自民党は3月8日、7月の参院選比例代表に杉田水脈元衆院議員(57)を擁立すると発表した。この自民党の方針に波紋が広がっている。
杉田氏は’12年に日本維新の会から衆院選に出馬して初当選し、’17年と’21年は自民党公認で衆院比例中国ブロックで当選。しかし、昨年4月に’18〜’22年の収支報告書への不記載額が1564万円に上ったことで党の役職停止6カ月の処分を受け、昨年10月の衆院選は立候補を辞退。なお、衆院政治倫理審査会で弁明はしていない。
今回の公認に対し特段疑問視されているのは、過去の発言だ。杉田氏は’16年に国連の会議に参加した際に、《チマ・チョゴリやアイヌの民族衣装のコスプレおばさんまで登場》などと写真付きで自身のブログに投稿。さらに、’18年7月発売の月刊誌『新潮45』で、同性カップルに対し「彼ら彼女らは子供を作らない、つまり『生産性』がない。そこに税金を投入することが果たしていいのかどうか」などと寄稿し、批判を集めた。
杉田氏は’22年にこれらの発言を謝罪・撤回。しかし、’23年には札幌法務局と法務省が’16年の発言について人権侵犯だと認定した。
■杉田氏の発言に石破氏は「これでどれほど傷ついた人がいるだろうか」
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3月9日に東京都内で開かれた党大会では、ダンスパフォーマンスに乗って参院選に公認された候補者が続々と登壇。杉田氏は石破茂首相と握手を交わし、会場に手を振る杉田氏に石破首相は拍手を送った。
しかし、この石破首相の姿には違和感がーー。なぜなら、自民党総裁選直前の’18年9月17日、 TBSの『NEWS23』に安倍晋三元首相と石破首相が出演した際、石破首相は杉田氏の比例擁立を強く疑問視していたからだ。
「当時、杉田氏が月刊誌『新潮45』に同性カップルは”生産性がない”などと評し、国内外から大きな批判を浴びていました。同誌は廃案に追い込まれるほどのインパクトにも関わらず、杉田氏は衆院選中国ブロックの比例第1位でした。
番組内でそのことが問題提起されると、安倍元首相は『私の夫婦も残念ながら子宝に恵まれていません。だからと言って生産性がないというと大変辛い思いに、私も妻もなります』としながらも、『まだ若いですから、そういうことをしっかり注意しながら仕事していってもらいたい』と当時51歳だった杉田氏を擁護。
それに対し、石破氏は『全く正しいことだとは思わないし、多様な意見があるだからいいんだという自由民主党であっていいとは私は思わないですね。これでどれほど傷ついた人がいるだろうか』と厳しく指摘。さらに『この方、中国ブロックの比例第1位です。我々中国地方が出してるということになってるわけです。それは本当にいいことだろうか』と問題視し、杉田氏擁立の経緯を党が明かすべきだとの考えを示しました」(全国紙政治部記者)
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同番組内で、「自民党は多様性を尊重している」と、党の”多様性”を盾に杉田氏の比例第1位を正当化しようとした安倍元首相に対し、「私はそんな自民党であってほしいとは思わない」と切り返していた石破首相。
そんな石破首相がトップを務める自民党が決断した杉田氏の公認について、Xでは自民党への批判とともに、石破首相への落胆が広がった。
《裏金と差別発言の杉田水脈氏を今回公認するに至った経緯は説明すべき》
《石破さんには少しは期待していました。しかし、杉田さんに公認を与えたことで、私の期待の糸はプッツンと切れてしまいました》
《彼女のこれまでの言動は、政治家である前に人としてどうかと思われる。自民党は本当に人材不足なんですね》
党大会では笑顔の杉田氏を見つめながら拍手を送った石破首相。その胸中には何があったのだろうか。
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