熊本県警巡査の過労自殺 幹部が遺族に謝罪 「要因は長時間労働」

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2025年03月28日 18:26  毎日新聞

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渡辺崇寿さんの遺影を手にする母美智代さん(左端)ら遺族に対し、深々と頭を下げる熊本県警の宇野晃警務部長(右端)=熊本県宇城市で2025年3月28日午前10時18分、野呂賢治撮影

 熊本県警玉名署の巡査だった渡辺崇寿(たかとし)さん(当時24歳)が2017年9月に過労自殺したことについて、県警幹部らが28日、渡辺さんの自宅を訪ね、遺族に直接謝罪した。長時間労働と自殺との因果関係を認めて県に約6200万円の賠償を命じた熊本地裁判決(24年12月)が確定したことを受けたもので、幹部が深々と頭を下げると、崇寿さんの母美智代さん(64)は「これまで県警として誰も寄り添ってくれなかった。残念で仕方ない」と話した。


 県警の宇野晃警務部長と当時の玉名署の上司ら計4人が28日午前、同県宇城市の自宅を訪れた。美智代さんと渡辺さんの兄妹に向けて、宇野警務部長が「亡くなった要因は長時間勤務であったと考えており、当時の勤務環境の整備が十分でなかった。誠に申し訳ありません」と謝罪。再発防止に努めることを伝えた。美智代さんは「亡くなってから7年たたないと県警からの言葉が聞けないのか。もっと前に聞きたかった」と苦渋の表情を見せた。


 面会後に記者会見を開いた美智代さんは「ようやく一区切りついた。県警には安心して働ける環境づくりをしてほしい」と語った。


 確定判決によると、渡辺さんは玉名署刑事課に異動して約半年後の17年9月、自殺した。亡くなる前の5カ月間の時間外労働は月143〜185時間で、過労死ラインとされる月80時間を大幅に超過。判決は、過労状態を把握できた立場の県警が対応を怠ったため精神障害を発症し、自殺に至ったと判断した。【野呂賢治】


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