3分以内で装着、車が“浮かぶ避難艇”に大変身!? 下から履かせる、新発想のボディカバー 防災にもレジャーにも活用できる画期的アイテム

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2025年03月22日 10:50  まいどなニュース

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ダイハツミゼットとSmartに装着すれば船外機も取り付け可能

街なかでもチラホラ見かけるのが「車用ボディカバー」です。ボディカバーは、紫外線や雨、風、ホコリ、花粉、黄砂、鳥のフン、樹液などからボディを守るだけでなく、車種が隠れることで盗難やいたずら防止にも役立つ優れものです。そのため、大切な車を長持ちさせたいオーナーにとっては欠かせないアイテムと言えるかもしれません。通常、ボディカバーはヘアキャップのような形をしており、車の上からかぶせてタイヤ付近まで下ろして装着します。

【動画】実際に水に浮かんでいる様子 船外機を付ければ船のように動きます

ところが、ボディカバーを車の下から包んで装着している車を見つけました。その姿はまるで車がパンツを履いているかのよう。展示されていたのは、東京ビッグサイトで開催された「危機管理産業展2024」の会場。

開発したのは、防災関連の製造販売を手掛ける株式会社リンテック21で、「NEPTUNE CAR FRORT(ネプチューンカーフロート)」という製品。さっそく、代表取締役の富田真次さんに話を伺いました。

津波や河川の氾濫などから人命や車を守る

富田さんによると、ネプチューンカーフロートは津波や河川の氾濫といった災害から人命と車を守るために生まれたアイテムだそうです。「津波対策として巨大な防潮堤がありますが、高齢者や体の不自由な方、小さな子どもなど、すぐには高台に避難できない人々にとっては、防潮堤だけでは十分とは言えません。防潮堤は命や財産、インフラを守る一方で、環境への影響や景観の問題、そして莫大な建設費用が課題となっています。そこで、ネプチューンカーフロートを車に装着して車内に避難すれば、車が浮くので命も車も守れるのです。津波の試験はこれからですが、さまざまな実証試験をしており、将来的には津波対策として活用できれば」と富田さんは説明します。

確かに、強い津波に襲われれば車は流され、建物や他の車にぶつかってボコボコになる可能性はあります。それでも、水没せずに浮いていれば命は助かり、車も浸水を免れるため、災害時のBCP(事業継続計画)対策アイテムとして使えるでしょう。会場では海外からの来場者も興味津々で、このような商品は世界でも珍しいとのことでした。

装着方法はシンプルで、ネプチューンカーフロートを地面に広げ、その上に車を移動させ、天井にベルトホルダーをかぶせ、ボトムカバーで車を包み込んでベルトで固定します。津波警報が発令されたら一刻も早く装着する必要があるため、同社では「3分以内に装着」を目標にしているそうです。車のサイズによって異なりますが、軽自動車用の場合、折り畳むと約60cm×35cm×25cmになり、重量は約15kg。取っ手付きの専用バッグに収納すれば持ち運びも簡単。さらに、車が流されないための「ロストストッパー」、水の侵入を防ぐ「トップカバー」、衝突時の傷を防ぐ「カーフェンダー(衝突プロテクター)」といったオプションも検討中だとか。ネプチューンカーフロートは主に軽自動車向けに先行販売となりますが、バスやトラック、特殊車両にも対応できるよう特注も可能。

条件を満たせば免許なしでも船外機を付けて船としても使える

そして参考出品ながら、驚くことに災害時の避難用だけでなく、船外機を取り付ければ「船」としても使えるのが、ネプチューンカーシップです。ただし、船舶免許が不要な条件は、全長3m未満、推進機関の出力が1.5kW未満(約2馬力)、停止措置や保護装置があること。公式YouTubeチャンネルでは、ミゼットやスマートにネプチューンカーシップを装着し、船外機を取り付けて海上を進む様子が公開されています。

「これまでになかったジャンルの製品なので、関東運輸局では判断できず、国土交通省にまで相談が必要でした。そのため、全長が3m未満のミゼットやスマートは船として活用ができるのですが、全長が3m以上になる軽自動車は現状難しい状況です。ただし、災害時に浮かす目的であれば軽自動車でも使用可能です」と富田さん。開発には10年を費やし、現在特許出願中。

本製品を装着した車の底面はフラットになります。そのため、丸みを帯びた底面の一般船舶と比べても約1.5倍の安定性があり、さらに低重心と4本のタイヤによる転覆防止効果もあるとのこと。ネプチューンカーフロートは2025年1月末に発売され価格は30万円。もう一方のネプチューンカーシップの販売は未定ですが、防災アイテムとしてだけでなく、将来的にはレジャーにも活用できる可能性を秘めた画期的な商品でしょう。

(まいどなニュース特約・鈴木 博之)

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