静岡県とノボ ノルディスク ファーマが連携協定締結
健康診断や人間ドックなどで「脂肪肝」と言われたり、肝機能の異常を指摘されたりしたことはありませんか? 肝臓は「沈黙の臓器」と言われており、深刻な疾患に進行するまで症状があらわれにくいことが知られています。日々の忙しさなどから、受診をしないままにしている人も少なくなく、適切なタイミングでの受診や治療の開始が課題となっています。
静岡県は2025年3月21日、肝疾患の重症化予防対策を強化するため、製薬会社のノボ ノルディスク ファーマと連携協定を結びました。同日の協定締結式で静岡県の鈴木康友知事は、「脂肪肝の人を早期に発見して、肝硬変や肝がんになる人を減らしたい」と強調。「まずは伊豆市、伊豆の国市、函南町を対象にモデル事業を始め、ゆくゆくは県全域の取り組みにつなげたい」と意気込みを語りました。

静岡県の鈴木康友知事(左)とノボ社のキャスパー社長(右)(静岡県、ノボ社提供)
肝疾患はこれまで、B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスに感染することで肝硬変、肝がんに進行していくケースが多く、各都道府県は厚生労働省の「肝炎対策基本指針」に基づいてウイルス性肝炎対策に取り組んでいます。しかし近年はウイルス性肝炎の治療が進歩したことで、脂肪肝などから進行する肝硬変や肝がんの割合が増えてきました。こうした背景から静岡県では2024年3月、全国に先駆けて「肝疾患対策推進計画」を策定。ウイルス性肝炎に限らない肝疾患対策に取り組むことを明記しました。
肝臓の硬さを推測する「FIB-4 Index」を活用
ノボ ノルディスク ファーマとの連携協定を通じて静岡県は、脂肪肝が無症状のまま肝硬変や肝がんに進展する可能性があることを、県・県内市町を通じて動画やポスターで啓発し、医療機関への受診を促すとしています。
また、血液検査のAST値、ALT値、血小板数と年齢を組み合わせた計算式から肝臓の硬さを推測する「FIB-4 Index」というスコアリングシステムを用いて、国民健康保険の特定健診でFIB-4 Indexが2.67以上だった人に医療機関の受診を勧める取り組みを開始することを明らかにしました。これまでは、肝機能の状態を表すALT値を指標として受診勧奨を行ってきましたが、FIB-4 Indexを活用することで、さらにリスクの高い人を受診につなげたいねらいがあります。
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締結式で後藤幹生先生(静岡県感染症管理センター長)は、「伊豆市、伊豆の国市、函南町を対象に2026年4月よりモデル事業をスタートし、2027年度以降事業を拡大できるように効果を検証する。将来的には県内全市町への展開を目指す」と述べました。
ノボ ノルディスク ファーマのキャスパー・ブッカ・マイルヴァン社長は、「早期に介入することで高いQOLの維持や健康寿命の延伸が可能になる」との考えを表明。「症状が出る前の段階で国民に受診を働きかけることが重要だ」と指摘しました。
FIB-4 Indexは、健康診断などの血液検査でAST値、ALT値、血小板数が測定されていれば、計算が可能です。インターネット上で簡単に計算ができるサイトも公開されているので、気になる方は検索してみてくださいね。(QLife編集部)
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