
【写真】水瀬いのり&寺島拓篤のインタビュー撮りおろしが満載!
■第2期で深まるキャラクター同士の関係性
――第2期の制作を知った際の気持ちを教えてください。
水瀬:第1期の最終話で、エンディングに玉那覇さんが登場したんですよね。あの瞬間、「ただの生徒ではないだろうな」と感じさせるオーラを放つ新キャラクターが出てきて、「もしかして、これ続きがあるのかな?」と視聴者のみなさんも期待していたのではないでしょうか。
第2期が形になったというのは、第1期を応援してくださったみなさんのおかげですし、その反響が届いた結果だと思います。本当に「待ってました!」という気持ちですし、視聴者のみなさんや原作ファンの方々にとっても待望の第2期だと思います。
第1期のアフレコ中から「もし続きが作られるなら、こんなシーンも見られるかもしれないな」と思いながら演じていた部分もあったので、第2期でライドウくんとれいなちゃんの物語をまた演じられること、そしてアニメーションとして楽しめることが、本当に嬉しいです。
寺島:僕も、本当に素直に「嬉しい!」という気持ちが一番でしたね。『阿波連さんははかれない』は演じていて楽しくて、ライドウくんとしてあの独特な空間にいられる時間がすごく幸せだったんです。
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第1期で登場したキャラクターたちの関係性が深まり、それが第2期のスタート地点になるので、また新しい賑やかさが生まれるんじゃないかと感じています。
――第1期を振り返って「これは演じていて面白かった!」というシーンは?
寺島:最初に印象に残ったのは、阿波連さんにとにかくミートボールを詰め込まれるシーンです。本当に楽しくて、「こういう作品なんだ!」と衝撃を受けたシーンでした(笑)。タイトルの『阿波連さんははかれない』がまさに体現されたような場面で、モゴモゴ言いながらも内心ではかなり驚いているライドウくんは演じていてすごく面白かったですね。
水瀬:私はライドウくんの妄想によって、想像もしなかったれいなちゃんが具現化されるシーンですね。妄想バージョンのれいなちゃんを演じる機会がたくさんあって、本来の彼女では考えられないようなことが、ライドウくんの頭の中ではどんどん宇宙規模で広がる。そのギャップがすごく楽しくて、笑いをこらえるのが大変でした(笑)。
――そんな第1期を経て付き合い始めた阿波連さんとライドウくんですが、第2期での収録を通じて、ご自身の演じるキャラクターの変化を感じる部分はありましたか?
水瀬:れいなちゃんが恋をする姿って、最初はなかなか想像がつかなかったんです。ライドウくんとの距離感も、友達から少しずつ異性への意識や恋心に変わっていくところがあって。でも、この2人の関係って、いわゆる王道のラブコメとはやっぱり違うんですよね。この2人にしか分からない独特の距離感や空気感があって、そこが本当に魅力だと思うんです。
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もちろん、これまでと変わらない2人ならではのシュールな笑いも健在です。ただ、その笑いに、お互いを想う気持ちが加わることで、ちょっと切ない展開がプラスされている。そこが第2期ならではのれいなちゃんの新しい一面だと思います。
寺島:ライドウくんは内面的にはしっかり変化があるんですけど、表情があまり動かないキャラクターなので、第1期からの表面的な変化はほとんどないんです。見ていると、阿波連さんの方が顔を真っ赤にしたり、慌てたり、小さな仕草の中に大きな感情の動きが見える場面がたくさんありますよね。でもライドウくんの場合、それが表には全然出てこないんです。
とはいえ、2人とも内側の世界はすごく広がりがあって、そこがこの作品の面白いところだと思います。恋愛関係として「お付き合いしています」というセリフがあったとしても、それで彼の感情が大きく揺れるようなことはなくて、むしろ、受け止めたことにはしっかり向き合う姿勢を貫いているのがライドウくんらしさだと感じます。
第1期の終わりで、阿波連さんとの関係性は彼の中でもきちんと形作られているので、そこからさらにどう関係が深まっていくのか、あるいはライドウくん自身に変化が生まれるのか、それとも全く変わらないのか。そうした点に注目していただけると、より楽しんでいただけるんじゃないかなと思います。
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――第1期を経て登場人物も増えてきましたが、お気に入りのキャラクターは?
