福岡県が助成する健康事業「ケア・トランポリン運動」を巡る汚職事件で、2023年度の県当初予算案の可決などでも便宜を図った見返りに現金約2700万円を受け取ったとして、県警は10日、元県議の片岡誠二容疑者(58)=同県中間市=を収賄容疑で再逮捕した。片岡容疑者は別の収賄容疑で2月に逮捕されており、県警が賄賂と認定した総額は約5500万円となった。贈賄容疑で逮捕されていた北九州市の健康器具製造販売会社の男性社長(66)は釈放されており、任意で捜査を続ける。
ケア・トランポリンは手すり付きの円形の跳躍器具(直径約1メートル)。県は高齢者の健康づくりの一環として19年度から、市町村が関連の健康教室を開く際の費用を全額補助しており、関連の助成予算として22、23年度はともに約1億7800万円を計上。23年度は県立特別支援学校での教室開催なども補助対象に広げていた。
再逮捕容疑は、健康事業を巡り、県議だった片岡容疑者は23年度の県当初予算の審議で助成予算案が可決されるよう便宜を図り、その見返りなどとして男性社長から23年4月24日ごろ、現金2718万円を受け取ったとしている。県警は認否を明らかにしていない。
関係者によると、男性社長の親族が代表を務める会社は健康教室に跳躍器具を貸し出しており、県の補助金を受領する立場だった。片岡容疑者の妻が代表を務める不動産賃貸会社(福岡市)に対し、跳躍器具の「販売促進」の名目で補助金の一部を支払う契約を書面で交わしていた。
だが、契約内容と業務実態が伴っていなかったことなどから、県警は商取引を装った贈収賄事件と判断。まず22年度の助成予算案の可決を巡り、2800万円の賄賂の授受があったとして、片岡容疑者を収賄容疑で、男性社長を贈賄容疑でそれぞれ逮捕していた。福岡地検は10日、この容疑については処分保留とした。
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県警は、片岡容疑者が同様の手口で23年度の助成予算の約15%を賄賂として受け取ったとみている。【佐藤緑平】
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