「OM-3」は予想以上に“OM”だった? 半世紀前のカメラにそっくりなレトロボディ+最新機能という魅力

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2025年03月30日 08:41  ITmedia NEWS

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フィルム時代の一眼レフをモチーフにしたOM-3。シルエットが実にレトロ。カラーはシルバーのみ

 OM SYSTEMの「OM-3」。めっちゃトラディショナルなフィルム一眼レフのスタイルで登場である。オリンパス時代の「E-M5」から「OM-D」と称していたとおり、OMシリーズはフィルム時代のオリンパスの一眼レフ「OMシリーズ」のデザインを持ち込んでヒットしたのであるが、最近は徐々に趣味性より実用性重視のデザインに変化してきていた。


【その他の画像】


 そんな折、突然、新ラインアップとして今まで以上に往時を彷彿とさせるレトロかつトラディショナルデザインに回帰したOM-3が投入されたのである。


 どのくらい回帰したのか。


●OM-3はこんなにOMだった


 最初に気になるのはこのボディだよね、ってことでその話から。


 OM SYSTEMのOM-3のデザインモチーフはオリンパスが1972年に発売した一眼レフ「OM-1」だ。このシリーズに「OM-3」(1984年発売)というモデルもあったが、今回のOM-3のモチーフはOM-1である。


 すでにOM-1といえばミラーレス一眼の「OM-1」を指すことが多いのでややこしくてしょうがないのだが、とりあえず、手元に当時のOM-1(正確にいうと、OM-1と名称を変更する前のモデル「M-1」)があったので並べてみた。


 中央にあるトンガリ頭といい、ダイヤルの位置といい、電源スイッチの位置といい実にそっくり。ペンタ部のロゴこそOLYMPUSからOM SYSTEMになっているが、そのくらいだ。


 これはなかなかだ。


 次は初代OM-Dである最初にOMの名を冠したミラーレス一眼「E-M5」と並べてみた。


 E-M5は、当時かなりOMっぽいといわれたけど、こうしてみるとOM-3の方が往年のOMシリーズに近い。ただ、E-M5ってすごく小さかったのだなあ、OM-3が出たことだし、現行OM-5もこのサイズ感に戻らないかなとちょっと思ってる。


 ボディ比較シリーズ最後はOM-1(最新モデルのOM-1 Mark IIはロゴがOM SYSTEMに変更されている)。


 こうしてみるとOM-1は一回り大きく、実用性重視の本格派モデルなのがよく分かる。グリップも深いしシャッターボタンもかなり縦になっててグリップしたとき押しやすい位置だし、グリップしたとき小指が余らないようにちょっと高さがある。


 と、OM-3を基準に初代から現行のハイエンド機まで並べてみた。こうしてみるとOM-3のデザインコンセプトやその凝り具合がよく分かるよね。


 そんなOM-3の中身はどんなか。


 立ち位置としてはOM-1 Mark IIとOM-5の間に位置するモデルで、重さも両者のちょうど中間。OM-1より軽くてOM-5より重い。基本性能はOM-1相当で、それ意外はOM-5に近いという感じだ。


 イメージセンサーは約2000万画素だが、OM-1と同じセンサーを採用。裏面照射積層型センサーなので、高速読み出しが可能で電子シャッター時の歪みも気にならない。


 また、クアッドピクセル方式のセンサー(1画素を4つのフォトダイオードで構成している)を採用しているため、全画素で像面位相差AFが可能だ。つまりAFが速いのである。


 画像処理エンジンも最新のTruePicXを採用(OM-5より1世代上)なので、フラッグシップ機の迫る高性能なのだ。


 OM-5では搭載されなかった被写体検出AFにも対応している。このあたりはOM-1 Mark II準拠なのだ。


 連写もメカシャッターの連写速度こそOM-1 Mark IIに劣るが(秒10コマvs6コマ)、電子シャッター時は秒20コマ、超高速連写だと秒50コマまでいける。


 ISO感度設定もOM-1と同等、標準でISO25600まで、拡張ISO感度で102400まで上げられる。


 ボディのデザインからして超望遠ズームをつけて鳥を撮る、的な使い方には向かないが(グリップもないし、別売りのグリップも用意されてない)、40−150mm F4のコンパクトな望遠ズームを付けてちょっとした望遠撮影を楽しむには良い。


 フィルム一眼レフライクなボディだが、上から見ると普通にOMシリーズのミラーレス一眼だ。右肩に撮影モードダイヤルと2つの電子ダイヤルで片方は中央にシャッターボタンがある。どうせならネジ穴を切ってケーブルレリーズ対応にすればよかったのにと思うくらい。


 電源は左肩。なるべくフィルム時代のOM-1を継承したいということでここにつけられたらしい。そして、静止画・動画・スロー&クイックの切替レバーがある。


 後ろから見るとけっこう横長だ。


 横長のボディにバリアングルモニターを搭載したことで、背面モニターの中心がファインダーより左にずれてしまっているのがちょっと気になる。


 ファインダーはOM-1仕様の高解像度のものではなく、OM-5と同等。EVFの性能はフラッグシップ機同等とはいかなかった。


 「CP」とあるのは「コンピュテーショナルフォトグラフィー」の略。デフォルトでは「ハイレゾ」(少しずつずらした画像を複数枚撮影して高画素の写真を撮る機能)が割り当てられているが、他のものにしてもいい。


