
第97回選抜高校野球大会が、3月18日に阪神甲子園球場で開幕する。史上4校目の選抜連覇に挑む健大高崎(群馬)は開幕日の第3試合で名門・明徳義塾(高知)と初戦を戦う。
【写真を見る】健大高崎、史上4校目の春連覇へ 大会屈指の速球派・石垣元気「自分がエースらしいピッチングをして、2連覇できるように」
健大高崎のエースは、最速154キロの速球派・石垣元気投手(3年)。昨年、2年生ながら出場した選抜大会で全試合に登板した。準決勝・決勝では先発を任され、群馬県勢初のセンバツ優勝に貢献。昨夏には甲子園球速ランキング歴代4位となる153キロをマークし、NPBだけではなく、MLB球団のスカウトも熱視線を送る逸材だ。
石垣投手は、北海道・登別出身。中学3年生から本格的に投手に転向した。そして、野球をするために親元を離れ、群馬県の名門・健大高崎高校野球部に入部。今や世代屈指の投手までに成長したのにはあるトレーニングが関わっていた。
石垣投手「健大高崎には初動負荷トレーニングがあるので」と独自のマシーンを使い、リラックス状態の筋肉に負担をかけ、神経と筋肉の機能を向上させる練習法を明かした。さらにしなやかでバネのある筋肉を作り、爆発的な瞬発力に繋がると言われている初動負荷トレーニング。日米通算4367安打・野球界のレジェンド・イチローさん(51)や各競技のスポーツ選手たちも取り入れているトレーニングとして有名になった。
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この最新鋭のトレーニング方法を活用して飛躍した石垣投手。「初動負荷トレーニングをして、肩の可動域だったり、自然とボールに力強さも出てくる。体の使い方が一番身について、力になった」と自身も成長を感じている。
そして、独自で取り入れたトレーニングもある。およそ5キロの鉄球を使い、掴んでは離す動作を繰り返す。ボールを押し込む指先を鍛える練習だ。握力はおよそ80キロで男子高校生の平均を2倍も上回る。「手元で伸びて打たれないストレートが理想」と語る石垣投手。速球に加え、切れ味の鋭い投球が出来るのはこのような練習が隠されていた。
今大会、エースとしてチームを引っ張る石垣投手。実はどうしても勝たなければいけない理由もあった。それは、1年生の春から公式戦のメンバーに入り、共に切磋琢磨してきた良きライバルでもあり、自分が成長するにあたって必要な存在の佐藤龍月投手(さとうりゅうが・3年)が怪我のため大会に出場できないからだ。
佐藤投手は昨年、エースとして選抜大会を優勝に導いた。昨年夏の群馬大会も背番号1として、チームを甲子園に連れて行く活躍を見せ、これからの活躍も期待されていた。しかし、県大会後、左ひじの痛みで戦線離脱。8月にはトミー・ジョン手術を受け、マウンドに上がれない大けがをしてしまった。そんな佐藤投手に対し、石垣投手は「今まで佐藤に助けてもらったことが多くて、自分も負けられない」と強く誓い、背番号1を受け取った。
そして自身の帽子には、佐藤投手の名前を書いた。「佐藤のおかげで夏の甲子園も出られた。今度は自分が日本一の景色を見せたい」これに佐藤投手は「お前のために勝ちたいと思ったからと言ってくれたので本当に嬉しい」と感謝を伝えた。
今月18日から開幕する選抜高校野球。親友・佐藤投手の為に石垣投手は「去年の佐藤を超えられるように自分がエースらしいピッチングをして、2連覇できるようにしたい」と甲子園の舞台でその力を存分に発揮すると強く語った。
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