「オンラインカジノってどんな犯罪なの?」専門家に聞いた、“知っておくべき怖い真実”

0

2025年03月16日 08:10  週刊女性PRIME

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

週刊女性PRIME

オンラインカジノによる被害は未成年者にも広がっている(写真はイメージ)

 吉本興業に所属するお笑いコンビ『令和ロマン』の高比良くるまを含む芸人10人ほどが、オンラインカジノで違法に賭博をした疑いで、警察から任意の聴取を受けていたことが報じられた。

 プロ野球では、複数の選手が利用していたことが明らかに。東京五輪の銅メダリストで男子卓球の丹羽孝希選手は、海外オンラインカジノで違法に賭博をしたとして、賭博罪の疑いで書類送検された。

 オンラインカジノは今、日本社会で深刻な問題となっている。知られざる、その現状や疑問点を取材した。

オンラインカジノって犯罪なの?

 まず、日本における賭博の歴史を解説するのは、オンラインカジノ問題に詳しい静岡大学の鳥畑与一名誉教授。

「もともと日本は、賭博を禁止してきた歴史があります。賭博に依存して、一家のお金を使い果たして家庭が破綻するなど、有害なものとみなされてきました。

 明治40年に法律でいっさいの賭博が禁止されたのですが、戦後に、競馬などは公共性がある、つまり税収が増えるとして刑法の適用が除外されるように。パチンコは、あくまで賭博ではなく、遊戯であるという建前で広まっていきました」

 要は、日本政府が認めているギャンブル以外は、すべて違法ということ。警察庁のホームページにも

《海外で合法的に運営されているオンラインカジノであっても、日本国内から接続して賭博を行うことは犯罪です》

《バカラ、スロット、スポーツベッティング等、その名称や内容にかかわらず、オンライン上で行われる賭博は犯罪です。絶対にやめましょう》

 と記されている。違法に賭博を行った場合、50万円以下の罰金または科料、常習性が認められた場合には、3年以下の懲役に処される。

 では、オンラインカジノが認められている国では、問題は起きていないのか?

イギリスではギャンブル依存症の問題が深刻化

イギリスでは、2005年に規制緩和を行ってオンラインでのギャンブルも認めたのですが、ギャンブル依存症などの問題が深刻化しました。2023年にイギリス政府の発表したリポートでは、従来の規制が時代遅れで、適切な規制強化が必要であるとされました。

 オーストラリアもギャンブルが盛んな国ですが、近年ではオンラインのギャンブルは危険であるとして、クレジットカードの利用が禁止されるなどの規制強化がなされています。このように利用を認めている各国でも、オンラインのギャンブルに対する規制強化の議論が急速に進んでいるのです」(鳥畑与一名誉教授、以下同)

 その影響で、日本が“食い物”にされているという。

「欧米では、正式なライセンスを持たない企業の違法サイトへのアクセスをブロックするなど、取り締まりを強化しています。こうして欧米市場から排除されたオンラインカジノ企業が、規制する体制が整っていないアフリカや南米、そして日本をターゲットにしているのです。

 実際にオンラインカジノのサイトを覗いてみると《運営元が海外にある場合、日本は取り締まれない》といった説明であふれています。ちなみにオンラインカジノを運営するのは、多くが株式市場に上場するような大手企業です。日本も国民を守るために、早急に防衛措置をとっていただきたい」

どうしてオンラインカジノにハマってしまうの?

 日本国内の状況はどうか。『ギャンブル依存症問題を考える会』の田中紀子代表は、

「日本では、2023年ごろからオンラインカジノに関する相談が全体の2割を占めるようになりました。2020年からのコロナ禍でオンラインカジノを利用した人たちが、2〜3年という短期間で依存症になってしまいました。

 オンラインカジノは、24時間365日利用できて、1回のゲーム時間が圧倒的に短い。際限なく賭けることができ、あっという間に依存症が進行していくのです

 と話し、未成年までもが違法賭博に手を染めてしまう異常な事態を明かす。

「当会には、20代から30代の若者を当事者とする相談が急増しています。特に大学生の間で、オンラインカジノの利用が蔓延している。ギャンブルで、大学を休学や中退した末に、闇バイトなどの犯罪行為に手を染めてしまう子もいます。

 全体の数%ですが、相談に来る方の中には、高校生が600万円をオンラインカジノに使ったというケースもありました。オンラインカジノにのめり込み、親の口座やクレジットカードを勝手に使用するのです」(田中紀子さん)

 近年では、楽にお金を稼げると騙されて闇バイトに手を出す若者が後を絶たない。“ルフィ”などと名乗る指示役が、実行犯を募って犯行に及んだ広域強盗事件は記憶に新しい。

実行犯はギャンブル依存症の現役自衛官

ルフィ事件で逮捕された実行犯の1人は、ギャンブル依存症の現役自衛官でした。闇バイトに加担して重い実刑を受けたら、依存症から回復できるとしても、失うものが大きすぎる。少子高齢化の時代に、未来を担う国の宝が、ギャンブルで人生をつぶされてしまっているのです」(田中紀子さん、以下同)

 田中さんによれば、友人からの誘いで違法賭博に手を出すケースが多いという。

 また、SNSにもオンラインカジノに関する情報があふれ、有名人が広告塔を務めるケースもあり、地獄への入り口はさまざまな場所で口を開けている。

どこに相談したらいいの?

 家族や友人など、身近な人がオンラインカジノに夢中になってしまったら、どこに相談すればいいのか。

「私たちのような、当事者の支援を行う団体に相談してください。当事者が相談に来るのが難しければ、まずは家族だけでも、地域の家族会などに相談してください。当事者の借金を肩代わりしないとどうなるのか、家族としては怖いはずです。だからこそ、肩代わりし続けることの危険性や、当事者との向き合い方を学んでほしいのです」

 だが、オンラインカジノ問題が注目を集めたことで、懸念することがあるという。

「芸能人やスポーツ選手が警察から聴取を受けていると盛んに報道されたことで、啓発効果はあったと思います。その一方で、いま困っている人たちが相談に来られなくなってしまう可能性があるとも懸念しています。

 違法行為なので、警察に逮捕されると思ってしまうかもしれません。相談機関は、通報したり、それを問い詰めたりはしないので、オンラインカジノで困っている人は一刻も早く相談に来てほしい。ギャンブルでの借金は免責されないといった誤った情報もありますが、多くの場合は債務整理が可能です」

 オンラインカジノは、ダメ、ゼッタイ!

    前日のランキングへ

    ニュース設定