 コンピュテーショナル撮影と称した機能がいくつか搭載されているのは昨今のOMシリーズの特徴で、電子シャッターを使い複数の画像を撮影して合成することで実現する撮影機能の総称としている。


 例えば、ライブNDでは、連写+合成をすることで、NDフィルターをかけたときのような写真を撮れる。例えば、ND64を指定することで真っ昼間に1秒のスローシャッターという無茶な撮影もできるのだ(実際にはもっと高速なシャッターで1秒間超高速連写して合成している)。


 ボディが横長になった理由は、薄くてグリップ部の出っ張りがないボディに、OM-1と同じ大きなバッテリーを搭載するためのようだ。確かに、よくこの薄いボディにこのバッテリーを入れたもんだと思う。


 上位機種と同じバッテリーを使えるのは大変ありがたい。もちろんUSB Type-C端子を搭載しており(OM-5はmicroUSBだったからね)本体内充電できる。


 ガチでフィールドワークに持ち出したり超望遠ズームで鳥を撮ったりしたいときは上位機種を、スナップ撮影メインで機材をシンプルにおさめたいときはOM-3をって使い分けもしやすい。


●クリエイティブダイヤルを搭載


 と、フィルム時代を受け継ぐボディにOM-1 Mark II相当の撮影性能を持ちつつ、EVF性能がOM-5と同じだったり、メディアスロットがシングルであることなど一部OM-5仕様の点もあるOM-3。


 そしてOM-1やOM-5にはないダイヤルが一つついた。「クリエイティブダイヤル」である。


 実はこれ、OM-3が初めてではなく、かつてPENシリーズの最上位モデル「PEN-F」で採用した機能が復活したのだ。


 昨今の画作り(ルックとかカラープロファイルとか)で写真に個性を出そうという流れを取り入れたのだろう。


 クリエイティブダイヤルはノーマルのピクチャーモードを中心に、片側はカラープロファイルコントロールとモノクロプロファイルコントロール。カラープロファイルコントロールでは色相別に彩度を調整したりハイライトとシャドウをコントロールしたりして画作りを行える。


 反対側にはお馴染み(というか懐かしの?)のアートフィルターと、カラークリエイター。カラークリエイターは全体にカラーフィルターをかける機能と思っていい。


 モニターでリアルタイムにプレビューを見ながら絵を作れるので、色や階調に細かく凝りたいときにいい。


 こういう機能はメニューの中にあってもなかなか使おうと思わないけど、専用のダイヤルがあってすぐセットできるとなると、「ここはちょっと画作りを変えてみたい」「ここはモノクロで撮りたい」ってときにすぐ変更できてとっつきやすくなるわけで、良いことである。


 と、OM-3ならではのあれこれをまとめてみた。


 ここからは普通の作例。


 いつものガスタンクから。カラーモードはナチュラルで。すっきりしたクリアな絵がOMらしい。


 レンズは12-45mm F4.0 PRO。コンパクトで軽く、亜使いやすいレンズだ。


 続いて人物。


 OM-3の標準ズームレンズといえるのは、軽くて扱いやすい12-5mm F4.0 PROだが、ボディに似合うのはコンパクトな単焦点。35mm判換算で50mmとなる25mm F1.8を装着してみた。今回リニューアルされたレンズだ。


 これはちょっとしたスナップにもよい。


 今回、もう一つ単焦点レンズを使ってみた。今回リニューアルした17mm(M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II)である。35mm換算くらいで使える。やや広角系のスナップに。これで夜景を撮ってみた。


 OM-3はOMシリーズの特徴である、防塵防滴と強力なボディ内手ブレ補正を継承しているので、シャッタースピード1秒で手持ち撮影に挑戦。


 最後は季節物、ってことで望遠で撮った菜の花でも。


●スナップから軽い望遠まで楽しく持ち歩けるカメラなのだった


 初見では、イマドキフラットなボディは撮りにくいんじゃないかと心配だったけど、重い望遠レンズを付けない限り問題なく、シャッターもけっこう押しやすくていい感じに扱えたのはよし。首からぶら下げて散歩したい。


 AFポイントを動かすためのスティックがつかなかったのは残念(OM-1系には搭載している)だけど、気になったのはそこくらいか。


 何より、OM-1系と同じイメージセンサー、画像処理エンジンを搭載したのが朗報だ。OM-5など従来のセンサーとはワンランク違うセンサーで気持ちよく使えて写りもいい。


 ガチでしっかり撮るならOM-1 Mark IIを、スナップメインで画作りも楽しみたい人にはOM-3を、と思っていいんじゃなかろうか。



このニュースに関するつぶやき

  • この手のレトロデザインは基本的にデザイナーの敗北と思う。メカ的制約から解放されたのに昔と同じというのは。
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