元セクシー女優で現在はフリーライターの「たかなし亜妖」 元セクシー女優でフリーライターの「たかなし亜妖」がお届けする連載コラム。2016年に「ほかにやることがなかったから」という理由でセクシー女優デビュー。女優生活2年半で引退を決意し、ライターへ転向。現在は鳥越アズーリFM「たかなし亜妖のモザイクストリート」で冠番組を持つなど、メディア出演も積極的に行っている。
◆巷で横行している“ロマンス詐欺”とは
「色恋営業」とは夜の世界で非常にオーソドックスな接客テクニック。恋をした客は足繁く店に通うため、指名を安定させるには手っ取り早い方法だ。とはいってもリスクは高く、仮に店を一枚噛ませていても、やり方次第ではトラブルに発展することがある。その影響もあり、歌舞伎町のホストクラブで色恋営業に関する規制が強化された。
ただでさえ危険な方法なのに、パパ活で色恋営業を仕掛ける女性が増え、恋愛詐欺で逮捕される事案が多発。恋愛詐欺は、ときに「ロマンス詐欺」とも呼ばれ、歓楽街だけではなくマッチングアプリや出会い系サイトでも“仕掛け人”が存在するため、とても恐ろしいものだ。
詐欺と呼ばれるくらいなので、男性に引き出させる金額は1万や2万どころの話ではない。“頂き女子りりちゃん”のような数千万単位から数百万など、明らかにサラリーマンの平均年収を超えるような額を女性たちは手に入れる。
ロマンス詐欺をはたらく女性も、被害に遭う男性の数も急増しており、泥沼にハマる人間たちが後を絶たないという。
◆ロマンス詐欺を働く女性の背景
ロマンス詐欺で逮捕される女性は、必ずしも歓楽街の人間とは限らない。一般職の人間がマッチングアプリで出会った相手に結婚詐欺を仕掛けた事案も起きたくらいなので、職業に関してはあまり関係がないだろう。
しかし、夜職は“自分を好きになってくれる男性”を見つけやすい職業だ。店で出会い、プライベートの時間を割いて客と店外(店を介さず、外で客と会うこと)をして、金銭の授受を行うのが定番の流れである。「なぜ彼女たちはそこまでしてお金がほしいのか?」を説明すると、ホスト通いや美容整形、労働を最小限に抑えて収入を得たいなど、理由はさまざま。
ただ全員に共通しているのは小銭ではなく、大金がほしいこと。ゴールがぼんやりとしたままロマンス詐欺へ走るケースは極めて少なく、大抵は目的が明確であり、人によっては目標金額までハッキリと定めるそうだ。
詐欺を選ばずとも夜のお店でせっせと働けば大金を手にできる可能性は高いのだが、詐欺の手を染める女性はどこかラクをしたい気持ちが強い。夜職は毎日一生懸命出勤をして接客力を身に着け、地道な努力を怠らない人だけが光を掴めるため、ステップを飛ばしたいタイプからすると面倒な仕事ではある。
短期間ですぐに大金を手にしたいならコツコツ頑張るより、最初から自分に好意を寄せる男性に仕掛けた方が確実だと考えれば、ロマンス詐欺へ至るのは時間の問題だろう。
まぁ1人の人間を沼に落とせる女性は全くのおバカちゃんではないため、それなりに“沼らせる心理テクニック”を心得ている。能力を間違った方向へ活かした結果、ときに悲惨な事態を招くのだ。
◆なぜロマンス詐欺に引っかかるのか
ロマンス詐欺に引っかかる男性も、最初から疑いの余地なく相手に近づくわけじゃない。どこかおかしいと感じつつも、女性のことを好きになっているせいで大きく判断力を失ってしまっている。
さらに“仕掛け人”は分かりやすく「あなたのことが好きです。あなたは私にとって必要な存在ですよ」というフリをするせいで、引っかかった人間は「自分は好かれている」と錯覚し、あっさりお金を差し出してしまう。
この手の営業法は男性の狩猟本能を大きく刺激するのに最適で、彼女たちは捕まりそうで捕まらない絶妙な雰囲気を演出するのがうまい。女性たちは当然ながらターゲットのことをカモにしか思っていないため、心の距離をわざと縮めすぎずに関係を続ける。
すると、どうなるか?好意を抱いた男性からするとこの何とも言えぬ距離感がたまらず、目の前に人参をぶら下げられた馬のようになる。「あともう少しやれば、オトせるかもしれないから」……と信じてやまず、気づくととんでもない金額を貢いでしまうのだ。
◆直接的なお金のやり取りは非常に危険
落ちそうで落ちないクレーンゲームにハマるタイプがいる一方で、もともと警戒心が足りない人も多い。「自分は大丈夫」とか、「あの子なら信頼できるから、詐欺ではない」と間違った思考を持ち、気づいたときには取り返しがつかなくなっている。
どこかで引き返せれば良いものの、出会った時点で金銭が絡んでいればお金を渡して会うのが当たり前になっているせいで、今さら「もう渡せない」とは言えないだろう。別れを恐れてすっかり言いなりと化し、大きなトラブルへ発展した際にようやく目が覚める……という悲しきオチである。
女性は店に中抜きをされたくないけど、大金がほしい。男性は意中の相手を外に連れ出し、独り占めをしたい。このような双方の要望がうまくマッチすると店を介さない“直引き(裏引き)”が成立し、ときにロマンス詐欺を招く。
どこからどこまでが詐欺で営業なのか難しいところだけど、直接的なお金のやり取りは非常に危険であり、お互いに人生を壊す恐れが考えられる。働き手と客、そして金銭だけの関係という時点で全くフェアではないのだから、その点を頭の片隅にしっかりと置いてほしい。
大々的に報道されていなくとも、今日もどこかで詐欺をはたらき、泣き寝入りをする困った人間たちがいる。男性は節度を持って遊び、そして女性は「人としてやってはならないラインはどこか」を考えてほしいと、私は部外者ながら思ってしまうのだった。
文/たかなし亜妖
―[元セクシー女優のよもやま話]―
【たかなし亜妖】
元セクシー女優のフリーライター。2016年に女優デビュー後、2018年半ばに引退。ソーシャルゲームのシナリオライターを経て、フリーランスへと独立。WEBコラムから作品レビュー、同人作品やセクシービデオの脚本などあらゆる方面で活躍中。