中年男性が「履いてはいけない」靴。40代以上には“残酷なほど似合わない”憧れのアイテムも

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2025年03月26日 16:01  日刊SPA!

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アディダス「グランドコート」。3984円。写真は販売サイトのAmazonより
こんにちは、シューフィッター佐藤靖青(旧・こまつ)です。靴の設計、リペア、フィッティングの経験と知識を生かし、革靴からスニーカーまで、知られざる靴のイロハをみなさまにお伝えしていこうと思います。
世知辛いと思われるかもしれませんが、人は見た目が9割です。今回は単刀直入に「中年が注意すべき靴」がキーワード。中年以降になると靴選びが億劫になりがちですが、足元からくる年齢感によって残念な人が多くいらっしゃいます。なんか最近急に老けて見えるな、と感じていたら、案外靴が原因ということもよくあります。中年が若作りにもならず、好印象な靴を選ぶにはコツがあるのです。

◆「汚い靴」は論外。靴の洗濯は最高・最強の技

まず、「汚い靴」だけは避けてください。ブランドも価格も関係ありません。汚い靴に年齢も性別も関係ないのですが、中年以降は特に足元の清潔感が生活感を表すのが現実です。スニーカーであれば、無思考で洗いましょう。表面がナイロンやメッシュなどの布系であれば、家庭用の洗濯機で洗えます。特別な洗剤もいりません。洗濯洗剤で十分です。スニーカーも水を吸うとかなりの重さになるので、「靴用洗濯ネット」を使うと洗濯機へのダメージも心配ありません。

Amazonでも楽天でも、靴用ネットは2000円程度で手に入ります。どれを選んでも品質にそこまで差はありません。靴用ネットは洗濯機へのダメージを考慮したクッション材として機能するので、特に迷う必要はありません。

靴メーカーはクレームを考慮して「この靴は洗濯機で洗えます!」とは堂々と言いませんが、スニーカーのほとんどはこの方法で洗えます。私は緩衝材として、玄関マットやキッチンマットと一緒に洗うので一石二鳥。もし近所に「靴も洗えるコインランドリー」があれば、ガンガン活用しましょう。

スタンスミスなどのオールレザーでできている靴は、洗濯機の故障原因となるので手洗いをおすすめします。これも難しいことは考えず、お風呂に入るときに洗ってしまえばOKです。使うものは100均のスニーカー用のタワシだけ。ボディソープでも、髪用のシャンプーでも大丈夫です。スニーカー用のシャンプーも各メーカーから販売されてはいますが、個人的には必要ないと感じています。

革靴は靴磨き屋さんにまかせましょう。ミスターミニットで頼むと1100円でやってくれます。自分でケアするのも悪くありませんが、ブラシ・汚れ落とし・クリームを一式そろえると、最低限1万円以上は余裕でかかります。革靴に関してはプロに丸投げの方がコスパもタイパも絶対にいいでしょう。

◆おじさんとバッシュの微妙な関係

40代以上だと、ジャストでスラムダンク世代でしょう。私も映画版をネトフリで10回以上は見ました。かっこいいですよねえ、バッシュ……。高校時代にはじめてエアジョーダン5を町中で見かけたときは、「これがアメリカでは入手困難のせいで殺人事件にまで発展したモデルか」と感慨深かったことを思いだします。しかし今は復刻版がガンガン販売され、スニーカーブームも一段落して、プレミア価格でなくとも憧れのモデルが手に入ります。

悲しいかなこのハイテクバッシュというのは日本人の中年には残酷なほど似合いません。2メートル近くある大柄な外国人ならサマになるのですが、日本人の小柄な体型では「おもちゃ」にしか見えないのです。そもそも長距離を歩くには脚力も必要ですし、メルカリで格安のものを買うと、かなりの確率で加水分解している場合が多いです。憧れは憧れのままにしておきましょう。それでもナイキを履きたいなら、クラシックスタイルのエアフォースワンや、レトロランニングのコルテッツあたりが無難です。

◆その一足、大丈夫?合皮スニーカーの意外なデメリット

なにもかもが値上がりし、靴にお金をかけられないという事情はよくわかります。しかし、私の身の周りのお父さん世代でよく見かける「ちょっといいブランドの合皮スニーカー」も、思ったより安っぽさ丸出しなので手出し厳禁です。

Amazonやしまむらで3000〜4000円で売られている合皮アディダス。クラシックなデザインで配色も落ち着いてはいるのですが、この手の格安合皮スニーカーは加水分解で壊れるのも異常に早く、コスパは最悪です。洗っても汚れが全然落ちません。合皮というよりビニールに近い素材なので、履きジワに汚れがあっという間に定着します。ストレートに言ってしまうと、数か月で不潔な印象の残念な靴になってしまうのです。実際、インソールが取り外せず、合皮だと蒸れやすくなり、臭いが発生しやすくなります。まさに安物買いの銭失いです。

徹底的にコストを抑えるなら、おすすめブランドはふたつ。歩く・走るなどの機能に特化するならワークマン、おしゃれに振り切るならGUです。同価格帯でも低コスト・高クオリティの靴が手に入ります。

◆オンオフ兼用は危険信号。ビジカジ靴の盲点

最後に、「オンオフ兼用で使えますよ」がウリのビジネスカジュアル。中でも合皮・横チャック付きは便利そうではありますが、シニア感満載になるので手を出さないのが賢明です。この手のシューズの設計は完全に「お年寄り」のために設計されています。思うように指先が動かない、靴のメンテナンスも難しいという方にはやさしいつくりですが、まだそこまで制限されていない方はやめておきましょう。

オンオフ兼用は令和の地雷ワードです。服の世界には通用しても、靴の世界は一周遅れています。これにより、まあまあの高額品でなければオンオフ兼用はどっちつかずのイタイ靴になる可能性が高いです。この手の靴は、ショップとしては販売しやすいので「オンオフ兼用、雨の日も安心、出張にも使えますよ」と3拍子揃うと万人に勧められるかもしれませんが、一歩引いてよく考えましょう。

ちなみに合皮シューズの寿命はせいぜい2年です。個人的におすすめできるものとして、メレルの「ジャングルモック2.0」が良いと思います。横チャックではなく、するっと足が入るハンズフリー構造。合皮ではなく、撥水加工されたフルグレインレザー。雨の日を想定したすべりにくいビブラムソールです。通常のジャングルモックはどこかもっさりしていてメリハリの効かないフォルムですが、「2.0」は街履きを強く意識しています。悪天候もオフロードも関係なく、運転にも支障がないので、ジャケットスタイルの出張まで想定するならこのあたりが目安です。

40代を超えてくると、靴選び自体が面倒になって体のあちこちにガタも出始めるので、なんとなくネットで買ってしまう気持ちもわかります。いざ買ってみると「しっくりこない」と感じる方が多いでしょう。買う前に、まずは気軽に靴を洗うところから始めるのがベストです。買うならやはり実店舗です。自分のお気に入りとマイサイズをしっかり把握したら、2回目以降はネットが有効です。憂鬱な世の中、足元から気分を上げていきましょう。

【シューフィッター佐藤靖青】
イギリスのノーサンプトンで靴を学び、20代で靴の設計、30代からリペアの世界へ。現在「全国どこでもシューフィッター」として活動中。YouTube『足と靴のスペシャリスト』。靴のブログを毎日書いてます『シューフィッター佐藤靖青(旧・こまつ)@毎日靴ブログ』

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