【プロ野球】非エリートだったベイスターズ・森原康平が日本一の景色を見るまでの成功術

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2025年03月27日 18:20  webスポルティーバ

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森原康平インタビュー(後編)

前編:勇気ある決断が導いた日本一 ベイスターズの守護神・森原康平が貫いた信念>>

 横浜DeNAベイスターズの守護神・森原康平が、自身の経験をもとに綴った書籍『地道が近道 ゆるやかに成長し続ける"成功思考"』(カンゼン)を上梓した。なぜ今、書籍を出版することになったのか? そこには自らの野球人生だけでなく、誰にでも通じる"成長するためのヒント"が詰まっていた。

【大事なのは思ったことを行動に移すこと】

── このたび、『地道が近道 ゆるやかに成長し続ける"成功思考"』(カンゼン)という本を上梓しましたが、なぜこのタイミングで出版したのでしょうか。

森原 実は僕の人生目標のひとつに「30歳までに自分の本を出す」というのがありました。もう33歳なので、ちょっと遅れてしまったのですが、なんとか実現できたという感じですね。30代も半ばになり、年齢の下の人たちと話す機会も多くなってきて、何か相談されたときに答えると、いい表情になってくれる回数がだんだんと増えてきたんです。

 手応えがあると言ってはおかしいのですが、そういった言葉のようなものをまとめられたら、野球選手に限らずいろいろな方の人生の役に立つ本を書けるのではないかと思ったんです。また、僕は大学時代から月1冊以上の読書をしてきており、ひたすらインプットしてきたので、ここでアウトプットするのもいいかなって。単純に読書が好きですし、シンプルに本を書く側の経験をしたいというのもありました。

── 制作はいつぐらいからだったのですか。

森原 夏の終わりには出版することが決まっていたのですが、実質的な作業に入ったのは、日本シリーズが終わってからになります。

── チームも日本シリーズを制覇し、森原選手自身も胴上げ投手になるといった絶妙なタイミングになりましたね。

森原 こればかりはわかりませんが、何か導くものがあったのかもしれません。大事なのは思ったことを行動に移すことです。思うだけならば誰でもできると思うんですけど、そこで行動できるかできないかで"差"がつくんじゃないかなって。思った、考えた、また、それに対して反省をして次に生かすということの連続というか、これはプロ野球選手のうちでしかできないことだと思ったので行動に移しました。

── 通常、現役のプロ野球選手が本を出版するのであれば、技術本や自伝のようなものが多いのですが、森原さんの本はタイトルからもわかるように、メンタルという部分を注視した内容になっています。

森原 経験上、リリーバーや抑えって、野球のなかで一番メンタルに左右される役割だと思っているんです。メンタルのありようというものを、数々の経験や書籍などで学んできました。また、野球界の人たちはもちろん、それ以外の業種の方々と接することも多くなってきて話を聞いてみると、誰もが心の部分で問題を抱えていました。だったら自分の経験を通して、人生を快適に過ごすためのヒントを提示できたらなと思ったんです。

── なるほど。

森原 また、時代の流れもあるのでしょうが、昔に比べて現代は生きにくいという話も耳にします。情報があふれていて、便利な世の中である一方、その情報の使い方を間違ってしまうと生きづらくなってしまう。

 それはアスリートも一般の方も同様だと思いますし、便利がゆえに苦しむなんてもったいないじゃないですか。そういった情報を整理するためにも心のありようや目標設定というのが大事になってくると思ったので、自分なりの解釈ではありますが書かせてもらったんです。

【"非エリート"として学んだこと】

── メンタル面の話に限らず、以前、森原さんが被った誹謗中傷であったり、またお金の話など、センシティブな話題にも言及していますね。

森原 そこもメンタルと密接な関係があって、生きていくうえで避けては通れないことなので触れることにしました。正直、避けてしまえばラクなんですよ。けれど、僕としてはそこをしっかりと正面から受け入れる方が、人生好転するような気がするんです。

── 人生に起こるさまざまな事象から逃げてはいけないということですね。

森原 はい。ネットが荒れますとか、誹謗中傷されましたとか、お金の問題もそうですが、僕が気持ちをこめて本を書く以上、触れないわけにはいかないと思いましたし、そのへんしっかり向き合えている社会人の方は、僕が知る限り、仕事の結果も出しやすいんじゃないかと思っています。

── ほかにも大好きなサウナの話であったり、また、資格の話などバラエティに富んでいます。読んでいて、森原選手の人生は面白いなと素直に思いました。

森原 最近思うんですけど、世の中は平凡を取りたい人が多いようで、もちろん安定志向はすばらしことだと思います。でも僕は、波乱万丈な人生がいいと思ってしまう。人と食事をしていても、結局盛り上がる話題って、失敗やミスをしたことなんですよね。やっぱり人が耳を立ててくれるような人生に興味があるし、いろいろ挑戦して、仮に失敗したとしても、それはそれで学びは多いし、幸福だと思うんです。苦しいことがあるから、より幸せが引き立つみたいな。

── 森原選手は中学・高校・大学とほぼ無名の選手で、社会人3年目でようやくプロになれました。失礼を承知で言わせてもらえば、"非エリート"だったからこそそういう考えが根底にはあるということですか。

森原 そう捉えていただいても差し支えはありません。だから、この本は「こんな僕でもできました」ってメッセージがこめられているんです。誰にでも可能性はあるし、工夫次第では何者かになれるはず。こう言うと、「それは森原だからできたんだよ」って思われるかもしれませんが、本当に昔の僕はまったく大したことのない選手でしたから。とにかく置かれた場所、今ある環境をどう生かすのかが大切なことだと思っています。

── どういう方にこの本を手に取ってもらいたいですか。

森原 そうですね。自分に自信を持つことができなかったり、何かに挑戦しづらい人だったり、選択に迷っている人ですかね。

── 多くの方々が抱えている問題ですね。

森原 僕も本当に昔は自己肯定感の低い人間でした。ただ、人生の折々で、必ず何かを選択しなければいけないタイミングはあるはずです。そこで悩むより、極論を言えば、自分が選んでしまったことを無理やり正解にすればいいじゃないかって思うんです。

 パワープレーになりますけど、そうすれば結局のところ選択で悩む必要はないということです。この発想はあくまでも端的なものですが、そういった方々にヒントになればと思って綴ったので、手に取っていただけたらうれしいですね。

森原康平(もりはら・こうへい)/1991年12月26日生まれ、広島県出身。山陽高(広島)から近大工学部、新日鐵住金広畑を経て、2016年ドラフト5位で楽天から指名を受け入団。19年はセットアッパーとして活躍するも、クローザーに転向した20年は成績が低迷。22年シーズン途中にDeNAにトレードで移籍。23年からリリーフに定着。24年は開幕からクローザーとしてフル回転の活躍を見せ、98年以来の日本一に大きく貢献した

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