トランプ米大統領=25日、ワシントン(EPA時事) 【ワシントン時事】トランプ米政権が貿易相手国と同水準の関税を課す「相互関税」の導入方針を示すとみられる4月2日まで1週間足らず。対象国・地域は絞り込まれるとの見方もあるが、日本は含まれる可能性が高い。各国は適用回避に向け、米政権とぎりぎりの交渉を続けている。
◇見えない全貌
「4月2日は米国解放の日となる」。トランプ大統領は25日、ホワイトハウスで記者団に相互関税を発動する意欲を改めて表明。「長年、経済的に米国を痛めつけてきた国々と公平な関係になる」と意義を強調した。
相互関税は貿易相手国の関税率のほか、規制や税制など幅広い非関税障壁も考慮。貿易が「公平」になるよう相手国からの輸入品に課す関税率を決める。ナバロ大統領上級顧問は「一つの数字を課す」と話し、国・地域ごとに単一の関税率を設定すると説明した。
当初は、米政権が全世界を相手に相互関税を発動すると警戒された。だが、ベッセント財務長官は先週、米国との貿易量が多い国・地域は、全相手国の「15%程度」と発言。関税や非関税障壁が高い国について「ダーティー(ずるい)15」と言及し、ターゲットを絞る考えを示唆したが、政策の全体像は不透明だ。
米商務省によると、米国が2024年の物品取引で大幅な貿易赤字を抱えた相手は、2954億ドル(約44兆4000億円)で最大だった中国のほか、メキシコ、カナダ、欧州連合(EU)、韓国など。日本も685億ドル(約10兆3000億円)に上り、対象に含まれるとの見方が多い。
◇日本にも不満
米通商代表部(USTR)による意見公募では、日本について「米自動車安全基準を部分的にしか受け入れておらず、米メーカーは不必要なコストを課されている」(米商工会議所)、「コメの関税制度が複雑で透明性を欠く」(USAライス連合会)などと不満が寄せられた。
各国・地域は関税回避に必死だ。EUのシェフチョビッチ欧州委員は25日、ラトニック商務長官と会談。「懸命な作業が続いている」とSNSに投稿し、交渉難航をうかがわせた。インドも貿易協議を続けており、関税引き下げに前向きな姿勢という。
日本は今月、武藤容治経済産業相がラトニック氏と会談した。事務レベルの協議を重ね、「コメ市場に関して理解を求める」(政府関係者)考えだ。トランプ氏は相互関税で「多くの国に減免措置があるかもしれない」と話したが、「それは相互的なものだ」とも強調。相手国に譲歩を迫って揺さぶりを掛けている。