収得賞金の算出方法一覧(c)netkeiba クラシック開幕を間近に控え、この時期に気になるのが出走ボーダーライン。優先出走権を獲得した馬を除き、重賞出走馬は収得賞金によって決まっているが、仕組みは少々複雑なものになっている。特に今年から、春のJRA3歳GI出走馬決定方法の変更が行われ、困惑している人も多いのでは? そこで2歳、3歳の制度を中心に「収得賞金」とはなにか、いま一度振り返ってみたい。
JRAのホームページにある競馬用語辞典によれば、収得賞金とは「競走条件(クラス)を区分するための賞金」とされている。よく耳にする1着賞金と収得賞金には互換性がない。一例を挙げれば、2歳新馬戦の1着本賞金は750万円、未勝利戦の1着本賞金は560万円だが、収得賞金では一律に1着400万円が算入される。同じように1勝クラスでは500万円、2勝クラスでは600万円、3勝クラスでは900万円が加算。オープン昇級には1601万円以上が必要なので、新馬/未勝利から3勝クラスまで順番に勝ち上がると、2400万円となってオープンクラスとなる。
オープン特別やリステッド競走も金額が決められている。2歳リステッド競走では800万円、オープン特別では600万円。以下同じく、3歳ではLが1200万円、OPが1000万円。3(4)歳以上のいわゆる古馬戦ではLが1400万円、OPが1200万円となり、リステッド競走を勝つほうが少し収得賞金の上でも有利になる。
重賞のレース後に「2着以内で賞金を加算できたので」というコメントをしばしば耳にする。これは、条件戦やオープン特別/リステッド競走は1着馬のみ収得賞金が加算されるが、重賞では2着まで加算されるため。2歳のGI/GII、3歳重賞、および古馬重賞では1着、2着本賞金の半額を加算。すなわち、1着1億円、2着5000万円の競走なら、1着馬に5000万円、2着馬に2500万円が算入される。ただし、2歳馬のGIII競走は賞金額に関わらず、1着1600万円、2着は600万円と決められている。
現3歳世代でもっとも収得賞金が多いのはクロワデュノール。実際の競走成績に照らして見てみよう。2歳新馬戦を制して400万円を加算。続く東スポ杯2歳Sで初タイトルを獲得したが、こちらは重賞かつ1着3800万円のレースなので、半額の1900万円が算入される。そして暮れに1着7000万円のホープフルSを勝ち3500万円を上乗せ。合計で収得賞金5800万円となった。
なお、今年からJRA春の3歳クラシックとNHKマイルの出走馬決定方法が変更。昨年までは「通算の収得賞金」で決められていたが、今年からは「芝コースで行われる、JRAオープン競走、1勝クラス競走およびパート1に定める外国の競走で獲得した収得賞金」へ。すなわち、どれだけダートで好成績を残していても、芝での実績がなければ前述のレースでの出走順位決定に反映されなくなった。
春の3歳GIに向けた出走権利争いも大詰め。今週末の毎日杯を勝っても優先出走権は得られないが、1着賞金は4100万円。勝利すれば2050万円が収得賞金に加算されるため、皐月賞などに出走できる可能性がかなり高まる。大舞台に駒を進める馬はどの馬になるか。ボーダーラインと照らし合わせながら、ゆくえを見守りたい。