【ワシントン時事】トランプ米大統領は4月2日、貿易相手国に同水準の関税を課す「相互関税」を発表する方針だ。対米貿易黒字を抱える日本や欧州連合(EU)、カナダ、韓国などが対象になる見通し。トランプ氏は、事前回避の可能性を否定する一方、発表後の交渉には応じる構えを示す。各国・地域は、報復措置の検討や米国との交渉準備に着手し、高関税に身構えている。
トランプ氏は、巨額の貿易赤字を計上する米国は、相手国に利用されてきたと主張。4月2日を貿易関係を清算する「米国解放の日」と位置付けている。相互関税の全貌は不明だが、関税や非関税障壁を考慮し、「1カ国・地域に一つの関税率」を設定するとみられている。トランプ氏は28日、減免措置などに関する交渉余地を認めつつも、あくまで「発表後だろう」と記者団に説明した。
各国・地域の対応は分かれている。日本は事務レベルの協議を加速させ、米政権に適用除外を働き掛けていく考えだ。
EUも慎重に対応するとみられている。米政権による海外製鉄鋼・アルミニウムへの追加関税に対する報復措置の発動を当初の4月1日から同月中旬に延期。米ブルームバーグ通信によると、同7日に加盟国の貿易相会合を開き、対応を協議する。報復措置の検討や譲歩可能な分野の絞り込みなど、米国との交渉に向けた準備も始めた。
一方、4月に下院総選挙を控えるカナダのカーニー首相は、相互関税が課されれば、報復措置を発動するとトランプ氏に直接通告。ロイター通信によると、中国国営テレビは、中国が「断固たる措置を取る」見通しだと伝えた。
トランプ氏は就任以来、関税を産業保護だけでなく、不法移民対策などに他国を協力させるための脅しにも利用。関税収入を減税や債務削減の財源に充てる考えを示している。
第1次トランプ政権と対峙(たいじ)したマルムストローム元EU欧州委員は、米シンクタンクでの講演で「何に本気で、何が政治的議論にすぎないのか、(各国・地域は)米政権の発表の狙いを理解しようとしている」と指摘。米政権と各国・地域の駆け引きは、今後本格化していくとみている。