【世界フィギュア女子】韓国の新星キム・チェヨンは「侮れない存在」 坂本花織は前戦のリベンジで4連覇なるか?

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2025年03月24日 07:20  webスポルティーバ

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世界フィギュア2025・女子シングル プレビュー

 3月26日(現地時間、以下同)にショートプログラム(SP)、28日にフリーが行なわれるフィギュアスケートの世界選手権、女子シングル。最大の見どころは、2022年から大会3連覇をしている坂本花織(シスメックス)が、4連覇を達成できるかどうかだ。大会4連覇すれば、66年ぶりの快挙となる。

【坂本花織は4連覇の偉業を意識せず臨む】

「4連覇はあまり意識せず、来季の(ミラノ・コルティナダンペッツォ)五輪までの2シーズンをトータルで考えたい」との意識をもって今季に臨んだ坂本。「いろいろな挑戦をしている最中」だと、231.88点の高得点で優勝した2024年11月のNHK杯以降は、さらなる得点力アップのため、フリーでは基礎点が1.1倍になる演技の後半に3回転+3回転の連続ジャンプを入れるなど挑戦を続ける。

 だが今季は、波の大きい結果となっている。10月のGPシリーズ・スケートカナダは、優勝はしたもののフリーで崩れて合計201.21点。12月のGPファイナルもSPは4位と出遅れ、フリーも細かいミスを連発して201.13点。急成長中のアンバー・グレン(アメリカ)に9月のロンバルディア杯に続いて敗れ、千葉百音(木下アカデミー)も下回る3位という悔しい結果に終わった。

 その後、年末の全日本選手権優勝で悪い流れを払拭したように思われたが、2025年2月の冬季アジア大会ではSPを1位発進しながらも、フリーでは後半の3回転フリップの転倒などのミスが出た。最終的にキム・チェヨン(韓国)に逆転され、211.90点で2位と、想定外の結果だった。

 この敗戦で坂本は、世界選手権4連覇に対する意識を強くしたはずだ。グレンやキムといった、追いかけてくる選手が出現するなか、ビッグタイトルをひとつも獲れずに終わってしまえば、五輪シーズンへの流れをつかめなくなる。

【急浮上のキム・チェヨンは侮れない存在】

 現状をみれば、坂本が万全の演技をして230点台に乗せれば優勝の確率はかなり高くなる。だが220点台の勝負になれば、盤石とはいえない。急浮上してきているキムが、その位置につけているからだ。

 2022−2023シーズンに初進出のジュニアGPファイナルで3位になり、世界選手権にも出場して6位に入ったキム。昨季は四大陸選手権で2位、世界選手権はフリーで巻き返して3位になっていた。

 今季は出足が悪くGPファイナルの進出は逃しているが、年が明けると冬季アジア大会で坂本を破る金星を挙げ、その翌週の四大陸選手権では自己最高の222.38点で圧勝した。

 今季のGPシリーズまでは、しなやかな滑りを注目されながらも、ジャンプの回転不足やフリップのエッジ不明瞭などの判定もあり、得点を伸ばしきれずにいた。それが、アジア大会と四大陸でジャンプのミスを解消。滑りに力強さも加わってメリハリもつき、演技構成点を上げてきた。

 坂本と比較すれば、要素の構成内容はほぼ同じで、キムのほうがまだGOE(出来ばえ点)加点が低く演技構成点も少し劣る状況だ。しかし、四大陸の優勝で存在感を大きくアピールしたこともあり、その評価はまだ伸びる可能性が大きい。四大陸は地元のソウル開催だったとはいえ、2週連続の試合できっちりと滑りきった地力の高さもある。これからの伸び率を考えれば、侮れない存在になってきたといえる。

【GPシリーズ全勝のアンバー・グレンは勢いあり】

 もうひとり、今季からトリプルアクセルの完成度を上げて一気にトップに躍り出てきたグレンがいる。GPシリーズは2017年の中国杯が初出場で、世界選手権も2023年と2024年に出場しているが、最高位は2024年の10位とあまり目立たない選手だった。

 だが、今季はチャレンジャーシリーズのロンバルディア杯でSP、フリーともにトリプルアクセルを決め、自己最高得点を15点以上更新する212.89点で坂本らを抑えて優勝。そしてGPシリーズは、フランス杯、中国杯、GPファイナルまで3連勝と、勢いに乗る。

 ただ、自己ベストはまだ215.54点と伸び悩んでいる。SPとフリーそれぞれの最高得点を合計すれば222点台になる計算だが、まだ両方をノーミスでそろえる演技はできていない。

 演技自体も、本当に完璧といえるのはフランス杯で78.14点を出したSPくらいで、フリー自己ベストの中国杯の144.70点は、フリップのエッジ不明瞭や「q」判定があり、GOE加点もまだ十分には伸ばしきれていないのが現状だ。

 それでも勢いがあるだけに、ノーミスをそろえればポンと得点が上がる可能性もあり、220点台の争いになればキムとともに食い込んできそうな存在であるのは間違いない。

【日本勢の五輪出場3枠獲得は固い】

 この3選手の争いに加わってきそうな力を持っているのは、自己最高が214.98点の千葉と、215.74点のイザボー・レヴィト(アメリカ)。だが千葉は、年明けからは少し不調で、どこまで立て直せるかが課題となる。

 また、レヴィトは今季、GPシリーズ2戦目に続き、全米選手権も棄権。2月の五輪プレ大会で復帰したが、状態をどこまで上げられているかの疑問もある。また、2023年世界選手権2位のイ・ヘイン(韓国)もいるが、今季初の国際大会の四大陸選手権は8位と、まだまだ仕上がっていない。

 一方、2025年の五輪へ向けて日本の出場3枠の獲得をめぐっては、坂本と千葉のほかに樋口新葉(ノエビア)もいるのが心強い。出場選手のなかで今季200点台を出しているのは日本勢3人を含めて6人だけ。3枠獲得の条件は、上位2人の順位合計が13以内。よほどのことがない限り、日本女子の3枠獲得は固い状況だろう。

世界フィギュア2025・男子プレビューを読む>>

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