滋賀県守山市立中学2年の男子生徒(当時14歳)が自殺したことについて、市の第三者委員会が作成した調査報告書の記載内容で精神的苦痛を受けたとして、生徒の両親が市に慰謝料200万円の賠償を求めた訴訟で、大津地裁は請求を棄却する判決を言い渡した。2月28日付。両親側は18日、判決を不服として大阪高裁に控訴した。
判決で池田聡介裁判長は「受忍すべき限度を超えて人格的利益が侵害されたとはいえない」と述べた。
判決によると、男子生徒は2017年11月、中学校の屋上から転落して死亡した。19年6月に作成され、両親に渡された調査報告書は、自殺原因について「断定的なことは分からない」とする一方、両親が共働きで祖父母が育児に協力していた点を「祖父母が主たる養育者として機能していた結果、ネグレクト(育児放棄)状態に陥ることを回避できた」などと記述していた。
両親側は「報告書の内容は事実と異なる」としたうえで、両親の養育に問題があったと受け取れる表現で尊厳や名誉を傷つけられたと主張。これに対し、判決は「報告書は家庭環境が自殺の原因としているわけではなく、一般に公開されることもない。国家賠償法上、違法と評価されるような利益の侵害はない」と結論付けた。
男子生徒の母親は取材に「事実に基づかない推測ばかりの報告書で遺族が苦しむことがあっていいのか。判決には到底納得できない」と話した。【戸上文恵】
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