ティッシュの箱が小さくなったことをご存じでしょうか。変更したのは、王子ネピアの「プレミアムソフト」「ネピネピ(150組、200組)」「ネピeco」「激吸収ハンドタオル」の4種類で、3月から全国で販売しています。
「箱のサイズを小さくして、ティッシュの枚数を減らしたんでしょ。ま、物価高が続くので、仕方がないかも」などと思われたかもしれませんが、ティッシュの枚数や厚みはそのままで、コンパクト化を実現しました。
例えば、最も売れている「ネピネピ(150組)」は、箱の奥行きを7ミリ短くなりました。また、販売時に5箱重ねた状態では、高さが40ミリも縮小。これは、1箱分ほどに相当します。
同社がティッシュを販売したのは1972年のこと。その後、1996年、2002年、2009年にリニューアルを重ね、今回で4回目。ティッシュのサイズはどんどん小さくなっていて、プレミアムソフトの初代サイズと比べると、4代目は2.4センチ小さくなりました。販売時の5箱に換算すると、12センチも小さくなっているのです。
|
|
……と、ここまで読んで、疑問を感じた読者もいるのではないでしょうか。ティッシュの枚数と厚みは同じなのに、なぜ箱のサイズを小さくできたのか、と。マーケティング本部の斉藤敬志さんに聞くと、大きな理由は2つありました。
1つめは、技術の向上です。ティッシュを工場でつくる際、紙は折りたたまれた状態で、箱に向かって縦方向に詰めていきます。ただ、従来品の箱にはまだ余白があり、箱を小さくできる余地がありました。
前回(2009年)リニューアルしたときにはその余白をさらに埋める技術はなかったのですが、今回はその課題を克服。できるだけ余白をなくして、箱の中にティッシュを詰められるようになったのです。
ただ、箱の中にティッシュを詰めれば詰めるほど、新たな問題が生まれてきます。詰め込みすぎると、利用者から「取り出しにくくなった」「取り出す際に、紙が破れてしまった」といった不満の声がでてくるかもしれません。
そこで、王子ネピアは取り出し口の改良に取り組みました。これが箱を小さくできた理由の2つめです。
|
|
箱の中の余白がさらになくなったので、何度も何度もサイズを調整。ティッシュを引き出したあとも、次のティッシュがきれいに“立って”いなければいけません。つまり、次のティッシュが箱の中に落ちてしまって、「手を入れないと取れない」といった状態にならないように、サイズを調整したそうです。
●ティッシュの箱が小さくなったメリット
ティッシュの箱が小さくなったことで、利用者から「購入時に持ち運びが楽になった」「収納時も省スペースになり、まとめ買いしやすくなった」といった声があるそうです。
メリットは利用者だけではなく、小売業と物流にも影響を及ぼしています。コンパクトになれば、店頭でより多くの商品を並べられるので、品出しの回数が減る。結果、スタッフの負担が減りました。
また、コンパクト化によって、トラック1台当たりの積載効率が上がるので、輸送時に生じる二酸化炭素(CO2)排出量の削減にもつながります。同社は「年間で削減できるCO2排出量はトラック156台分に相当する」とコメントしました。さらに、外装フィルムの使用量が減少することで、プラスチックの使用量も約12%減ると試算しています。
|
|
ティッシュのダイエットは、“紙一重”の違いに見えて、利用者、販売担当者、運送業者――この3者に大きな影響を与えそうです。
(土肥義則)
|
|
|
|
Copyright(C) 2025 ITmedia Inc. All rights reserved. 記事・写真の無断転載を禁じます。
掲載情報の著作権は提供元企業に帰属します。