※画像はイメージです 飲食店などで時折見かける店舗独自のマイルール。特にラーメン店の場合、私語禁止や子供の入店お断り、スープは全部飲み干せ、注文方法が独特、など挙げればきりがない。
もちろん、ルールを設けるのは店主の自由だが、何も知らず入ってしまった場合、居心地の悪さを感じてしまう人がいるのも事実だ。
◆店内には“ながら食べ”を禁止する「スマホ禁止」の貼り紙
会社員の原智行さん(仮名・38歳)が旅行先で訪れたラーメン店も店内には《食事中のスマホ禁止》の貼り紙。マイルールのある店が存在することは噂で聞いていたが、実際に遭遇したのはこれが初めて。
ラーメン店自体、普段はそれほど行く機会がないため、「最近はこういう店も増えているのか」くらいにしか思っていなかった。
「でも、周りを見ると、注文したラーメンを待っている人は、普通にスマホを見ていました。だから、あくまで食事中の“ながら食べ”を禁止にしているのだと認識。私もスマホゲームをやっていました」
ちなみにこの店は、町中華系の店ではないラーメン専門店。週末でも午後2時過ぎと本来飲食店が空いている時間帯ということもあり、入口に行列はできてなかったが、それでも店内は客席の7割が埋まっていた。
「現地では人気店だったのかもしれません。たまたま見かけてフラッと入った店でしたが、この店を選んだのは大正解だったかも、とこの時点では期待していました」
ラーメンが出てきたのは、スタッフに食券を渡してから約5分後。濃厚な旨味が広がるも、後味がすっきりしている醤油系のダブルスープは、中太のストレート麺との相性も良く、原さん好みの味だった。それだけにこの後起きた出来事は、せっかくのラーメンの美味しさを台無しにさせ、店の印象を最悪なものへと変えてしまった。
◆身に覚えのない「食事中のスマホ」で注意された
実は、ラーメンを食べている途中、カウンタ―内の厨房にいた店主らしき男性に突然、「お客さん、食事中のスマホはやめてもらえますか?」と言われたからだ。
貼り紙のルールを守って、食事中はスマホを開いていなかったため、最初は自分が注意されていると気づかなかったが、店主はこちらを睨んでいる。
そこで「私ですか?」と原さんが尋ねると、店主は「禁止の貼り紙を出してるじゃないですか」とキレ気味に言ってきたそうだ。
「誓って言いますけど、私はラーメンを食べ始めてからスマホは一切触っていません。画面はカウンターのテーブルに下に向けて置いていて、食べながら画面を見られる状況にはなかったんです。
そのことを説明しましたが、なぜか私が店のルールを破ったと信じて疑わず、こちらの言葉にも耳を傾けてくれませんでした」
だが、ここで思わぬ味方が現れる。原さんの隣に座る妻らしき女性と来ていた30代くらいの男性が手を挙げると、「この人、本当にスマホ見てないですよ」と証言してくれたのだ。
◆第三者の証言があっても店主は謝らず
「私が逆の立場だったら、こんな面倒事に首を突っ込みたくないからスマホに触ってないことを見ていても何も言わなかったはず。あの援護射撃はまったく想像していなかったから助かりました」
まさかの第三者の証言により店主の態度は先程に比べるとトーンダウン。それでも見間違えたことに対する謝罪の言葉はなく、それどころか「ちゃんと守ってくださいよ」と最後まで原さんがルールを破ったとの姿勢を崩さなかった。
それを見て完全に食べる気が失せてしまい、麺もスープもまだ残っていたが手を付けずに席から立ち上がる。そして、隣席の男性に証言してくれたことに対するお礼の言葉を述べた。
◆ラーメンは美味かったが、二度と食べに行かないと思う
店を出る際にも普段飲食店では、「ごちそうさま」と声をかけていたが、さすがに腹が立ったので何も言わずに出てきたそうだ。
「身の潔白を晴らしたかったですけど、営業中でほかのお客さんの迷惑になりますから。まあ、私自身小心者なのでお客さんがいなくても何も言えなかったかもしれないですけど(苦笑)。
ラーメンは美味しかったので相当こだわりを持って作っていたと思いますし、店のルールを守らないお客を注意するのも店主として当然のことです。けど、私は疑われるようなことはしていないんです。
もしテーブルの上にスマホがあったから勘違いした、と言うのであれば、《食事中はスマホをテーブルの上に置かないでください》という注意書きも貼っておけばいいんですよ。まあ、地元から遠く離れた場所にある店ですけど、もし近所にあったとしても二度と行かないでしょうね」
自分の店にルールを設けるのは店側の権利で、その店で食べるなら客側も受け入れる必要がある。実際、ルールを守らない者もいるのだろう。
とはいえ、店側の勘違いにより、身に覚えのないルール違反で客が責められるのは話が別。そのことに気づいたなら素直に非を認め、きちんと詫びてほしいものだ。
<TEXT/トシタカマサ>
【トシタカマサ】
ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。