ブルペンで投球練習するロッテ・種市篤暉[撮影=岩下雄太] 「毎年言ってるんですけど、今年は本気で獲りにいけるように」。
ロッテの種市篤暉は、今季こそ“最多奪三振”のタイトルを獲得するつもりだ。
種市は2019年に規定投球回に届かなかったが、リーグ4位の135奪三振、20年は9月に右肘のトミー・ジョン手術を受けた関係で41奪三振にとどまったものの、7月11日の西武戦後に奪三振リーグトップに立った。右肘手術から本格復帰した23年がリーグ2位の157奪三振、昨季がリーグ6位の148奪三振だった。
かつては「ストレートで三振が取りたい」と話していたが、現在は「そこに関しては別にこだわっていないですね。とにかく三振が取りたいという感じです」と、“奪三振”に貪欲な姿勢を示す。
三振を奪うために必要になってくる球種に挙げたのがフォーク、スプリットの落ち球の変化球。「去年は空振りを取れていましたけど、よくない時はツーシームみたいな軌道になって、三振取りたい時に取れなくなっちゃうので、できるだけ新しい球種、フォークボールで落差が出せるように」と石垣島春季キャンプ中に話していた。
種市に19年以降のフォークの年度別奪三振数(19年が53、20年が18、23年が54、24年が52)を伝えると、「あ〜もっと取りたいですね」とポツリ。
フォーク、スプリットで1年間で60三振を奪いたいのだろうかーー。
「そうですね、フォークに限らずスライダーも改善する余地がたくさんあると思うので、そこも色々話して回転、回転軸を考えていけたらなと思います」。
ストレートの奪三振は昨季62個だった。「ストレートに関してはもうちょっと頑張っていけたらなと思います」と話した。
種市が今季25試合に登板したと仮定して、1試合8奪三振で200奪三振に届く。1試合8奪三振が目安になってくるのだろうかーー。
「そうですね、基本的に8奪三振目指して頑張っているというのは多いですね」。
200奪三振するためにも、イニング数も大事になってくる。
「イニングは平均7回投げられたら最高かなと思いますし、25試合投げたら7.1回2回投げないといけないので、できるだけ6イニングで終わっても次の試合で8イニング投げられるような球数もそうですけど、球の精度も上げていけたらなと思います」。
そうなると、昨年8月11日のオリックス戦、96球で完投勝利した時のような投球が理想になるのかーー。
「あの日はすごいフォークボールが良かったのでいけたんですけど、あのイメージでいけたらいいかなと思います」。
8月11日のオリックス戦の投球を継続するためには「コンディショニングも大事になってくると思います。栄養もそうですし、睡眠、そういった治療とかもそうですし、そっちも大事ですし技術を常に疲れても安定的にボールを出せるような技術力の高さも必要かなと思います」と自己分析した。
「本当にまずは1年間投げた上で、奪三振王も取れるようにしたいと思いますし、防御率もできるだけ低く、自分にコントロールできるところに注力していきたいと思います」。ファンをワクワクさせるストレート、落差の大きいフォーク、鋭く小さく落ちるスプリット、縦に落ちるスライダー、“王道”の投球で三振を取って、取って取りまくるシーズンにする。その先に、自身初の個人タイトルが待っている。
◆ 種市篤暉の年度別奪三振
▼2018年:28奪三振
フォーク:14(見逃し:0 空振り:14)
ストレート:10(見逃し:5 空振り:5)
スライダー:4(見逃し1 空振り3)
▼2019年:135奪三振
フォーク:53(見逃し:2 空振り:51)
ストレート:52(見逃し:24 空振り:28)
スライダー:23(見逃し:0 空振り:23)
縦スライダー:5(見逃し:0 空振り5)
有吉さんスライダー:2(見逃し:0 空振り:2)
▼2020年:41奪三振
ストレート:19(見逃し:6 空振り:13)
フォーク:18(見逃し:0 空振り:18)
スライダー:4(見逃し:0 空振り:4)
▼2022年:2奪三振
ストレート:1(見逃し:0 空振り:1)
スライダー:1(見逃し:0 空振り:1)
▼2023年:157奪三振
ストレート:68(見逃し:31 空振り:37)
フォーク:54(見逃し:8 空振り:46)
縦スライダー:26(見逃し:0 空振り:26)
スライダー:9(見逃し:2 空振り:7)
▼2024年:148奪三振
ストレート:62(見逃し:30 空振り:32)
フォーク:52(見逃し:2 空振り:50)
縦スライダー:25(見逃し:0 空振り:25)
スライダー:7(見逃し:1 空振り:6)
縦カーブ:2(見逃し:0 空振り:2)
取材・文=岩下雄太