ヴェロックスが青山学院大に“入学”!? 19年クラシックにぎわせた実力派が馬術部の一員になったワケ

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2025年03月25日 11:30  netkeiba

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青山学院大学馬術部で第二の馬生を歩むヴェロックス(c)netkeiba
 近年、18年の有馬記念覇者ブラストワンピースがRRC引退競走馬杯に出場するなど、競走馬の引退後に注目が集まっている。そんな中、大学馬術の名門・青山学院大学体育会馬術部に、19年のクラシックをにぎわせたヴェロックスが“入学”したという知らせが。SNSにおいて「#春から青学」のハッシュタグで話題を呼んだ同馬の今を探るべく、同大学を訪れた。(取材・文 netkeiba編集部)

 ヴェロックスは父ジャスタウェイ、母セルキス、母の父Monsunという血統。18年夏にデビューした後、19年の皐月賞2着、ダービー3着、菊花賞3着となるなどクラシック戦線をわかせた。22年の小倉大賞典をラストランに現役を引退すると、その後は乗馬としてRRC滋賀大会にも参加。今年からは青山学院大学馬術部の一員となった。

 100年以上の伝統をもつ同大学馬術部では、入厩の際に冠名である「ブルー」の入った名前にリネームされるのが慣例。しかし「現役時代から多くのファンがいる馬で、今後も同じ名前で愛されてほしい」という部員の思いから、長い歴史の中で初めて競走馬時代のままの名前で活動を開始した。部員たちから「ヴェロくん」の愛称で親しまれている同馬。入厩当初からコンビを組む石原ほのか選手に印象を伺うと、「人懐っこくて賢い子です」と笑顔を見せる。

 性格はその言葉の通り社交的。厩舎を訪れた際には馬房から頭を出して楽しげに出迎えてくれた姿が印象的だった。競技に関しても、GI戦線で活躍していただけあり他の馬とは「力の出どころが違う」という。青学“転厩初戦”となった、3月の大会で3位になるなど、早速結果を残した。

 しかし数年前まではJRAのターフを走っていたヴェロックス。どのようにして大学の馬術部へとたどり着いたのだろうか。同部ではこれまで多くの引退競走馬の受け入れを行っており、経路や経緯は様々。ただ、総務主務を務める内田峻太さんは共通点としてそこをつなぐのは「人の縁」と強調する。

 大学馬術部の中にはOBに牧場関係者がいることもあり、それらの縁から声をかけてもらうケースが多いのだ。加えて、受け入れにあたって「人馬のレベル、相性が一致すること」を大切にする。どれだけ優秀な馬でも、乗り手が扱うことができなければ危険が伴うだけでなく、馬の能力を生かせない。それらを防ぐため、馬選びの際は受け入れ前に学生が繋養先に試乗しに行き、入念な事前チェックを行う。こうしてヴェロックスも“入学”を果たした。

 現在は部員30名、16頭の馬たちが所属。部員の大半は大学から馬術をはじめ、馬乗りの基礎から学び、大会での頂点を目指す。多くの大会は一般公開されており、彼らの活躍をそこで見ることができる。新天地でがんばる元競走馬と青春をささげて日々努力を重ねる若人たち。その背中を押しに観戦へと出かけてみてはいかがだろうか。

◆一口メモ
 現在、青山学院大学馬術部では一般向けの厩舎の見学、馬の公開は行っていないが馬術大会などに出場の際は観戦が可能。出場する大会の情報は同部の公式SNS(Instagram,X等)のほかホームページにて確認することができる。

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