
有休を当日取得するのはマナー違反?
【今回のお悩み】有休を取る際、当日急に有休を利用することは法律的にいいはずなのに周りからマナー違反だと言われます。私は変なマナーだと思うのですが、これは日本人特有なのでしょうか(20代女性/東京都在住)。
会社にも「時季変更権」という権利がある
【回答】確かに、有休を利用することは働く人の権利として法律で認められています。労働基準法でも「労働者の請求する時季に、有給休暇を与えなければならない」と書かれていて、当日急に利用することも可能なように読み取れます。
しかし、働く人の権利と同様、会社にも「時季変更権」という権利があり、「事業の正常な運営を妨げる場合」には別の日に変更することができます。
会社は、あなたが休むことで業務にどのような影響が出るのか考え、影響が出る場合には、代わりの人を手配したり、あなたの業務を別の人に割り振ったりする必要があります。有休の利用は、会社がその判断をする時間を考慮して行うよう裁判例でも言及されています。
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また、労働基準法では1日を「0時〜24時」の暦日で考えるため、当日の有休申請は「0時」を超えている以上、事後申請となってしまいます。事後申請は就業規則に記載があるときのみ有効となりますので、自社の就業規則を確認してください。
日本だけでなく、EUやカナダ、韓国などでも有給休暇の制度はありますが、やはり会社側に時季変更権と同様の権利が認められていることが多く、チームで働く以上、仲間への配慮が必要なのも同じです。
どうしても当日急に申請しないといけないときは
とはいえ、体調不良や家族の事情で「当日急に」申請せざるを得ないときもあります。もしも会社や上司に「マナー違反」と言われたときは、事情を丁寧に説明するとともに、今後は早めに申請する姿勢を見せておくことが大切です。
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<調査概要>
仕事で有休を取得する際のマナーに関する疑問
調査方法:インターネットアンケート
調査期間:2025年1月28〜29日
調査対象:全国10〜70代の男女100人
小西 道代プロフィール
社会保険労務士法人トップアンドコア代表。行政書士法人グローアップ代表。大学卒業後、日本マクドナルドに入社。幅広い年齢層と共に働くことで、労務管理・組織運営に興味を持ち、弁護士事務所等で経験を積む。自身も喫茶店を経営した経験から、労務トラブル予防の労務相談を得意とする。All About 労務管理 ガイド。(文:小西 道代(社会保険労務士・行政書士))