ラピダス立地を受け進出したASMLや東京エレクトロンの拠点が入るJR千歳駅前の商業ビル=27日、北海道千歳市 ラピダスが先端半導体工場を建設中の北海道千歳市は、2023年2月以来、東京エレクトロンやオランダのASMLなど半導体関連37社が進出、産業拠点として存在感を増している。4月からはいよいよラピダスの試作ラインが稼働。地元経済への波及効果に期待が高まっている。
マンスリーマンション運営などを手掛けるWeekly&Monthly(札幌市)は4月以降、千歳市内の物件を2室から20室に増やす。ホテルより割安で長期滞在でき、工場作業員らの引き合いは強い。黒木健次郎社長は「様子を見ながら40室ほど増やしていきたい」と話す。
また、進出企業の拠点開設でオフィス需要も拡大。市によると、当初は商業ビルの空き室などで急場をしのいでいたが、今後新たに6棟のオフィスビル竣工(しゅんこう)が控えているという。
市の将来ビジョンによると、ラピダスが2〜4棟目の工場を建設すると想定し、社員やその家族らの転入で40年までに約7800人の人口増加効果があると試算。新たに市内で1423億円の消費活動が生じると見込んでいる。
半導体を巡る世界的な競争は激しさを増しており、ラピダスを軸とした「日の丸半導体」復活の道は険しい。試算通りに進むかは不透明だが、市は「待望の試作ライン稼働。次は27年の量産開始に向けて支援していきたい」(次世代半導体拠点推進室)と、伴走を続ける構えだ。