感情的に子どもを怒る前に…「6秒ルール」でアンガーマネジメント 子どもの頃の落合陽一氏を叱った後悔【書籍一部抜粋】

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2025年03月29日 09:00  ORICON NEWS

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落合陽一氏
 「子どもが夜遅くまで起きている」

【画像】『「好き」を一生の「強み」に変える育て方』落合ひろみ×落合陽一親子が実践・検証した「これからの子育て」

 「なかなか寝付かない」

 特に仕事で帰宅が遅くなりがちな親にとって切実だ。メディアアーティスト・落合陽一氏を育てた母・落合ひろみ氏が、自らの経験と科学的根拠をもとに睡眠の重要性と向き合い方を語る。

 『「好き」を一生の「強み」に変える育て方』(サンマーク出版)より一部抜粋、再構成して届ける。

・以下本文(P226〜233)
Q)自分が仕事で遅くなることもあり、子どもが寝ません

A 「早く寝なさい」と言って寝かす
B 寝るまで一緒に寄り添ってあげる

■科学的子育てのヒント 子どもの睡眠時間をどう確保する?

 昔から「寝る子は育つ」といわれます。実はこれは科学的にも理にかなったことであることがわかってきました。生後3〜4か月くらいから夜深く眠っている間に成長ホルモンが盛んに分泌されるのだそうです。成長ホルモンは体を大きくする働きがある大事なホルモンですが、この時期に熟睡することが成長ホルモンの分泌を促進し、健全な精神・身体の育成につながっていくのだそうです*1。
 しかし、2001年に出生した4万人以上の子どもたちに対して何時に就寝するかを厚生労働省が追跡調査*2したところ、4歳6か月時点で最も多い就寝時刻は21時台、次いで22時台という結果が発表されています。夫婦共働きの家庭が増えてきたため、母親の労働時間が長いほど22時以降に就寝する子どもの割合が高いという結果になりました。まさに我が家の場合と同じです。

*1 大川匡子「子どもの睡眠と脳の発達─睡眠不足と夜型社会の影響─」(2010年4月)学術の動向
*2 三島和夫「子どもの睡眠」e-ヘルスネット(厚生労働省)

■我が家の場合 睡眠は大事、親は感情的にならない

 ちなみに我が家は、睡眠に関しては、本当に大変でした。私が仕事のために帰りが遅かったりしても、陽一は眠らずに待っています。十分な睡眠をとってもらいたいのですが、私が起きている限りずっと陽一も起きていました。これはまずいと思い、どんなに疲れて帰ってきても、一緒にベッドに行って、寝る前には本を読んであげることにしました。読んでいるうちに私のほうが眠くなってしまうこともあり、陽一に揺すって起こされることもありました。おかげで陽一は本が大好きな子に育ってくれました。でも、眠らせるということにはあまり役に立たなかったような気がしています。

 子どもが就寝するまでお母さんが寄り添っていてあげると、子どもは安心します。家事や仕事に時間を取られるのは理解できますが、子どもの成長には、小さい頃の食事と睡眠が大切です。心身の基礎ができる時期は取り戻すことはできません。忙しくても、子どもが眠りにつくまでそばにいてあげたいものです。