水瀬:私は石川くん(CV:柿原徹也)ですね。見ていて「初めての感情」を抱くような、新鮮で不思議なキャラクターだなって。ただのクラスメイトにしておくにはもったいない存在ですが、スポットライトを当てないからこその魅力もあって、つい気になってしまうんです。
佐藤さん(CV:楠木ともり)もそうですが、メインではないキャラクターたちにも華があり、彼らが阿波連さんたちと同じ世界にいることで生まれる面白さがすごく素敵だなと感じますし、ライドウくんと阿波連さんがクールでモノローグ多めなキャラクターなだけに、石川くんが「おはよう!」と明るく声をかける姿を見ると、「あ、ちゃんと学生生活してるんだな」と思えるんですよね。そうした学校全体の温かい雰囲気を見ていると、すごく安心します。
寺島:僕は阿波連姉弟がすごく可愛いなと思います。家族仲が本当に良くて、見ているだけで微笑ましいんですよね。れん役の久野美咲さんと、える役の日高里菜さんが、絶妙なさじ加減で演じているからこそ、「こんなの見たことないぞ!」というユニークなキャラクター像が完成していて。
でも、同時に「阿波連さんをお姉ちゃんに持つ家族なんだな」としっかり納得できる人物像にもなっているんです。そのバランスが絶妙で、登場するたびにその温かさや面白さに癒されていますね。
――アフレコ現場も学校みたいに賑やかそうですね。
寺島:(コロナ期間中だった)第1期の頃は分散収録が多かったので、キャスト全員が揃うことがほとんどなかったんです。だから、第2期でみんなと一緒に収録できたのは本当に嬉しかったですし、その喜びもひとしおでしたね。
水瀬:私たち2人は比較的固定で一緒に収録することが多かったんですけど、それ以外のキャラクターについては、オンエアで初めて演技を聴くことがほとんどで。今回の収録で桃原先生役の花澤香菜さんの「あはれ」っていう吐血シーンを生で見ることができて、体を揺らしながらお芝居されているのを目の当たりにして、「さすが香菜さんだな」と感動しました(笑)。
寺島:すごい迫力だったよね(笑)。あと、ずっとみんなで夢の国の話をしてましたね。イベントがいつやってるとか、グッズがどうだとか、そんな話題で盛り上がっていて。賑やかにしていたら、音響監督の阿部信行さんも「楽しそうだね」って自然に会話に入ってきてくれるんですよ。それがまた嬉しかったですね。
水瀬:「先生が来た!」みたいな感じで、みんなでワイワイ盛り上がっていましたよね(笑)。毎回差し入れのお菓子をいただくことも多くて、すごく和気あいあいとした雰囲気でしたね。リラックスしながら、それでいて濃密な時間を過ごせた収録現場だったなと思います。
■水瀬いのりと寺島拓篤が語るコミュニケーション術
――飛躍した妄想が面白いライドウくんですが、自分では「これが正しい!」と信じていたことが実は間違っていて驚いた経験はありますか?
水瀬:私、ずっと「オパール」は「パール」の丁寧語だと思っていたんです(笑)。お魚とかお肉みたいな感じで。「オパールというものがあって、パールも存在する」っていう場面に出くわしたとき、自分の中の世界が一つ崩れた感じがしました。
しかも、「じゃあ、オパールに『お』をつけたらどうなるの?『おオパール』になっちゃうの?」って混乱してしまって(笑)。それを普通にスタッフさんたちの前で話してしまって、「えっ?」という空気になったのが恥ずかしかったですね。
寺島:水瀬さん、いつもしっかりしてるのに意外と抜けてるところもあるんですね(笑)。でも、僕も似たような経験がありますよ。車に乗り始めた頃、「軽自動車は軽油で走るんだ」と本気で思ってたんです。ディーゼル車が軽油で、軽自動車はレギュラーガソリンだってことを、自分の車を持つときに初めて知りました(笑)。
――名称にまつわる勘違いはよくありますよね(笑)。また、阿波連さんのように「他人との距離感をつかむのが苦手」という人も多いと思いますが、普段の人間関係で意識している「相手との距離の取り方」や「大切にしているポイント」はありますか?
