後半立ち上がり、勝利を手繰り寄せる追加点を奪ったイサク [写真]=Getty Images カラバオ・カップ(EFLカップ)決勝が16日に行われ、リヴァプールとニューカッスルが対戦した。
今シーズン、イングランド国内において最初のタイトルを手にするクラブが決まる。決勝まで駒を進めたのは、大会2連覇を狙う昨季の王者リヴァプールと、一昨シーズンの決勝で涙を飲み、悲願の大会初優勝を目論むニューカッスルだ。
プレミアリーグで首位を独走するリヴァプールは、カラバオ・カップではターンオーバーをうまく活用しながらここまで歩を進めてきた。3回戦でウェストハムを5−1、4回戦でブライトンを3−2、準々決勝でサウサンプトンを2−1で破り、ベスト4入りを決めると、ホーム&アウェイで行われる準決勝では、ファーストレグでトッテナムに0−1と敗北。それでも、本拠地『アンフィールド』に戻ってからのセカンドレグは見事4−0と快勝し、2戦合計4−1と逆転勝利。2大会連続でファイナルの舞台に辿り着いた。
一方のニューカッスルは、現在プレミアリーグでは熾烈なチャンピオンズリーグ(CL)出場権争いに身を置いている。カラバオ・カップの初戦では、今季のプレミアリーグで躍進を遂げることとなるノッティンガム・フォレストとPK戦にまでもつれ込む激闘を演じながら、なんとか勝利を手にすると、3回戦ではウィンブルドン(4部相当)を1−0、4回戦ではチェルシーを2−0、準々決勝ではブレントフォードを3−1で撃破。準決勝ではホーム、アウェイともにアーセナルを寄せ付けることなく、2戦合計4−0で勝利。2シーズンぶりに決勝の舞台へ返り咲いた。
そんな両者によって繰り広げられる今シーズンのカラバオ・カップ決勝戦。リヴァプールは直近の公式戦にあたるCL・ラウンド16セカンドレグのパリ・サンジェルマン戦から2名を入れ替えた。負傷中のトレント・アレクサンダー・アーノルドに代わってジャレル・クアンサーが入り、右サイドバック起用も予想された遠藤航はベンチスタート。ゴールマウスはGKクィービーン・ケレハーが託された。一方、ニューカッスルは直近のプレミアリーグ第28節ウェストハム戦からメンバーの変更はなく、ブルーノ・ギマランイス、ジョエリントン、アレクサンデル・イサクらが先発に名を連ねた。
聖地『ウェンブリー・スタジアム』にてキックオフを迎えた試合は、ファイナルらしく、両チーム球際でハイインテンシティーのバトルを繰り広げる。より良い入りを見せたのはニューカッスルで、選手それぞれが相手を動かす工夫を凝らしながら、フィニッシュへ持ち込むシーンも作り出し、得点の気配を漂わせていく。
一方のリヴァプールは、ルイス・ディアスが幾度となくラインブレイクの動きを見せて、ゴールに迫る場面も作ったが、決定機と呼べるようなシーンは限られたまま時間が経過。中盤では見応えのある攻防戦が行われながら、両チームともに相手攻撃陣に自由なバイタル侵入を許さず、前半も終盤に突入する。
すると45分、ニューカッスルがピッチ中央付近でフリーキックを獲得すると、キーラン・トリッピアーからの浮き球パスは味方に合わなかったものの、こぼれ球をハーヴィー・バーンズが回収。自ら持ち運んで左足を振り抜くも、シュートはイブライマ・コナテにブロックされた。
だが、このプレーで獲得したコーナーキックで、試合の均衡が破れる。トリッピアーが山なりのボールを放り込むと、ファーサイドでフリーになったダン・バーンがヘディングシュート。32歳にしてイングランド代表に初招集されたセンターバックが、大一番で空中戦の強さを見せ、ニューカッスルが1点をリードしてハーフタイムに突入した。
後半に入ると立ち上がりの51分、再びニューカッスルが左コーナーキックからゴールネットを揺らす。またもやトリッピアーのファーサイドを狙ったボールを、ジョエリントンがダイレクトで折り返すと、中央で待っていたバーンがダイレクトで合わせる。ここはGKケレハーに阻まれたものの、こぼれ球をイサクが押し込んだ。ニューカッスルがリードを広げたかと思われたが、バーンがシュートを放った際、オフサイドポジションにいたB・ギマランイスがプレーに関与したとみさされ、オフサイドの判定。ゴールは認められない。
