「昔から伝えたいことは何も変わっていないはず」 吉柳咲良が語る実写『白雪姫』の魅力

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2025年03月29日 09:40  クランクイン!

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吉柳咲良  クランクイン! 写真:上野留加
 2025年最も注目を集めている若手俳優の一人である吉柳咲良(きりゅうさくら)。2017年に当時歴代最年少タイ13歳でミュージカル『ピーター・パン』の10代目ピーター・パンに抜てきされた彼女は、NHK連続テレビ小説『ブギウギ』で若手人気歌手・水城アユミを演じ、ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』ではジュリエット役を務め、日曜劇場『御上先生』(TBS系)にも出演するなど、現在進行形で輝かしいキャリアを築いている。そんな吉柳は、公開中の映画『白雪姫』のプレミアム吹替版で白雪姫役に抜てき。20歳という節目を迎えた吉柳にとって、今回の白雪姫役に特別な思いがあったそうで、来日した白雪姫役のレイチェル・ゼグラーからは大きな刺激を受けたという。

【写真】ドレスアップした吉柳咲良の全身ショット

■レイチェル・ゼグラーを研究して吹替に挑戦

――プレミアム吹替版にて白雪姫役を務めることが発表された時は「どうしても受かりたかった」と熱いコメントを寄せていましたね。

吉柳咲良(以下、吉柳):もともとディズニー作品に関わることが夢の1つだったので、いつか絶対に何かのタイミングでかなえられるように頑張りたいと思っていました。ただ、オーディションの機会がたくさんあるわけではないので、1回1回のチャンスがすごく大切になるだろうなと思っていて…。そんな中で、わたしを含め誰もが憧れる存在のディズニープリンセスである白雪姫のオーディションの機会がめぐってきました。オーディションで初めて楽曲を聞いた時に「この歌を絶対に歌いたい!」と強く思ったんです。しかも、ちょうど今20歳なので、節目のタイミングでディズニー作品に携われたらいいなという思いもありました。

――思い入れのあるディズニー作品はありますか?

吉柳:1番は『ベイマックス』です。ずっと言っているほど大好きです。兄弟がいるので、戦隊ヒーロー作品などを見る機会がすごく多くて、カッコいいものが家にあふれていたので、その影響もあるんじゃないかなと思います。あと『インサイド・ヘッド』もお気に入りです!

――念願のディズニー作品のお仕事が決まったわけですが、合否発表までは、どんな気持ちで過ごしましたか?

吉柳:もう気が気じゃなくて…(笑)。オーディションを受けてからずっと「どうなったんだろう」と考えてしまって、かなりドキドキしながら過ごしました。なので合格の知らせを聞いた時は、心底ホッとしました。

――発表の際、吉柳さんが白雪姫のドレスを着たビジュアルも公開されました。ドレスに袖を通した時、さらに実感が湧いたのではないでしょうか?

吉柳:すごくうれしかったです。プリンセスを演じられたことを実感しました。着させていただいたドレスは、本作の劇中衣装からインスパイアを受けた「クラウディア」の特別なドレスで、実際に結婚式でも着用できるようになるそうです。トップの青い布の部分はもう作れないほど貴重なものらしく、いつか結婚式を挙げる時に絶対に着ると心に決めています(笑)。

――徐々に実感が湧く中で、どんな準備をして収録に臨みましたか?

吉柳:収録の前に、字幕版の映像に目を通させていただき、レイチェル・ゼグラーさんのセリフのニュアンスや、歌の雰囲気、どういうシーンでこの楽曲を歌っているのかを理解してから収録に挑みました。今回の白雪姫は、レイチェルさんの人柄が出ているというか、とてもチャーミングで、すごくステキなんです。言葉ではうまく言い表せないのですが、空気の変え方や、セリフの言い回し、表情までもが印象的で、収録の際は、レイチェルさんを研究して、セリフのニュアンスや声の質感が、レイチェルさんからなるべく離れないように意識しました。特にレイチェルさんは素晴らしい歌声をお持ちなので、クオリティーを落としてはいけないというプレッシャーを大きく感じまして、歌はとても練習しました。

――数々の舞台に出られて、アーティストとしても活躍している吉柳さんですが、映像の吹替となると歌い方など技術的な違いがあるものなのでしょうか?

吉柳:そうですね。今回はミュージカルの中でも難しい楽曲ばかりでした。音楽を手掛けたパセク&ポールの計り知れないセンスと、それにマッチするレイチェルさんの歌声がすさまじくて、この世界観をどう壊さずに歌えばいいのか悩みました。レイチェルさんは音域が広い方で、低い声からのパンっと張り上げた高音がキレイに出せる上に、すごく繊細で美しいファルセットで歌う部分もあったりして、楽曲によって雰囲気が変わるんです。その表現方法を崩さないようにするのが大変でした。

――そんなレイチェルさんが来日され、ご本人と対面も果たしました。実際に会ってみていかがでしたか?

