2024年のダービー馬ダノンデサイルもエピファネイア産駒
写真/橋本健 2021年8月から輪番で担当させていただいた当コラムも、今回をもって一区切り。フリーランスになって最初にいただいた仕事であり、このコラムを通じてwebコラムの世界をたくさん知ることができました。感謝しかありません。
最後の原稿は、多くの人に読んでいただくために、未来を占ってみたいと思います。“来年の”ダービー予想です。まだ今年のダービーはおろか皐月賞も終わっていない段階で、その翌年のダービーの話をするなんて、鬼が笑うどころの騒ぎではありませんが、ここで挙げた馬たちが2026年のクラシック戦線を賑わすようなことがあれば、検索で何度も記事を読んでもらえることでしょう。
目標は、5頭挙げて“3頭以上クラシック出走”です。
◆王道中の王道。早期デビューからダービーへ
最初に挙げるのはサラキアの23(父エピファネイア・牡・馬名:サレジオ)。ダービーまでのデータを分析すると、賞金を稼ぐ可能性が高いのは「ノーザンファーム生産」「エピファネイア産駒」「成績上位厩舎」「牡馬」と出てきます。
POG(デビュー前の2歳馬を指名して獲得賞金を競い合う仮想馬主ゲーム)を嗜んでいるファンであれば、当たり前のデータだと思いますが、そのデータにドンピシャで該当しているのがこの馬です。
生産はノーザンファーム。エピファネイア×サラキアという良血で、シルクホースクラブにて総額1億円で募集されました。管理するのは新進気鋭の田中博康調教師。クラシックを狙うための条件を全て満たしています。
実際、育成しているノーザンファーム早来の桑田厩舎長は「理想的な成長曲線を描いていて、パワーとスピードを兼備している」と絶賛。順調に調整が進んでいて、早ければ6月の東京競馬場でその姿を見られる可能性もあるでしょう。
◆“ポテンシャルの塊”が目指すのは芝かダートか
2頭目はティールグリーンの23(父リアルスティール・牡・馬名:カレイジャスビート)。お父さんは、先日、サウジカップを制し優勝賞金1000万ドルを獲得したフォーエバーヤングと同じリアルスティールです。お母さんからはまだ目立った活躍馬は出ていませんが、馬個体のデキは素晴らしく、キャロットクラブの募集時にも大変な人気を集めていました。
そして何よりの推しポイントは現場の評価の高さ。先日、『POG直球勝負2025-2026』の取材で山本昌さんと牧場を巡り、この馬を育成しているノーザンファーム空港の足立厩舎長にお話を伺ったのですが、「ここ数年の中では一番自信があります」「ポテンシャルの塊」という“超抜”コメントをいただきました。
リアルスティール産駒なので、適性がダート寄りかもしれませんが、そのときはフォーエバーヤングのような活躍を期待しましょう。日本ダービーには出られずとも、サウジ“ダービー”、UAE“ダービー”、あるいは東京“ダービー”に駒を進めているかもしれません。
◆無敗の三冠馬コントレイルの初年度産駒
3頭目はシユーマの23(父コントレイル・牡・馬名ランズダウンロード)です。無敗の三冠馬コントレイルの初年度産駒になります。
お母さんのシユーマは、毎年のように産駒が評判になるのですが、今のところ、一流まで登り詰める産駒は登場していません。高い素質を秘めていながら、少し成長曲線がゆっくりだったり、体質面に悩まされたり……という印象があります。
この馬は、中間、骨瘤が出た影響で少し調教を緩められていた時期があったのですが、その前は、6月デビューも視野に入るほど順調に調整されていたそう。体質自体は強そうですし、「評判の割に活躍馬が出ていなかった母ちゃんが、マークが緩んだ頃に大物を出す」というのはよくあるパターン。
コントレイルは初年度から必ずダービーに出走馬を送り込んでくると思いますが、そのうちの1頭がこの馬だとみました。
◆果てはダービー、凱旋門賞も
4頭目はシュガーショックの23(父オルフェーヴル・牡・馬名:ショウナンバンライ)。2024年セレクトセール1歳セッションにて、税込2億2000万円で落札された馬で、お兄さんのラーゴム、エコロブルームは重賞ウイナーです。
お父さんのオルフェーヴルは2011年の三冠馬で、2012年凱旋門賞の直線で馬群を飲み込む走りは強烈なインパクトを与えました。種牡馬としても大きな期待をかけられましたが、父を彷彿とさせるような産駒はまだ誕生していません。
この馬は父も手がけたノーザンファーム空港・高見厩舎長の元で順調に育成中。値段に違わぬ素晴らしい馬に成長しているようです。来年のクラシック戦線での活躍はもちろんのこと、その先、父の成し得なかった凱旋門賞制覇の夢をみたくなる逸材です。
◆牝馬クラシック戦線の注目はこの馬
最後の1頭はスカイダイヤモンズの23(父サートゥルナーリア・牝・馬名:ディアダイヤモンド)。
実はこの馬は牝馬。なので、目指すべき目標は桜花賞、オークスですね。ノーザンファーム早来の取材では、厩舎長補佐の方から「弾むようなフットワーク。パワーもあるので坂をグングン上がってきます」という心強い言葉をいただきました。
牝馬クラシック候補として紹介しましたが、規格外の強さで「ダービー挑戦!」なんて未来もあるかもしれません。
以上、好き勝手に15カ月先の未来を好き勝手に占ってみました。私が現在編集を手掛けている『POG直球勝負2025-2026』では、牧場の方の声とともに未来のスター候補を紹介しています。牧場の思いを知り、デビュー前から追いかけていた馬が出世していく様を伴走することで、新しい競馬の魅力を発見できると思いますよ。
文/松山崇
【松山崇】
馬券攻略誌『競馬王』の元編集長。現在はフリーの編集者・ライターとして「競馬を一生楽しむ」ためのコンテンツ作りに勤しんでいる。