【MLB】鈴木誠也、今永昇太だけじゃない! 東京ドームでぜひ見てほしいカブスのすごい選手たち

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2025年03月16日 10:20  webスポルティーバ

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 6年ぶり開催となったMLB日本開幕戦。シカゴ・カブス対ロサンゼルス・ドジャースの一戦は両チーム合わせて5人の日本人ロースター選手を擁し、チケット争奪戦も含め空前の盛り上がりを見せている。

 そこでロックバンド『Scoobie Do』のドラマーにしてカブスのファン歴30年、さらにMLB中継の解説者としても活躍するオカモト"MOBY"タクヤ氏に、ロサンゼルス・ドジャースとのMLB日本開幕戦に登場するカブスの選手たちを紹介してもらおう。

【ホイヤーの改革と再建の道】

 子どもの頃からMLBが大好きで、大学1年の1995年にリグレー・フィールドで試合を観戦してからカブスファンになり、今年で30年目を迎えた。2000年に初めてカブスが東京で公式戦を開催した時は、「さすがに最初で最後だろうな」と思っていたが、25年の時を経て、まさか2回目があるとは夢にも思っていなかった。

 しかもカブスが製作したプロモーション映像に、日本語実況役として出演するという名誉にもあずかり、好きでいることの強さを感じつつも、一方でチケット争奪戦は惨敗......。

 2016年、じつに108年ぶりとなったワールドシリーズ制覇から早9年。2021年にチーム編成総責任者に就任したジェド・ホイヤーは、当時の主要メンバーを一気に放出しチームを解体。その一方で若手をトレードで集め、22年以降は鈴木誠也を筆頭にFAなどで獲得した選手たちと、成長著しい若手を融合させながらチーム再建に着手。

 2024年には、それまで同地区のライバルだったミルウォーキー・ブリュワーズの監督を務めていたクレイグ・カウンセルと現役監督最高額(当時)の5年4000万ドル(約60億円)で契約。しかし成績は前年と変わらず、83勝79敗で4シーズン連続してポストシーズン進出を逃してしまった。

 カウンセル監督から「毎年90勝できるチームになっていない」と批判され、あっさり認めてしまったホイヤーは、今季が契約最終年。とにかく今年は結果が求められるシーズンになる。

 そんなカブスの今シーズン、中心となる選手たちを紹介したい。今回来日した、愛するカブスはどんなチームなのか......。

【MVPトリオを圧倒】

 東京ドームでは、7年ぶりにMLBで記録された左投手によるスプリットを駆使し、サイ・ヤング賞投票で5位にランクインした今永昇太、2023年に16勝を挙げたジャスティン・スティールのふたりが先発を務める。

 この両投手、試合数は少ないもののドジャースとの相性がよく、今永が2先発で2勝、防御率2.45、WHIP0.81。スティールは3試合(2先発)で2勝1敗、防御率3.00、WHIP0.83。しかも大谷翔平、ムーキー・ベッツ、フレディ・フリーマンのMVPトリオ相手に好結果を残している。

 今永は対大谷5打数0安打1奪三振、対ベッツ5打数0安打、対フリーマン5打数1安打1奪三振。スティールは大谷との対戦はないが、対ベッツ5打数0安打2奪三振、対フリーマン5打数0安打1奪三振。おそらく球数は80球前後、最長5回までと思うが、両先発が初回にこの3選手をしっかり抑えることができれば、自ずとカブスにチャンスは訪れるだろう。

 ブルペン陣の注目は、自身が持っていたトレード拒否権を放棄してまでカブスに加入した大ベテランのライアン・プレスリー。試合後半の重要な場面を任されつつ、若手投手たちの教育係としても球団は期待を寄せている。

 その若手投手陣のなかで注目すべきは、昨年5月までまったく無名の新人ながら、後半戦はクローザーを任されたポーター・ホッジ。ナチュラルカットするフォーシームとMLBトップレベルのスイーパーの2種類だけで勝負する潔さは一見の価値あり。