吉柳:すごく華奢(きゃしゃ)でかわいらしい方で、「プリンセスだ…」と心から思いました。お会いできて、うれしかったです。プレミアム吹替版の歌を聞いてくださったみたいで、会った瞬間から褒めてくださり、ハグまでしていただきました。スペシャル歌唱イベントのリハーサルでは、レイチェルさんの第一声に本当にびっくりして…! 歌がマイクに乗った瞬間に生歌なのか疑ってしまうくらい圧倒的な歌声なんです。なんか音質が違うというか…。一気に『白雪姫』の世界に連れ込まれる感覚があって、“レベチ”ってこういうことだと実感しましたね…(笑)。すごい衝撃でした。その上、わたしの方を向いて歌ってくださって、感無量でした。

――白雪姫といえば、夢がかなうことを信じる前向きな性格が魅力の1つですが、吉柳さんの今の夢はなんでしょうか?

■アニメから変わらぬ『白雪姫』の魅力

吉柳:これからもミュージカルにたくさん出たいです。初出演作品もミュージカルの『ピーター・パン』でしたし、ミュージカルに出演するたびに、すごく大きな何かを得られているような気がするんです。ミュージカルへの探究心や熱意は、自分の中で何よりも大きいのを感じていたので、まだまだやれることはあるし、今回レイチェルさんの歌声を間近で聞いて、わたしもレイチェルさんのような表現力で歌えるようになりたいと憧れを抱きました。

実はレイチェルさんとは、『ロミオ&ジュリエット』のジュリエット役を務めたという共通点がありまして、同じ役を演じるのは今回で2度目なんです。なのでいつかわたしも、レイチェルさんが演じていた『ウエスト・サイド・ストーリー』のマリアを演じられたらと思っています。ミュージカルが日本にもっともっと浸透して、たくさんの作品に出演できたらうれしいですね。

――レイチェルさんの歌声を間近で聞き、『御上先生』では同世代の役者と共演した吉柳さんにとって、今年は刺激の多い年ではないかと推測するのですが、もし『白雪姫』の女王みたいに嫉妬やうらやましいという感情を抱いた時、吉柳さんは、これらの感情とどう向き合いますか?

吉柳:わたしは基本的にネガティブな人間なので、劣等感をすごく抱いてきたし、あまり自分に自信があるタイプではないんです。でも、最終的に自分の実力を伸ばすことでしか、戦う土俵には立てないと思っているので、劣等感を“憧れ”に変えていくことがすごく大切だと思っています。「うらやましい」と思うことは簡単で、その先の自分に何ができるかによって、未来は変わっていく気がしていて…。“劣等感を抱く”って言い方を変えれば、その人のすごさを認めているということなので、その柔軟さを生かして、「何をしているからすごいのか」「それをどこまで自分に取り入れていけるか」を考えて、その人への理解を深めることが、自分の成長にもつながるのではないかと思います。嫉妬だったり悔しさを抱いた時は、逆にその人のお芝居や歌を研究するようにすれば、そこから得られるものって必ずあると思うんです。悔しいと思っているだけでは、先に進めないので、その感情を超えていかなきゃいけないと思います。

――20歳で、その考え方にたどり着いたのがうらやましいです…。さて、これまでの実写映画化されたディズニー作品は、不朽の名作をスクリーンに蘇らせるのみならず、新しい時代ならではのメッセージを感じられるのも魅力でした。今回の『白雪姫』の魅力を、吉柳さんはどう捉えていますか?

吉柳:アニメーションの『白雪姫』から掲げているテーマが大きく変わっているわけではなく、実写映画化されたからこそ、世界観が鮮明になり、平面だったものが球体として見えるようになったというような感覚に近いと思います。本編内では、劇中歌「夢に見る 〜Waiting On A Wish〜」が何度か流れるのですが、そのたびに白雪姫の心情が前向きに変わり、気持ちの変化が繊細に表現されているんです。アニメーションでは見えなかった部分が、ミュージカル版では生っぽく、より人間らしく感じられるようになった気がします。昔から伝えたいことは何も変わっていないはずで、白雪姫が持つ、歩み出す勇気や、お互いを思いやる気持ち、思慮深さ、優しさは、どの時代においても大切なことだと改めて感じさせてくれます。

あと、レイチェルさんが本当にステキで、きっと皆さん、大好きになると思います。わたしが1番ステキだなと思ったのが彼女の笑顔で、本当にキュートで、ちょっとした仕草までかわいらしいんです。レイチェルさんが持つ人柄やチャーミングさが、ラストに向けてどんどん出てくるので、たくさんの方にキュンキュンしてほしいなと思います。

(取材・文:阿部桜子 写真:上野留加)

 映画『白雪姫』は全国公開中。

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