普段は気にならなくても、外から帰ってくると意外に気になる部屋のニオイ──特にペットを飼っていればなおさらだ。
LGエレクトロニクス・ジャパンは3月25日、猫を飼っている人向けの空気清浄機「LG PuriCare AeroCatTower」(エルジー プリケア エアロキャットタワー。以下、エアロキャットタワー)を発表した。26日にはクラウドファンディングサイト「GREEN FUNDING」で先行販売も始めた。一般販売の価格は9万8000円だが、先行販売では約39%割り引きの5万9900円で支援(注文)できる。期間は4月30日まで。
“猫向けマルチ機能空気清浄機”という位置付けのエアロキャットタワーは、どこがどのように“マルチ”なのか。報道陣向けに行われた発表会で実機に触れる機会を得たので紹介したい。
●猫に特化した空気清浄機
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エアロキャットタワーは、一言で説明すれば、「猫のための空気清浄機」だ。飼い主だけでなく、猫も喜ぶ工夫が随所に施されている。
その1つが、空気清浄機の上部に設けられた「ドーム」だ。
これまでも、同社は「LG PuriCare AeroFuniture」のように、空気清浄機にプラスαの機能を持たせた製品を開発してきた。このエアロキャットタワーでは、その名の通り、「キャットタワー」機能を付け加えており、高いところに上がりたがる猫の本能のままに、空気清浄機の上に猫が飛び乗り、そこでくつろげるようデザインされている。
「乗るのなら、初めから乗れるようにしよう」という猫ファーストの設計志向であるといえよう。
ドームの底部には温熱シートが取り付けられている。猫の成長や体調に合わせ、34度または39度に設定でき、寒がりの猫がくつろげる。常に温熱シートをオンにしておく「持続温熱」モードや、タイマーモードも備えている他、猫がドーム内にいるかどうかを判断し、いない場合は温熱シートをオフにできる。
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さらに「ペットモード」をオンにしておけば、猫がドーム内にいる間は本体の空気清浄機がスリープモードに切り替わって静音運転を開始する。大きな音を嫌う猫にとってありがたい仕様である。猫が降りればフルパワーで運転する。
ドームに猫が乗ることで、健康状態のモニタリングも行える。連動するスマホアプリ「LG ThinQ」でエアロキャットタワーを開き、猫を登録しておくと、猫の体重やどれだけの時間をドーム内で過ごしたか(休んだか)をチェックできる。
体重は100g単位で増減を確認できる他、グラフで可視化するため、肥満リスクや病気の可能性などを飼い主が確認できる。
最大4匹までの猫の登録に対応しているが、現在のところ、猫を識別するためのタグなどがないことから、体重の近い、あるいは全く同じ体重の猫では判別が難しいという。なお、体重差が300g以上あることが判別できる条件となる。
キャットステップが付属するのも、猫が喜ぶポイントの1つだろう。若い猫であれば、80cmほどの高さのあるドームまで容易に飛び上がれるが、足の短い猫種のマンチカンや子猫、また老齢の猫などでは一足飛びに登れない。ちょうど中間の高さの位置にキャットステップがあることで、猫にとってお気に入りの場所になるであろうドームに入ることができる。
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●空気清浄機としての実力は?
空気清浄機としての機能も見ていこう。
適用床面積は29.6m2で、吸引は360度、全方向で行う。吸引口には、これまでのLGの空気清浄機と同じ3層フィルターが組み込まれている。プレフィルターで猫の毛など大きめのごみを除去し、HEPAフィルターで微細なホコリを、その内側の光触媒(脱臭)フィルターでペット臭などを除去する。
ペット臭の除去率は99%、微細なホコリの除去率は99%、アセトアルデヒドは95%、抜け毛は97.1%、猫由来のアレルゲンは99.9%の除去率をうたっている。その他、花粉も99.1%除去するとのことなので、花粉症と猫アレルギーの両方を患っている飼い主にもうれしい仕様だろう。
フィルターを外すと、本体下部に「UVnano」モジュールが姿を現す。これは空気をきれいにするというより、空気清浄機本体内のファンに付着する細菌を除去するための仕組みだ。99.9%の除去率が認証機関の独テュフ・ラインランドによって認められており、これによって清浄な空気を少ないメンテナンスで常に得られるという。
操作ボタンは、猫が触れづらいドームの下側に配置している。タッチではなく、物理的に押し込むことで操作するタイプなので、猫が誤って温熱シートの温度を変えてしまうというようなことは避けられる。
その他、かみつき防止のコーティング加工が施されたケーブル、万が一にも倒れた場合は自動停止する機能、倒れづらくするキャットステップなど、安全面でも配慮されている。なお、ドームの耐荷重は15kgなので、かなり大型の猫でもくつろげるだろう。
●日本先行販売の理由は?