それでも、プレミアリーグでゴールを量産するニューカッスルのストライカーは、直後に正真正銘のゴールを奪ってみせる。53分、自陣左サイドからボールを持ち運んだティノ・リヴラメントが、バーンズとのワンツーで深い位置まで侵入。腰を捻ってクロスボールを送ると、ファーサイドで競り勝ったジェイコブ・マーフィーが頭で落とし、最後はイサクが右足で仕留める。“エース”の今大会3点目、公式戦通算23点目で、ニューカッスルがトロフィーを手繰り寄せる追加点を奪った。
このまま終わるわけにいかないリヴァプールは57分、コナテとディオゴ・ジョッタを下げて、カーティス・ジョーンズとダルウィン・ヌニェスを送り出す。すると59分、自陣でうまく相手を去なしたC・ジョーンズを起点に、リヴァプールが攻撃へ転じる。アレクシス・マック・アリスター、L・ディアスを経由し、ボックス左のドミニク・ソボスライにボールが渡ると、マイナスへの落としに対して走り込んだのはC・ジョーンズ。ワントラップから右足で狙ったものの、ここはGKニック・ポープに弾き出され、追撃の1点とはならない。
一方で、ニューカッスルもこのまま守勢に回り続けるつもりはない。64分には敵陣中央でのボール奪取からショートカウンターを繰り出し、B・ギマランイスからの浮き球パスでバーンズがボックス左に侵入。ダイレクトで中央へ折り返すと、並走していたイサクが左足で狙ったが、ここはGKケレハーに弾きされ、決定的な3点目は奪えない。
リヴァプールは67分にマック・アリスターを下げてコーディ・ガクポ、74分にはライアン・フラーフェンベルフとL・ディアスに代えてフェデリコ・キエーザとハーヴェイ・エリオットを投入し、“超攻撃的布陣”へシフト。前への圧力を強めながらも、ゴール前で危険なシーンを作り出す回数は少なく、無得点のまま後半アディショナルタイムに入る。
8分間のアディショナルタイムには、リヴァプールが猛攻を披露。ボックス内でセカンドボールを拾ったヌニェスが、相手をかわして右足を振り抜くも、ここはブロックされる。だが、ここからニューカッスルが持ち出そうとしたボールをエリオットが奪い返し、中央を破るスルーパスを通すと、抜け出したキエーザが左足で流し込んだ。当初はオフサイドと判定されたものの、VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)で判定が変更。リヴァプールが土壇場で1点を返した。
しかし、リヴァプールの反撃はここまで。試合はこのままタイムアップを迎え、リヴァプールを2−1で破ったニューカッスルが、クラブ史上初のカラバオ・カップ優勝を達成。1954−55シーズンにFAカップを制覇して以来、70年ぶりに国内タイトルを手中に収めた。一方で、リヴァプールとしてアルネ・スロット体制の初タイトルとはならず。遠藤に出番はなかった。
【スコア】
リヴァプール 1−2 ニューカッスル
【得点者】
0−1 45分 ダン・バーン(ニューカッスル)
0−2 52分 アレクサンデル・イサク(ニューカッスル)
1−2 90+4分 フェデリコ・キエーザ(リヴァプール)
【スターティングメンバー】
リヴァプール(4−2−3−1)
GK:クィービーン・ケレハー
DF:ジャレル・クアンサー、イブライマ・コナテ(57分 カーティス・ジョーンズ)、フィルジル・ファン・ダイク、アンドリュー・ロバートソン
MF:ライアン・フラーフェンベルフ(74分 フェデリコ・キエーザ)、アレクシス・マック・アリスター(67分 コーディ・ガクポ);モハメド・サラー、ドミニク・ソボスライ、ルイス・ディアス(74分 ハーヴェイ・エリオット)
FW:ディオゴ・ジョッタ(57分 ダルウィン・ヌニェス)
ニューカッスル(4−3−3)
GK:ニック・ポープ
DF:キーラン・トリッピアー、ファビアン・シェア、ダン・バーン、ティノ・リヴラメント
MF:ブルーノ・ギマランイス、サンドロ・トナーリ、ジョエリントン
FW:ジェイコブ・マーフィー(90分 エミル・クラフト)、アレクサンデル・イサク(81分 カラム・ウィルソン)、ハーヴィー・バーンズ(81分 ジョー・ウィロック)