FSRフレーム生成なしでもフルHD解像度の中画質設定で平均60fps以上をマークしており、一般的な描画負荷のゲームなら快適に、かなり描画負荷の高いゲームでもそれなりのプレイができる実力があることが分かる。


●モバイルゲーミングの新たな可能性を実感できる意欲作


 これまでみてきたように、ROG Flow Z13(2025)GZ302は、コンパクトなタブレットPCでありながら、ハイエンドデスクトップPC並のパワフルなCPU性能とグラフィックス性能を合わせ持つ。Ryzen AI Max+ 395のポテンシャルをまさに実感できる製品であり、モバイルゲーミングの新たな可能性も感じさせる製品となっている。


 今回レビューした、評価機と同等構成の中位モデル(GZ302EA-AI916C)の直販価格は44万9800円だ。CPUがRyzen AI Max 390になる下位モデル(GZ302EA-AI912C)でも37万9800円と、かなり高価だ。


 むしろ、このレベルの金額を使える層にとっては、64GBメモリで46万9800円の最上位モデル(GZ302EA-AI916C64G)が最もコストパフォーマンスの良いと感じられるかもしれない。



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