 ほかにも、昨年5月にカブスに加入してからサイド気味だったアングルをさらに低くして制球力が増し、火の車状態だったブルペン陣を救った"ポケモン好き"のタイソン・ミラー。ブルージェイズから見限られ、昨年7月カブスに加入して以降、驚異のV字回復を遂げたネイト・ピアソン。そして昨年はドジャースでワールドシリーズ制覇に貢献するも、「ドジャース史上最高のDFA選手(所属選手をMLBの40人枠から外すこと)」となってカブスに移籍してきたライアン・ブレイジャーなど、タレントは揃っている。

【MLBトップクラスの外野陣】

 一方、野手陣の注目はアストロズからトレードで獲得した球界屈指の5ツールプレーヤー(ミート力、長打力、走力、守備力、送球力)の右翼手、カイル・タッカー。21年以降の162試合の平均での数値は、球界最高年俸のフアン・ソト(メッツ)にほぼ匹敵。今季いっぱいでFAとなることもあり、カブスとしては来年以降の長期契約を結ぶためにも、彼の活躍によってポストシーズン進出は不可欠。

 タッカーの加入によってDHを任されることになる鈴木誠也も、チームの中心打者として成績もしっかり残している。カープ時代、東京ドームでの通算成績は257打数88安打(打率.342)、21本塁打と相性は抜群。4シーズンぶりに日本で「神ってる」姿も期待できる。

 また、タッカーを含めた外野陣の守備力はMLB屈指。レフトで2年連続ゴールドグラブを獲得し、一昨年オフには新婚旅行で東京と京都を訪れ、大好きな珈琲屋巡りを楽しんだイアン・ハップ。

 昨シーズン、ランニング本塁打を放った際、MLB最速となるダイヤモンド一周14.08秒を記録した韋駄天男、センターのピート・クロウ=アームストロング(通称PCA)。ちなみに彼のお母さんは、トム・クルーズ主演の映画『マイノリティ・リポート』に出演したアシュリー・クロウ。

 内野陣の中心は、2021年にアトランタ・ブレーブスで世界一を経験し、23年にカブスと7年契約を結んだ遊撃手のダンスビー・スワンソン。4年連続147試合以上に出場し、首脳陣にもしっかり意見できるチームの大黒柱だ。彼の妻・マロリー・スワンソンもアメリカを代表する女子サッカー選手として知られ、パリ五輪女子サッカー決勝で決勝ゴールを挙げて金メダルに導いた同日、スワンソンも通算1000打点到達の快挙を達成した。

 一塁手のマイケル・ブッシュは、もともとドジャースにドラフト1巡目で指名された逸材。しかし、フリーマンが加入した関係でポジションが被り、昨年カブスに移籍。5試合連続本塁打を記録するなど、新人として各部門で好成績を残し、古巣・ドジャースに対しても6試合で24打数8安打、2本塁打、8打打点としっかり恩返ししてみせた。

 捕手のミゲル・アマヤは昨年からレギュラーとなり、7月上旬にレッグキックをやめてすり足打法にしてから劇的に打撃成績がよくなった。パナマ出身でお父さんは故郷の市長を務めている。

 ただ残念なのは、昨年10月に右前腕を手術した二塁手のニコ・ホーナーの回復が見込めず、来日を断念(アメリカでの開幕には間に合うとのこと)。

 代役として、オフに獲得したユーティリティープレーヤーのジョン・バーティの名前が挙がる。

 また正三塁手がいない状況でスプリング・トレーニングに突入したカブスだが、プレミア12のアメリカ代表として昨年秋に東京ドームでプレーしたトップ・プロスペクト(有望株)のマット・ショウが東京行きメンバーに入った。

 さらには、元ドジャースの中心打者として名を馳せ、このオフにカブスと契約した40歳のジャスティン・ターナーも控えている。

 大谷翔平を筆頭としたスター軍団・ドジャースの応援もいいが、個性あふれるカブスの選手たちのプレーにも注目してほしい。

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