【MLB】大谷翔平ら日本人5選手の今季を現地記者が分析 注目した巨人・阪神の逸材は?

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2025年03月28日 07:21  webスポルティーバ

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親日のベテラン記者が語るMLB日本開幕シリーズ

何度も来日し、アメリカでは屈指の日本通として知られ、今回のMLBジャパンゲームでも現地取材を行なったMLB.comのマイケル・クレア記者。インタビュー第2回ではロサンゼルス・ドジャース、シカゴ・カブスの日本人選手たちと、巨人、阪神で印象に残った選手について話してもらった。

【今季の飛躍を感じさせた山本由伸と将来性を示した佐々木朗希】

 日本でのシリーズを振り返ったとき、ファンが真っ先に思い出すのは、やはり大谷翔平のホームランかもしれない。カブス戦で放った今季1号のビデオを見て、"右中間のフェンスを辛うじて越えた理由は東京ドームの屋根に当たったからだ"と考えたファンもいたようだ。

 大谷はそういったユニークな形で、また新たな話題を提供してくれた。もうこれ以上、彼に何を求めるべきだろう? 毎回、期待に応えてくれる選手であり、大事な場面でどうステップアップするかを常に心得たスーパースターだと思う。

 投手のほうでは山本由伸の安定感が際立った。ゲリット・コール(ニューヨーク・ヤンキース)が右肘のケガで離脱した今季、私は山本こそがメジャーで最も完成された投手ではないかと見ている。彼は、マウンド上で必要なすべてがこなせる投手。まだシーズン序盤であるがゆえに東京では5イニングしか投げなかったが、それは問題ではない。昨季新人王を獲得したポール・スキーンズ(ピッツバーグ・パイレーツ)と山本ではどちらが上かと尋ねられたら、私は頭を悩ますだろう。

 メジャー初登板を飾った佐々木朗希は、3イニングを投げて1安打1失点5奪三振。アメリカでの1年目で、しかも莫大な注目を集めた東京ドームでの開幕シリーズでの初登板だったのだから、不安定だったのは理解できる。

 私が思うに、佐々木は今季に新人王を受賞するより、将来的にサイ・ヤング賞を獲得する可能性のほうが高いように思う。将来は間違いなく明るい。おそらく誰よりも大きな天性の才能を持っており、あの右腕は神からの贈り物だ。

 まだ23歳なのだから、今後もコントロールを乱し、自身が何をやっているのかわからないような登板もあるだろう。少し調子を落とし、3、4回で降板するゲームは出てくるに違いない。ただ、カブス戦で3回一死満塁のピンチを2者連続三振で脱した投球を見れば、そのポテンシャルは一目瞭然だ。今季中も、8回を投げて1安打15奪三振といったようなすごいピッチングを見せるゲームもあると思う。

 現実的なチャンスがあるかどうかにかかわらず、MLBのほぼすべてのチームが佐々木の獲得を熱望していたのには、確かな理由がある。彼は現時点でもすでに優れた投手であり、これからさらに向上する。102マイル(163.2キロ)の速球、メジャー最高級のスプリット、上質なスライダーを持つ若手投手の将来性は無限大だ。

【今永昇太と日本で不振だった鈴木誠也も心配なし】

 カブスのほうでは、鈴木誠也は日本でのシリーズ中はいい結果が出せなかった。また、今回出場した5人の日本人選手のなかでは唯一の東京出身者であり、正真正銘の地元ゲームということで緊張もあったのではないかと思う。

 いずれにせよ、鈴木にはすでにMLBでの実績がある。アメリカに戻ってからのオープン戦ではいい打撃をしているのだから、心配はないとは思う。

 開幕戦で先発した今永昇太も、メジャー2年目の投球を楽しみにさせるピッチングを見せてくれた。明るい性格の今永はチームにフィットして、快適に過ごしているのが印象的だった。

 彼のようにボールを自由に動かせるサウスポーは貴重な戦力であり、今年も好成績が望める。スキーンズのようなレベルからは少し落ちるのかもしれないが、エース候補に入ってくる投手であり、オールスター再選出や個人賞の話題に取り巻かれ続けると私は見ている。

【巨人&阪神で目についた選手は?】

 最後になるが、ドジャース、カブスと対戦した阪神、巨人のなかで印象に残った選手の話もしておきたい。阪神で真っ先に挙げたいのは、森下翔太だ。森下は見ていて本当にワクワクする選手。プレミア12で少しだけ見ることができた彼のプレーをまたチェックできたのはうれしかったし、今後の成長も楽しみにしている。

 カブス戦に先発して完璧な内容で魅せた門別啓人、ドジャース戦ではスプリットで大谷翔平を三振に斬って取った才木浩人の投球も見事だった。昨季はメジャーでもスプリットを投げる投手が目立ったが、それはスプリットを主武器とするここ数年の日本人投手たちの影響を受けているのではないかと考えさせられた。

 巨人の選手では実は戸郷翔征のファンなのだが、私が観にきた試合ではなぜか彼は本塁打を打たれてしまう。平凡なフライが本塁打に変わるんだ。このままではもう観にきてほしくないと戸郷に思われてしまうかもしれない(笑)。

 WBCの頃から注目してきた岡本和真の打撃を、ここで再びじっくりと見られたのもよかった。岡本は近い将来のメジャー挑戦を考えているということだが、もちろん内野手がアメリカで活躍するのは簡単ではないとは思う。特にコーナー(一塁、三塁)を守るのであれば、メジャーでは25〜30本塁打を打つ長打力が求められる。

 ただ、岡本に関して言えるのは、近年は投高打低の傾向があるNPBでもコンスタントにハイレベルの打撃成績を残してきた打者であること。常に30本塁打以上をマークしてきた安定感は魅力だ。パワーでは村上宗隆に劣るのかもしれないが、村上ほど三振の多さに悩まされているわけでもない。少なくともキャリアの現時点では、岡本のほうがよりバランスの取れた打者であると感じる。メジャーで通用する可能性はあるし、メジャーでどれだけやれるのか楽しみに見守っていきたい選手のひとりだ。

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