文化庁、日本脚本家連盟に業務改善命令 著作物や翻訳の“分配不能”使用料問題で

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2025年03月11日 09:21  ITmedia NEWS

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日本脚本家連盟に対する業務改善命令(出典:文化庁のWebサイト)

 文化庁は3月7日、脚本家や翻訳家の委託を受け著作権使用料の徴収と分配を行っている日本脚本家連盟に対し、使用料の一部が長年にわたり未払いになっていたとして業務改善命令を出した。これを受け、日本脚本家連盟も声明を出している。


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 文化庁の通知によると、同連盟はテレビ局などの使用者から徴収した著作権料のうち、2010年度以前に少なくとも約1億6800万円、11年度から21年度までに約6800万円を分配していなかった。23年6月に管理委託契約約款を改定して文化庁に届け出たが、それ以前は未払い金の取り扱いに関する規定は存在せず、団体内に長期間留保していた。


 翻訳使用料についても、委託していない翻訳家や権利者不明分を使用者に返金せず、10年間留保した後で委託している翻訳家に再配分するといった運用を続けていた。海外ドラマなどの吹き替え版や字幕版を制作している日本音声製作者連盟が支払った翻訳使用料のうち、未払い金は2001年以降の累計で約1800万円に上るという。


 文化庁は、こうした未払使用料の問題を早期に解消し、再発防止に向けて管理方法を見直すこと、不明な権利者を探すための人員配置などを命じた。併せて4月末までに具体的な改善計画と行程表の提出を求めている。


 業務改善命令を受け、日本脚本家連盟は7日付で声明を発表。これら未払いの使用料は権利者を特定できなかったり、非委託者分が含まれていたりしたために「分配不能」となった利用料だと説明した。また翻訳使用料の再分配については「民法の定める債権の消滅時効期間10年が経過した場合、当時の分配データに基づき当連盟の委託者に再分配していた」という。


 今後は権利者の探索や分配体制を強化する考えで、詳細が判明した場合には期間の制限を設けずに分配または返金するとしている。



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