大阪の自殺教唆事件　死亡の被害者、カウンセリング通じ容疑者信奉か

　男性2人をそそのかして自殺させたとして、大阪府警は11日、大阪府河内長野市の占師、浜田淑恵容疑者（62）ら女性3人を自殺教唆などの疑いで逮捕した。浜田容疑者は自身を「創造主」と信じ込ませて男性らを精神的に支配していた可能性があるといい、府警は死亡の詳しい経緯を調べる。

　他に逮捕されたのは、東京都中野区の無職、滝谷奈織（なぽり）（59）と河内長野市の無職、寺崎佐和子（47）両容疑者。府警は3人の認否を明らかにしていない。

　死亡した男性2人はカウンセリングなどを通じて浜田容疑者を信奉し、逮捕された他の2人も容疑者を崇拝していたという。

　浜田、滝谷両容疑者は2020年8月、会社員の寺本浩平さん（当時66歳）とアルバイトの米田一郎さん（当時51歳）を和歌山県広川町の海に入らせ、自殺させた疑いがある。寺崎容疑者は浜田容疑者とともに、寺本さん名義の遺書を作成して和歌山県警に提出したとして有印私文書偽造・同行使の疑いで逮捕された。

　府警捜査1課によると、浜田容疑者は寺本さんらに対して「（浜田容疑者の）交際相手に取り付いた悪いものを取り除く必要がある」と言い、自殺を決意させたとみられる。自らを「創造主」と信じ込ませ、「気が変わったら（お互いに）沈めあうこと」などとも命じていたという。

　寺本さんらは互いの手首をコードで結んだ状態で海岸に倒れているのが発見され、その場で死亡が確認された。死因は溺死だった。浜田容疑者はこれまでの調べに、滝谷容疑者を含む4人で死ぬつもりだったと明かし、「寺本さんと米田さんは（自殺に）賛同していた」という趣旨の話をしていたという。

　和歌山県警は寺本さんらの死亡について、事件性は低いと判断していた。

　しかし、その後、別の男性から金銭を脅し取ったとする恐喝容疑で大阪府警が浜田容疑者らを逮捕。この男性が「寺本さんらの死に浜田容疑者らが関わっているかもしれない」と訴え、事件に巻き込まれた可能性が浮上した。

　寺本さんらは生前、相続した不動産の売却金や自身の給料を浜田容疑者に渡していたという。府警は2人が自殺させられた原因について捜査を進める。

　和歌山県警は当時の捜査について「必要な捜査を行い、適切な判断をした」とコメントした。【林みづき、斉藤朋恵、藤木俊治】