米ウォール街のニューヨーク証券取引所で働くトレーダー=28日、ニューヨーク(AFP時事) 【ニューヨーク時事】米株式相場の下落に歯止めがかからない。代表的な株価指数、ダウ工業株30種平均の月初来の下げ幅は28日時点で計2200ドルを超えた。トランプ米政権が掲げる高関税政策が景気の足を引っ張るとの警戒感から投資家心理が急速に冷え込み、自動車や金融、ハイテクなど幅広い銘柄が売られている。
週末28日のダウは前日終値比715.80ドル安の4万1583.90ドルで引けた。消費者の景況感悪化や、物価高の根強さを示唆する経済指標が響き、3日続落した。
市場では当初、産業界寄りで株価重視とみられていたトランプ大統領が規制緩和を進め、米経済を活性化させるとの期待が台頭。主要株価指数は就任直後こそ高値圏で推移していた。
ところが、トランプ氏が高関税政策を矢継ぎ早に打ち出すと、消費や投資が低迷することで、実体経済に悪影響が生じるとの懸念が拡大。市場の期待は大きく裏切られ、ダウは1月の高値から3000ドル以上も下落した。
市場関係者が特に不安視するのは、米政府が来月から輸入車を対象に課す25%の追加関税だ。対米出荷が減少し、裾野が広い自動車産業のサプライチェーン(供給網)全体への打撃は不可避な情勢。第一生命経済研究所は関税発動で世界の実質GDP(国内総生産)が0.36%下押しされると試算した。
トランプ氏は来月2日、貿易相手国と同水準の関税を課す「相互関税」を発表する。景気への配慮を迫られ、「厳しい関税政策は長く続かない」(日系証券)との楽観論もある。ただ、同氏は短期的な株価の変動は気にしない姿勢を崩しておらず、相場の停滞が長引く可能性もある。