写真はイメージです(以下同)「婚活アプリで3年近く粘って、やっと出会えた相手でしたが、彼のお母さんがヤバい人でした……。イマドキ、あんなにもシングルマザーに偏見を持っている人っているんだ……とビックリしました」
そう話す馬渕あやさん(仮名・38歳)は半年前、結婚を前提に交際していた彼と破局。破局の原因となったのは彼の実家に行った時、彼ママが見せた“ありえない態度”でした。
◆40歳になる前に再婚がしたかった
あやさんは29歳の頃、夫の不倫を知り、離婚。シングルマザーとして、息子(中1)を育ててきました。
子どもが20歳になるまで再婚はしない。そう思っていましたが、ある日、息子さんから「俺の面倒ばかりでママの人生が楽しくなくなるのは嫌だ」と言われたことから、生き方を見つめ直すように。
その中で、本当はもう一度、誰かと一緒に生きていきたい気持ちがあることに気づき、34歳の頃からマッチングアプリを利用し始めました。
「目標は、40歳になる前に再婚すること。30代は自分を犠牲にしてきたので、40歳はスタートから幸せなものにしたいと思って」
いいと思える相手となかなかマッチングできない日々に歯がゆさを感じることはありましたが、あやさんはめげずに出会いを求め続けました。
そんな中で惹かれていったのが、1歳上の雄一さん(仮名)。雄一さんは偶然にも、あやさんと同じ高校出身。学生時代には接点がなかったものの、親近感が湧き、2人は徐々に距離を縮め、交際がスタートしました。
そして、交際開始からわずか半年後、雄一さんから嬉しいお願いが。「一度、両親に会ってほしい。真剣に結婚を考えたいから」と言われたのです。
◆初対面の彼ママから手を叩かれ、手土産を拒絶された
一度、結婚したことがあるあやさんは彼の両親に挨拶することに、あまり緊張はしなかったそう。ただ、好印象は与えたいと思い、雄一さんの両親が好きなお菓子をリサーチ。しっかり手土産を用意し、当日を迎えました。
「彼も、『うちの親は厳しくないから大丈夫。恋愛に関して口出しされたことはない』と言っていたので、すっかり安心しきっていました」
ところが、彼の家に到着し、玄関を開けると想像とは違う光景が……。自分に向けられる彼のお母さんの視線が異様に冷たかったのです。なぜ、こんな空気感なのだろう……。そう思いつつも手土産を渡そうとすると、お母さんはあやさんの手を叩いて「いりません」と拒絶。
「顔を合わせただけなのに、敵意をむき出しにされたのでビックリしました」
◆「シングルマザーのあなたは息子に釣り合わない」と言われて…
あやさんは彼のお母さんの態度を不思議に思いつつも、「すみません。なにか気に障りましたか?」と質問。すると、彼ママは「あなた、シングルマザーらしいじゃない。昨日、初めて雄一から聞きました。一度、離婚なさったご自分が初婚の雄一と釣り合うと思ってらっしゃるの?」と偏見に満ちた言葉を向けてきました。
「一気に場が凍りました。私は彼をチラっと見て助けを求めましたが、彼はなぜか黙ったままで……」
そんなあやさんの視線に気づいた彼のお母さんは、「そういう目で男に媚びるのって、恥ずかしくないんですか? どうせ、水商売でもしてらっしゃるんでしょう。学がなさそうですし、シングルマザーって、そうでもしないと生きていけませんもんね」と、またもや偏見だらけの罵倒をしてきたのです。
さすがに、あやさんは我慢の限界に。「そちらこそ、初対面の人に対してこんな態度をとられるなんて、学がありませんよね。失礼します」と言い、その場を立ち去りました。
「去り際に、お母さんが『塩持ってきて! あの女が踏んだところにまく!』と言っている声が聞こえました。彼はそうした状況でも追いかけてこず、ただオロオロしていただけでしたね」
◆母親を説得できない彼に見切りをつけた
帰宅後、彼からは「ごめんね。うちの母親が……。俺からちゃんと言っておくから、もう一度、挨拶に来てくれない?」との電話が……。しかし、自分を守ってくれなかった彼の態度にも幻滅したあやさんは別れを告げました。
「彼は別れたくないと言いましたが、お母さんを本当に説得できるのかと尋ねたら黙ってしまって。そこがクリアにならないのなら、結婚なんてできないと伝えたら渋々、別れを受け入れてくれました」
あの人は多分、彼女よりも母親のほうが大事な人。そう話すあやさんは失恋の傷がもう少し癒えたら、結婚したい年齢を定めずに出会いを探す予定です。
「息子は変わらず、『ママには幸せになってほしい』って言ってくれる。その言葉を聞くと、彼の母親に言われた暴言なんて吹っ飛びます。母は強しです」
<文/古川諭香>
【古川諭香】
愛玩動物飼養管理士・キャットケアスペシャリスト。3匹の愛猫と生活中の猫バカライター。共著『バズにゃん』、Twitter:@yunc24291