LGエレクトロニクス・ジャパンの安藤康夫氏(マーケティングチーム)は、LG Electronicsのグローバル全体で、衣類ケア家電や空気清浄機など「Home Appliance & Air Solution」分野の製品が売り上げをリードしてきたと話す。
エアロキャットタワー以外にも、2022年発売の「LG PuriCare Pet」や、2025年3月発売の「LG PuriCare AeroBooster」など、ペットオーナー向け空気清浄機を販売してきたが、なぜここで猫に特化した製品をリリースしたのか。
同社の成田佳蘭氏(マーケティングチーム)は、「日本のペット飼育状況にある」と説明する。
「(日本では)1020万世帯がペットを飼っており、2人以上の世帯では犬が401万世帯、猫が366万世帯であるのに対し、単身世帯では犬が113万世帯、猫が140万世帯と多い。東アジアで見ると、猫の飼育数は日本が他国より2倍以上多く、猫関連の市場が成熟している。十分なポテンシャルがある。そこで、猫向けマルチ機能空気清浄機を開発し、日本でいち早く販売することになった」(成田氏)
「LG Electronicsのミッションは、Innovation for a better lifeであり、ものづくりのフィロソフィーはFirst、Unique、Newの頭文字を取った“FUN”がある。LG製品の楽しさを感じつつ、身近な製品だと思っていただければ幸いだ」(安藤氏)
●キャットタワーほどのフットスペースで邪魔にならない
発表会場とは別の展示会場には、エアロキャットタワーがリビングを模した展示スペースに1台、また写真撮影や製品説明用に2台、内部構造の分かるものを1台用意していた。
サイズは単体のキャットタワーまたは猫用ハンモック程度の大きさで、猫オーナーであれば、「邪魔だ」と感じるものではないだろう。
ドームは前方が大きくえぐれており、後方はしっかり猫を支えるよう縁が高くなっている。慌てて飛び乗った猫が、向こう側に落ちる危険はなさそうだ。
操作ボタンはドームの下についており、左から電源、風量、温熱シートの操作用となっている。ここにあれば、確かに猫が誤って操作することはないだろう。また、猫がドームに乗っていても人間が操作しやすい位置にあると感じた。
運転状況は、操作ボタン上方のドームの縁近くにあるLEDで確認できる。極小LEDなので、猫にとってまぶしく感じるということはなさそうだ。
LG ThinQアプリではドームに乗った猫の体重が確認できるので、その体重で猫を登録する。
一度登録すれば、それ以降の体重の変化をグラフで確認したり、どれほどの時間をドーム内で過ごしたりしたかを見たりできる。急激な体重の増減に対処できるように通知機能も用意されている。
LG ThinQアプリでは、外出先からでも室内の空気質レベルのチェック、温熱シートの温度切り替え、タイマー設定、ドーム内に猫がいるかどうかの確認も可能な上に、LG ThinQアプリとLG製品は“多対多”なので、エアロキャットタワー1台に対し、家族全員のスマホから見守れる。目の行き届いた管理ができそうだ。
フィルターは簡単に交換できるようになっている。前面カバーを外して、円筒状のフィルターの穴の部分に指を入れて引き出すだけだ。
猫の被毛など大きめのホコリをキャッチするプレフィルターは、取り外して水洗いすれば比較的長く使えるだろう。内側の光触媒(脱臭)フィルターは、時折天日干しすることで、性能が回復するという。プレフィルター、HEPAフィルター、光触媒(脱臭)フィルターの交換用(型番:PFSCQC01)はセット販売となっており、「PuriCare AeroTower」や「PuriCare AeroBooster」用と共通だ。
これまで猫の抜け毛や、帰宅時に感じる(しかし、時間とともに慣れて感じなくなる)猫の排せつ物の放つ強烈なニオイに悩まされてきた猫オーナー、また猫を飼いたくても猫アレルギーのためためらっていたという人も、試したくなるのではないだろうか。何より、人間の座っている目線で、猫がくつろいでいるのを見られると想像しただけでも「買いだな」と感じる製品であった。
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