画像提供:マイナビニュース旧車の祭典「ノスタルジック2デイズ」(2月22日〜23日にパシフィコ横浜で開催)で最も希少なクルマなのではないかと思ったのが、ピットハウス(滋賀県)が出展していた日産自動車「スカイライン ジャパン」(C210型)の特別限定モデル「ブラッキー」だ。1978年に2日間だけ限定販売された超希少なクルマである。
ブラッキーってどんなクルマ?
ベースモデルとなったのは、1977年に登場した5代目スカイライン(C210型)の初期型2ドアハードトップ「2000GT-EL」。搭載するパワートレインは当時の排ガス規制の影響もあり、DOHCでもターボでもないシングルカムの直列6気筒L20E型(130PS/17.0kg)エンジンである。ボディサイズは全長4,600mm、全幅1,625mm、全高1,390mm、ホイールベースは2,615mm。ロングノーズとコンパクトなキャビンを組み合わせたスカイラインらしい出で立ちだ。
今回のブラッキーは、C210スカイラインが1978年に月刊自家用車の「グランプリカー・イン・ジャパン」とモーターファン誌の「リーダーズ・ベストカー」という2つの大賞を受賞したことを記念して、同年3月の「スカイライン春の大感謝祭」に合わせて2日間だけ特別限定受注を行った希少モデル。インテリアからエクステリアまで全て「黒」で包まれたちょっと凄みのあるスカイラインで、ウェッジシェイプのボディサイドに合わせたホワイトのオリジナルウェッジストライプ、バンパー下のシビエ社製ヨウ素フォグランプ丸型タイプ45(2連装)、丸型4灯のヘッドランプクリーナー、フロントグリルに装着したSLV(Skyline Limited Version)特製カーバッジ、純正アルミホイールと70ワイドラジアルタイヤ、スポットランプ付きオーバーヘッドコンソールなどの特別装備を身にまとっている。
日本に残ってくれるのか!
ピットハウスの宇野良隆サービスマネージャーによると、「スカイライン ブラッキーは『幻のクルマ』と言われるくらいなかなか出てこないモデルで、現車にはめったにお目にかかれません。元々は岡(岡山)56の当時のナンバー付きのものでした。ずっと個人でお持ちで、車検を切らさずに乗りつつ、普段は日の当たらないところで保管されていたようです。昨年末にウチの店で引き取りましたが、大変程度のいい本当の未再生、未レストア車です」とのことだった。
確かにオリジナルのブラック塗装は全然焼けておらず、ホワイトのサイドラインも美しい。ジャパンでよくボロボロになるというモール類は一切欠品がなく、サビが発生しやすいトランク上のフューエルキャップも綺麗に輝いている。ブラックのモケットシートはへたりやしわが見られず、足元にはSKYLINEのロゴ入り純正マットが敷かれている。色褪せのないメーターは走行距離9万8,000km強を表示している。
販売価格は680万円でかなり魅力的。「昨日も引き合いがあって商談を行いましたが、購入後は中東の方に輸出するという話だったので躊躇しているところです。座間のヘリテージコレクションにあってもいいほどのコンディションなので、できれば日本のオーナーさんに買ってもらいたいんです」とのこと。ぜひ日本国内で生き延びてほしいクルマだった。
原アキラ はらあきら 1983年、某通信社写真部に入社。カメラマン、デスクを経験後、デジタル部門で自動車を担当。週1本、年間50本の試乗記を約5年間執筆。現在フリーで各メディアに記事を発表中。試乗会、発表会に関わらず、自ら写真を撮影することを信条とする。RJC(日本自動車研究者ジャーナリスト会議)会員。 この著者の記事一覧はこちら(原アキラ)