「いい思い出になりました。またいつかこういう形で試合ができたらうれしい。今年も応援よろしくお願いします!」
3月19日、ドジャースの大谷翔平(30)はカブスとのメジャー開幕戦“東京シリーズ”第2戦で今季第1号ホームランを放った。18日の同カード開幕戦の生中継は世帯平均視聴率31.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。19日も29.5%と、まさに大谷フィーバーとなった。大谷含めたドジャース軍団は第2戦終了後、すぐにLAへと出発。およそ1週間の日本滞在生活だった。スポーツ紙記者は言う。
「チームメートは都内にある外資系ホテルに宿泊していました。大谷選手は16日夜、同ホテル内へ高級すし店『鮨さいとう』、人気焼き鳥店『鳥しき』、マグロ仲卸店『やま幸』の店主を招き、予告どおりチームメート全員のために夕食会を催しました。味はもちろんのこと、“マグロ解体ショー”もナインにとても好評だったようです」
だが、大谷はこのホテルに宿泊することはなかったという。
「実は大谷選手は、エンゼルス時代から帰国時に利用していた都内のマンションで暮らしていたのです。東京ドームでの開幕戦に向け、野球に専念する覚悟だったのでしょう。基本的に東京ドームと自宅マンションを往復する生活を送っていたと聞いています」(前出・スポーツ紙記者)
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大谷が待望の今季初ホームランを打ったとき、観客席で誰よりも喜んでいた人物が――。
「この日、大谷選手の父・徹さんと母・加代子さんが観戦に訪れていました。特に徹さんは感慨深い様子でしたね」(前出・スポーツ紙記者)
徹さんは昨秋、ドジャース世界一を受け、スポーツ紙にこんなコメントを寄せている。
《翔平、ワールドシリーズ制覇おめでとう。小さい頃から野球をやってきて、これだけ凄い選手が集まるメジャーリーグでプレーできるのは幸せなこと。第2戦で左肩を負傷してしまったが、最後まで出場できて本当に良かった。父としても本当にうれしく思う》
《今後はまたケガしないように体に気を付けて頑張ってほしいという思いが一番。来年は日本での開幕戦、そして、投手復帰が待っている。どこまで、いつまでできるか分からないが、悔いのないように野球をやってほしい。頑張れ、翔平!》(『スポニチアネックス』’24年11月1日配信)
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■「部員が増えない…」父・徹さんの苦悩
日本でのメジャー開幕戦を徹さんは半年間楽しみにしていたのだ。さらに地元・岩手から“教え子たち”も連れてきていた――。
「徹さんは現在、岩手の中学生硬式野球チーム『金ケ崎リトルシニア』の監督を務めています。初戦では、東京ドームのバックネット裏3階席から同球団に所属する子供たちが赤い練習着姿で観戦していたのです。《翔平決めろ!一投一打》と書かれた横断幕を広げて、大きな声援を送っていました」(テレビ局関係者)
徹さんは“教え子たち”の生観戦について、一部スポーツ紙へ《メジャーリーグの最高のプレーをライブ観戦で目に焼き付け、今後の野球人生につなげてもらいたい》意図があったことを明かしていた。
「もともと大谷選手は地元の『水沢リトルリーグ』で野球を始めました。中学生時代は『一関リトルシニア』に所属しており、徹さんは『水沢リトルリーグ』時代は監督として、『一関リトルシニア』ではコーチとして大谷選手を直接指導していたのです」(前出・スポーツ紙記者)
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大谷だけではなく、地元の子供たちへ野球の面白さを伝えている徹さん。しかし、近年は深い悩みを抱えていたという。
「数年前から『金ケ崎リトルシニア』の部員不足が深刻な問題となっているのです。これはこのチームだけに限らず、全日本野球協会の統計によれば、野球の競技人口は’14年の約142万人から、’23年は約87万人へと約54万人も減少。少子化や、保護者の負担が大きいことが要因だとされています。
今年1月には、今春の『金ケ崎リトルシニア』入部予定者は、創部1年目を除けば過去最少となる3人となったとも報じられていました」(前出・スポーツ紙記者)
“存亡の危機”に陥っているという同チームは’14年に創部された。
「花巻東時代に高校通算歴代最多140本塁打を記録し、現在はスタンフォード大学に在籍する佐々木麟太郎選手がOBです。しかし、野球部員減少の流れは止められず、今秋におこなわれる新人大会の出場も危ぶまれたほど。徹さんも“SNSなどで告知しても、なかなか部員が増えない”と嘆いているというのです」(前出・スポーツ紙記者)
そんな父・徹さんに率先して手を差し伸べたのが、やはり大谷だったようだ。前出のテレビ局関係者は言う。
「大谷選手は今回の開幕戦前、親しい人に“父と会っていた”と話していたそうです。球場では彼のスケジュールが立て込んでいるので、徹さんは大谷選手の自宅マンションまで訪ねたといいます」
■子供たちを日本一に――父子共通の願い
父子水入らずで、どんな話をしていたのだろうか。大谷家の知人はこう語る。
「トヨタ自動車東日本の監督に就任した徹さんの長男で、翔平くんの兄・龍太くんが今月8日に監督として初勝利をあげました。徹さんはかねて“長男には野球をあまり教えられなかった”と悔いていましたから、感激もひとしお。翔平くんも指導者となった兄の晴れの門出を徹さんとともに喜んでいたことでしょう。
龍太くんは社会人、そして徹さんは地元の中学生を指導しています。翔平くんは本当に野球好きで、野球人口が徐々に減っている現状を憂えていました。野球の未来のため、地元の子供たちのため、“父の力になりたい”と話したのではないでしょうか。徹さんのチームのため、バットやユニホームなどにサインをしたり、部員募集のため何か自分がやれることがあれば、できる限り協力しているはずです」
大谷が徹さんに託した“魂のバット”は、多くの子供たちを引きつけることだろう。前出のスポーツ紙記者も言う。
「大谷選手が高校生時代につづった『人生設計シート』には、メジャー入団、WBC日本代表、結婚、ワールドシリーズ制覇など、多少の時期のズレこそあれ、その多くがすでに実現されています。
そんな大谷選手の未来の人生設計には、徹さんと同じく“アラ還”となった彼の姿も。そこには《57歳・プロ野球界から引退》、《58歳・岩手に帰ってくる》、《59歳・リトルリーグの監督になる》と記されていました。そして《61歳・リトルリーグで日本一になる》とまで――。地元の子供たちに一人でも多く野球の楽しさを伝えたい思いは父子で共通する願いなのです」
前出のテレビ局関係者は言う。
「初戦終了後、大谷選手は米国メディアのインタビューに『日本独特の雰囲気というか、これだけお客さんが入ってくれることもそうですし、“打たなければいけない”みたいな雰囲気はありました。何とかヒットを打ててよかったです』と正直に答えていました。
“東京シリーズ”で珍しく緊張していたのは、岩手から観戦に来た徹さんのチーム、そして地元の子供たちのため――という意識が強かったからではないでしょうか」
大谷は開幕初戦、米国「CBSスポーツ」のインタビューでこうも語っていた。
「野球をする子供たちが『大谷翔平のようになりたい』と言ってくれることは、本当に大きな意味がある。子供たちを失望させないようにしなければならないという強い責任を感じている」
日本の野球の未来へつながる、東京ドームでのホームラン――。大谷の“魂のバット”は父子2代の夢を広げる。
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