
パチンコをする人って、ごく一部に、マジで人生の中でパチンコしかしてない人というのが紛れ込んでいる。実家が太いのか、働いてないのか知らないけど、こういう人たちとしゃべっていると、普通のサラリーマンと会話をしている時とはやや異なる、独自の社会観念を有していることに気付く。
たとえば消費税以外の税金を納めてないからか、税についての知識が欠落していたり。たとえば年金も納付は親任せにしているのか、自分がいくら納めることになっているか知らなかったり。世の中全般のことに疎かったりする。(文:松本ミゾレ)
社会人経験が薄い人に限って、他人の職業を見くびる
先日、紳士の社交場、おなじみ5ちゃんねるに「パチ屋の店長ってずっとモニター見てるだけで高年収じゃん?」というスレッドが立っていた。
スレ主はパチンコ屋の店長の仕事を、ずっと事務所に籠ってモニターぼんやり眺めてるだけと考えているようで、この時点で彼がろくに社会人経験を積んでいないことが予想できる。
その上で「なんで子供のなりたい職業に入らないのか謎」とも。子供なんていないであろう怠惰なおっさんが、こういう主張をしているのって怖いよね。
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スレッドを見ると、社会人経験がちゃんと年齢に見合っている人もちゃんといるようで、この疑問に対して否定的な意見も目に付いた。
「下っ端の社員がゆうてたが店長は絶対になりたくないゆうてたで エリア長ならいいみたいや」
「売り上げ伸びないと本部の人に怒鳴られてそう」< 「店長かやってたらハゲそうだけど」 「早番7:30出勤でも役職なら閉店後23時から毎日釘を叩かないといけない。そんな暇な番する能無し居る位なら人件費削ってクビにするだろ」
僕は若い頃パチンコホール企業の社員をやっていたが、未だに当時の社員たちの日々の苦労は鮮明に記憶している。
自分より年上の人たちが汗と涙を流して苦役に従事していた姿を知っているため、所々実態とは異なる部分もあるものの、引用した書き込みを眺めていると「ああ、大変そうだったなぁ」と概ね納得はしてしまう。
うつ病にならない方がおかしい!
パチンコ店の店長は1つの店を任されているわけで、責任は重大だ。僕が2003年に入社した某企業では、既に女性店長も複数いた記憶がある。
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男女の境はさほどなく、実際に仕事ができれば高卒でも店長までは出世できる会社だったので、逆を言えばだらけた人に与えられる役職や席なんかなかった。
お世話になった店長の1人は中卒の古参社員だったが、この人もまぁ〜スパルタで、何度怒鳴られたか分かったもんじゃない。
で、先ほど引用した書き込みに「エリア長ならいいみたい」といった声もあったが、複数の店舗をエリアで括って統括する立場の役職が楽できるわけがない。自分の担当するエリアの全ての店舗の状況を管轄するため、さらに上の幹部からの叱責もモロに食らう立場で、顔色が悪いエリア長もいたっけ。
店長だってそうだ。プレッシャーは半端ない。閉店後に売り上げについて本社から電凸が入ることは日常茶飯事。
うっかり一度その電話を受けたことがあったが、やくざみたな罵声を矢継ぎ早に受けてしまい、つい店長に「すいません、なんか頭おかしそうなおっさんからクレームです」と受話器を渡したことがある。
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数分後に店長から「あれは本社からの電話でクレームじゃねえよ!」と怒られてしまった。 店の収益が下がれば容赦なく叱責を受けて降格に至ることも。配下の社員たちの素行や言動もまた、店長の査定に影響するので、ほんと大変そうだったなぁ。
店長職は体力勝負。早番で出勤していても、新台入れ替えを翌日に控えていれば夜から出勤するのは当たり前。ところがある新規オープン店の店長は、早番上がりに軽く飯を食ってそのまま店にとんぼ返りし、その日遅番だった僕が仕事前に社員寮でゲームをやっているのを目にして「一緒にやろう」と対戦までこなし、そこから普通に遅番勤務し、深夜に閉店作業を済ませて新台の設置作業に移行。いつ寝てるんだろう、と戦慄した。
そもそも彼らとは体力の基礎が全く違うことに否応なく気付かされた僕は、やっていく自信がなくなって辞めてしまった……あの仕事、僕みたいな雑魚には到底務まらない。それこそ無理に続けてもうつ病になってたに違いないのだ。
座ってモニター見てりゃいいだけの仕事なんてないんだよね。誰かの仕事がラクそうに見えるのは、たまたまラクそうに見える部分だけ切り取って目にしたり、想像しているに過ぎない。パチンコ屋の店長なんて昔も今も、ほんとしんどいですって……。