被告囲む7人の警備員 厳戒の高裁支部 鹿児島5人殺害、2審も死刑

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2025年03月13日 20:34  毎日新聞

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毎日新聞

福岡高裁宮崎支部、宮崎地裁、宮崎家裁=宮崎市で、吉田航太撮影

 鹿児島県日置市で2018年、親族ら男女5人を殺害したなどとして殺人と死体遺棄の罪に問われた無職、岩倉知広被告(45)の控訴審判決で、福岡高裁宮崎支部は13日、死刑とした1審・鹿児島地裁判決(20年12月)を支持し、弁護側の控訴を棄却した。平島正道裁判長は「強い殺意に基づく人命軽視も甚だしい悪質な犯行。刑事責任は重大で、死刑を宣告した原判決はやむを得ない」と述べた。弁護側は即日上告した。


 判決によると、岩倉被告は18年3月31日〜4月1日、祖母久子さん(当時89歳)宅で、父正知さん(同68歳)と久子さんの首を絞めて殺害し、2人の遺体を埋めて遺棄。4月6日午後には久子さん宅で、伯父の妻孝子さん(同69歳)と孝子さんの姉坂口訓子さん(同72歳)、近所の後藤広幸さん(同47歳)の首を絞めて殺害した。


 弁護側は控訴審で「被告は心神耗弱状態にあった」と主張したが、高裁支部は「精神障害が背景にあったとしても、その影響は軽微なものにとどまる」と指摘。1審同様に完全責任能力があったと認めた。殺意についても1審同様に認定した上で、被害者らに落ち度はないとし、被告が謝罪や反省の態度を示そうとしない点も非難した。


 岩倉被告は1審判決時、検察官がいる席に飛びかかり、法廷は一時騒然となった。この日の高裁支部は、被告の両脇と傍聴席最前列に計7人の警備担当者を配置し厳戒態勢で対応。胸まで伸びた髪を後ろに一部束ね、緑のジャージー姿で出廷した岩倉被告は、約1時間の判決の言い渡しが終わるまで裁判長をじっと見つめ、聴き入っていた。主張が認められないことが明らかになると徐々に目を落とし、言い渡し後は弁護人に頭を下げ、法廷を後にした。


 弁護人は閉廷後、報道陣の取材に「主張が認められず残念」と述べた。


 福岡高検の村中孝一次席検事は「適正・妥当な判決と受け止めている」とのコメントを出した。【塩月由香】



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