■感情的になったときの6秒ルール

 忙しくて余裕がなかったりすると、子どもの行動に対して、感情的に怒ってしまうことがあります。でも、子どもは子どもなりに考えて行動していることもあります。
 それを認識しないままに、感情をぶつけられると、子どもはうろたえてしまうことでしょう。私も子育ての最中は、反省することばかりでした。
 いつものように仕事を終え、自宅に戻ると、母が不安な顔をして玄関の前に立っていました。嫌な予感がしました。
「陽君が帰ってこないの。いなくなってしまったの、どうしましょう?」
 と泣きそうな声で訴えてきました。
 夕食の支度をしているうちに、陽一が玄関からバタンと戸を閉めて出て行く音がしたので、止めようとしたが、間に合わずに出ていってしまったのだというのです。
 私も急な出来事に不安と恐怖感に襲われてしまい、どうにもならない気持ちでいっぱいでした。
「もう外は真っ暗になっているのに、いつになっても帰ってこないので、いても立ってもいられなくて外に今出てきたところなのよ。どうしましょう?」
 警察に連絡をするしかないと母も私も決め、早速近所の警察に電話をかけようとしたところ、向こうのほうから自分の体よりずっと大きなものを抱き抱えながらよろよろと歩いてくる小さな陽一が目に入りました。心配と怒りが一緒に込み上げてきてしまい、
「こんな遅くまで、何やっていたの!!」
 と怒ってしまいました。
 すると陽一が「はい、これ」といきなり大きなカーネーションと一緒に、たくさんの美しいお花がたっぷり入った花籠を私に渡してくれたのです。
「陽君どうしたの? このお花?」
 きつい言い方で問い詰めていました。
「お母さん、明日母の日だよ。忘れてたの? ぼくね、お母さんに綺麗で大きなお花をプレゼントしたくてこのお花を買ってきたんだ」
 今度は、感謝と嬉しさが込み上げ、涙が出そうになりました。
 いきなり怒ってしまったダメな母親ぶりに情けなくなりました。今でも5月になるとあの日のことを思い出します。あのとき、陽一の心を大きく傷つけたことは間違いありません。
 しかしそれで終わったわけではありませんでした。大きな花籠を家に置くと、また真っ暗な外へ出ようとしました。
「どうしたの」と聞く私に「まだ終わっていないの」と言った陽一は、「お母さんもついてきて」と、私の手を引いてお花屋さんに向かって歩き出しました。
「ぼくはね、お世話になっているおばあちゃんと敦美おばちゃんにも母の日のプレゼントを用意してるの。わかった?」
 私は息子に対し恥ずかしくなりました。私が何も語らなくても陽一自身が、私の母や妹への感謝の心を持っていたことに大きく心が揺れました。
 あぁ、なんとひどい自己中心的な母親なのか! 最低!と自分自身がとても情けなくなったのでした。
 子育てをしていると、どうしても感情をそのままぶつけてしまうことがあります。
 これを防ぐために、企業の研修などでもよく取り入れられているアンガーマネジメントの考え方を取り入れてはどうでしょうか。怒りの感情は人間関係に多大な悪影響を与えます。こうした怒りの感情とうまく付き合っていくための方法をアンガーマネジメントというのだそうです。
 怒りは、自分の思い通りにいかなかったり、不安や不満が心の中に溜まって爆発しそうになっているなど、いろいろな感情が入り混じったときに発生します。
 そんなときに試してみていただきたいのは「6秒ルール」です。
「1.2.3……」と6つまで数えているうちに、怒りの感情がやや収まってきて怒りを直接ぶつける頻度が減るそうです。
 子どもに「何してるの!」と言う前に、思い出していただけたらと思います。

■著者情報
落合ひろみ(おちあい・ひろみ)
東京生まれ。共立女子大学卒業後、外資系航空会社に入社。秘書業務を経て、ニューヨークを拠点とする別の外資系航空会社に転職し、CAとして勤務。その後、大手代理店と契約し、ロサンゼルスを拠点に、エルトン・ジョンのNYフリーコンサートの放送権やABBAのロンドン公演中継の契約、Queenのロックフェスティバル中継など数々の音楽番組を手掛ける。テレビ番組制作会社を設立し、映画『ラッコ物語』(東宝配給)やTBSのドラマ、音楽番組を制作。後にクラシック音楽に特化した制作を展開し、小澤征爾、パバロッティやドミンゴ等の世界中継番組を制作。現在は日米婦人会の活動に注力し、国際交流を推進している。

落合陽一(おちあい・よういち)
1987年東京都生まれ。メディアアーティスト・起業家であり、筑波大学図書館情報メディア系准教授、デジタルネイチャー開発研究センター長を務める。筑波大学情報学群情報メディア創成学類を卒業後、東京大学大学院学際情報学府博士課程を短縮修了し、博士(学際情報学)を取得。ヒューマンコンピュータインタラクションや空間視聴触覚技術を中心とした研究を進め、「計算機自然(デジタルネイチャー)」という新しい自然観を提唱している。またピクシーダストテクノロジーズ株式会社を創業し、空中音響浮揚などの先端技術を社会実装に導く。主な受賞にWorld Technology Award、Prix Ars Electronica Honorary Mention、令和5年度科学技術分野の文部科学大臣表彰若手科学者賞などがある。内閣府ムーンショット型研究開発制度ビジョナリー会議構成員、未踏スーパークリエータとしても活躍。京都市立芸術大学や金沢美術工芸大学などの客員教授も務め、国内外の学術会議やフォーラムで研究発表を続ける。計算機自然論に基づく複合領域研究を推進し、学内外でも科学と芸術の融合を探究している。

このニュースに関するつぶやき

  • アンガーマネジメントの講習を何度か受講したけどね。破裂を6秒我慢したぶん、6秒後に更なる大爆発を起こす事だってあるのだ。親も人間、そう理想通りにゃいかないよ。
    • イイネ!6
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