水瀬:私も昔は、対人関係やコミュニケーションで「相手にどう思われているんだろう」と気にする時期がありました。学生時代なんかは特に、「人と違うことをするのはダメなのかな」と迷ったりもしましたね。でも、基本的に私は「好き」という気持ちに正直でいたかったので、そういう迷いの中でも、人に迷惑をかけない範囲で「幸せ」と思えることを大事にしたいと思ってきました。
悩んでいる人には、「人って、意外と他人のことを気にしていないものだよ」と伝えたいです。大人になって気づいたのは、みんな自分のことで精一杯で、他人のことをそれほど見ていないということ。それが逆に糧になるんです。「見られてないならありがたい、気楽にいられる」って(笑)。
この仕事をしていると「注目されない」ことが必ずしもいいことではないのかもしれませんが、逆に気づいてくれる人が少数でもいてくれるなら、それは自分の強みになると思います。
――素敵な考え方ですね。寺島さんはいかがですか?
寺島:僕は、ベテランの方とのコミュニケーションでどうしても気を遣いすぎてしまうことが多かったんです。でも、それって逆に相手に気を遣わせてしまうこともあるんですよね。だから、「気を遣わせるより、自分からしっかり接していこう」と思うようになりました。
特に、ベテランの方が冗談を交えたり、ちょっとボケている瞬間を見逃さないように意識しています。そこをスルーせずにしっかり拾って、むしろ思いきってツッコむようなコミュニケーションを心がけています(笑)。そうすると、自然とお互いの距離も縮まって、楽しいやり取りができるようになるんですよね。
僕自身、大勢で話しているときに、自分の声が小さくて小さなボケが拾われないことが結構あったんですよ。それで寂しい思いをした経験も多くて。だからこそ、自分がそういう経験をしてきた分、誰かのボケを取りこぼさずに拾って、しっかりツッコんであげるように気をつけています。
みんなで話している場面では、先輩後輩の垣根を越えて、全員が一緒に楽しめる雰囲気を作りたいんです。それが僕なりに意識しているコミュニケーションのポイントですね。
水瀬:私も寺島さんと一緒にいると、こんなにツッコミを入れてくれたり構ってくださるんだなって思います。こちらがポイッと投げたものでも、必ずちゃんと丁寧に梱包して返してくれるというか(笑)。その安心感がすごくあって、一緒に話していてとても楽しいんです。
寺島:その方がありがたいんですよ。みんながのびのびしてくれていると、こちらもすごくやりやすいですし、自然といい空気が生まれるんですよね。
――最後に、第2期の放送を楽しみにされているみなさんへメッセージをお願いします。
水瀬:物理的な距離は最初から近かったけれど(笑)、2人の心の距離が少しずつ近づいていく様子が印象的に描かれた第1期から、第2期では学生生活という限られた時間の中で、「今がやがて過去になるんだ」と感じるようなセンチメンタルな空気が漂い始めます。
それぞれが将来について考えたり、学校生活が永遠ではないことに気づいたりする中で、れいなちゃんにとってかけがえのない存在であるライドウくんと過ごす時間が、どんな成長を彼女にもたらすのか。その変化をぜひ見届けていただけたら嬉しいです。第2期も楽しんでくださいね!
寺島:第1期でもそうだったんですが、毎回ハチャメチャなエピソードが続くので、「この2人、そういう関係になりそうだな」と思っていたことを終盤で「あ、くっついたんだ!」と改めて感じた方も多いと思います。
第2期は、そんな2人が築いた関係から新たにスタートし、「これからどうなるの?」という展開が描かれていきますが、また1話からドタバタの連続で、そんなことを忘れてしまうかもしれません(笑)。でも、そんな瞬間瞬間の出来事に注目しながら、最終的にどんな感情を抱いて物語を受け止めてもらえるのか、すごく楽しみにしています!
(取材・文・写真:吉野庫之介)
テレビアニメ『阿波連さんははかれない season2』は、4月7日よりTOKYO MXにて毎週月曜22時放送。