「3万軒のスーパー」に行った専門家に聞く、「今注目しているスーパー」4選。2024年オープンのニューカマーから、言わずと知れた老舗まで

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2025年03月29日 09:20  日刊SPA!

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スギアカツキさん
この数年、情報番組や夕方のニュースの特集、バラエティ番組などで、“ご当地スーパー”がよく取り上げられている。そこでよく登場するのが、「スーパーマーケット研究家」のスギアカツキさん。この分野における第一人者の地位を築きつつある。
「全世界のスーパー3万軒以上訪問」「東京大学農学部卒」といったプロフィールについて深掘りし、スーパーにハマったきっかけを中心に話を聞いたのが、前回の記事。今回は、専門家目線で「今、注目しているスーパー」を4軒ピックアップしてもらった。ぜひお見逃しなく。

◆カスミの新業態『BLANDE(ブランデ)』

茨城県を中心に北関東に展開するスーパー『カスミ』(本社:茨城県つくば市)が2022年にスタートさせた『BLANDE(ブランデ)』は、つくば並木店、研究学園店、三郷店、オリナス錦糸町店など、徐々に店舗を増やしている。

スギアカツキ(以下、スギ) :私が今一番熱狂しているスーパーのひとつです。パンや総菜がデパ地下並みのクオリティで、地元でとれた野菜などを利用した商品も多くなっています。そしてとにかく寿司のクオリティーには驚かされます。専門店のような惣菜売り場には特大おにぎりやブランド肉を使ったコロッケがおいしそうに並んでいます。

また、ピザも地元の大人気店監修で作られていて、スーパーのピザの中では圧倒的なおいしさがあります。あと、ワインやクラフトビールの取り揃えが素晴らしく、お酒好きにもたまらない空間になっています。

さらに、「BLANDE Prime」という年会費5000円のゴールド会員になると、コーヒーが1杯無料で飲めちゃう。会員専用のラウンジもあって、高級感のあるソファーがあるイートインスペースになっています。特別感のあるゴージャス気分に浸れますよ!

◆ベイシアの新業態『オトナリマート』

北関東に展開する大手スーパー『ベイシア』(本社:群馬県前橋市)が2024年にスタートさせたばかりの『オトナリマート』は、“ひとり用“にフォーカスしたスーパー。まだ伊勢崎ひろせ店と前橋六供店など、数店舗しかないという。

スギ:近くにあったら毎日行きたくなるほどワクワクするスーパーです。朝7時からオープンしているので、通学前の学生や通勤前の労働世帯もランチを買えますし、ひとり暮らしの高齢者などにも需要があります。コンセプトは「一人暮らしを豊かに」で、商品が少量サイズの取り扱いが素晴らしい。少量で安くて美味しい、しかもすぐ食べられるという商品ばかりで、お弁当や惣菜も◎。

オリジナルのパン、例えばクロワッサンも食パンもとにかくビックリするほど安くて、例えばフレンチトーストは108円とかなので、ぜひHPをチェックしてみてください。

まだ、試験的に始めたばかりなので、メディアでの取材などもされていないんじゃないかな。今の段階では、知る人ぞ知るスーパーですが、今後増えていくと思います。

◆東北6県にある『コープ東北』の各店舗

青森県、秋田県、岩手県、山形県、宮城県、福島県の東北6県にそれぞれある『COOP(コープ)』に、スギさんは再注目しているとか。

スギ:スーパーマーケット研究家としても一個人としても東北を愛し、復興支援の気持ちを強く持っています。コープ東北さんは、東日本大震災後の復興への思いを込めた新しいPB商品「古今東北」を出すなど、すごく頑張っているんです。

この古今東北の商品はHPを見てほしいのですが、東北6県の醬油や味噌などの調味料から、東北ご当地の名産を使った缶詰や瓶詰、お菓子、日本酒、冷凍総菜など、とにかく素晴らしいんです。

東北に旅行に行かれる方は、道の駅に行くような感覚で、ぜひコープに立ち寄ってみてください。リーズナブルで地産地消、しかも高品質でおいしいので、『古今東北』の商品はお土産にもぴったりですよ。

◆進化が止まらない高級スーパー『紀ノ国屋』

東京を中心に展開する老舗高級スーパー『紀ノ国屋』のPB商品を絶賛するスギさん。いわずと知れた最高水準の品質と美味しさ、安全にこだわった商品ばかりを取り揃え、PB商品の個性とバラエティの豊かさが進化しているのだという。

スギ:時代の変化を恐れずに、新たな挑戦しているスーパーだと断言できます。昔の「高すぎて敷居が高い」というイメージとは違い、スイーツ、パン、ジャムなどに力を入れることで手に取りやすい価格のPB商品がかなり増えています。オリーブオイル、ドレッシング、アイスなど、他のスーパーのPB商品と比べると少しお高めかもしれませんが、製造元にもこだわりがあって際立つ美味しさに感激します。PBの月餅は最高ですよ。中華料理の素など万能調味料の種類も多いですし、鍋つゆやレトルトカレーもおすすめ。ビックリすることに、PB商品で鰹節がまるまる1本売られているのは、紀ノ国屋くらいでしょう。東京土産にも最適ですし、ちょっとした贅沢としてぜひ行ってみてほしいですね。

あと、紀ノ国屋といえば「KINOKUNIYA」と英語のロゴをあしらったエコバッグが有名ですが、色や大きさのバリエーションも素晴らしいですよね。海外のスーパーでも、エコバッグがヒットするスーパーは、そのスーパー自体の売り上げも上がります。ですから、イギリスのスーパーなどでは有名デザイナーがエコバッグをデザインしたりする。

スーパーは安いだけだと長く付き合えません。親近感やぬくもりを感じることは重要ですが、オシャレで素敵なスーパーだから、わざわざ行きたいと思えるんですね。「高かったら、普段使いできない」「通えない」と思う方でも、特別な時に行くとか、自分へのご褒美にとかでいいんです。そういう意味では、紀ノ国屋はトレンドを抑えたPB商品を次々出している日本トップクラスのスーパーだと思います。スーパー界における“食文化の宝庫”として、今後も注目していきたいと思っています。

<取材・文/高田晶子>

【高田晶子】
1982年、札幌市生まれ。中央大学卒業後から10年間、光文社『女性自身』記者として芸能人や美容・健康分野の取材を担当。2016年独立後、雑誌の取材に加え、写真集や書籍の構成・編集なども担当

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