子どもの学校生活にどこまでかかわるか?落合陽一氏が小学校時代に大泣きしながら帰宅…母は「今でも後悔」【書籍一部抜粋】

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2025年03月30日 09:00  ORICON NEWS

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落合ひろみ氏
 「学校のことは学校に任せるべき?」

【画像】『「好き」を一生の「強み」に変える育て方』落合ひろみ×落合陽一親子が実践・検証した「これからの子育て」

 「子どもが何か言わない限り干渉しないほうがいい?」

 教育現場との関わり方に悩む親は少なくない。メディアアーティスト・落合陽一氏を育てた母・落合ひろみ氏が、自らの経験から学校との向き合い方について語る。

 『「好き」を一生の「強み」に変える育て方』(サンマーク出版)より一部抜粋、再構成して届ける。

・以下本文(P234〜240)

Q)学校のことをどこまで気にしますか?

A できるだけ学校に任せる
B 気になることがあれば学校に相談する

■我が家の場合 学校生活にどこまでかかわるか?

 モンスターペアレンツという言葉もあり、何か疑問があっても、学校に問い合わせをすることに躊躇する方もいるようです。
 何より自分が忙しいと、「学校生活は学校任せ」と、親の意識が向かなくなってしまうこともあるでしょう。
 しかし、学校は、子どもが長く時間を過ごす場所です。そこで何かあれば、影響は大きいと思うのです。
 我が家も学校でのことでは、様々なことがありました。
 ここで、学校での出来事に親がどう対処するかについて、まとめていきたいと思います。

■いじめは早期発見して放置しない

 いじめによる子どもの自殺というニュースを目にするたびに、心が痛みます。
 いじめをしたほうもよくないですが、教師も学校も教育委員会もまるで他人事のような対応をするのを見ていて本当に腹立たしくなります。
 文部科学省の調査によると、全国の小中高校と特別支援学校で2023年度に確認されたいじめの件数は約73万件超で、前の年より7%以上多くなっているといいます*1。
 深刻ないじめによる痛ましい事件も1306件と過去最高で、小中学生と高校生の自殺者も397人だったとのことです。不登校の小中学生は約30万人を超え、深刻です。御自身のお子さんを本当に守れるのは親御さんだけです。子どもに異変が起こっていると思ったら、ためらわずに学校に行って真相を探るべきだと思います。
 陽一が小さい頃は私がかなり忙しい仕事をしており、海外ロケによる出張など長期に家を空けることもよくありました。海外に出ると必ず陽一宛てに世界中から絵葉書を送ると決めていました。また、現地で少しでも時間がとれると、国際電話をかけて陽一と話をするようにしていました。当時の国際電話料金はものすごく高かったのですが、どんなに料金が高くても常に陽一を気にかけ、大事にしていることを伝えたかったのです。
 一緒にいられる日は、必ずその日にあったことを長い時間をかけて聞きました。
 子どもは起きたことをそのまま話すとは限りませんが、しっかり聞いてあげることで、友達関係がどうなっているのか、何か悩みがないかなどを表情や声の調子で判断していました。これでいじめにあっていないかを知るための判断としていました。

 親が子どもの変化に「気づかない」ということは、後で大変な事故に発展する可能性があります。
 小学校の同じクラスにO君という陽一と同じように体が小さいのですが、成績のよい男の子がいました。お父様は弁護士で、ゆくゆくは息子も弁護士にしたいと考えていたようです。陽一と同じ塾に通い中学受験をしたのですが、うまくいきませんでした。優秀なのに受験に失敗したのは、陽一と同じように試験に弱い子どもだったのかもしれません。
 このため2人とも同じ中学に進学し、クラスも一緒になりました。陽一は本当に多様な国籍や民族の子どもたちと一緒に学び、遊んだりケンカをしながら元気に走り回っていました。一方O君は物静かで目立たない子どもでした。しばらくして陽一からO君の話題が出ないことに気づき聞いたところ、学校には来ていないと言います。
「どうしたの?」
「知らない」
 その場は聞き流したのですが、後で同級生のお母さまから思いがけないことを聞きました。同級生の体の大きな女子生徒数人がO君を取り囲み、からかったりいじめたりしたようで、O君はそれ以来、不登校になってしまったのです。
 学校では港区内の他の中学への転校を勧めたそうですが、結局かなり遠いところへ一家で引っ越していかれました。
 子どもの不登校は本当に心配です。学校で何が起こっているのかと不安になります。でも親が子どもの防波堤になり、支えてあげることで最悪の事態は避けることができます。子どもを守れるのは、親だけです。今どこにいるのか消息もたどれなくなってしまったO君が、元気で暮らしていることを願うばかりです。

*1 文部科学省「令和5年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」(2024年10月31日)

■親の対応次第で人生が180度転換する

 子どもにとって小学校は、1日の大半を過ごすところであり、かつ社会との最初の接点として、人間関係や人としてやるべきことを身につける大切な場所です。小学校時代をいかにのびのびと楽しく過ごし、しっかり学ぶことができるかどうかは、それ以降の人生に大きく影響します。
 小学校時代を明るく過ごすか、そうでないかは担任の先生にかかわってきます。といっても子どもとしっかり向き合ってくれる先生かどうかは、親にはなかなかわかりません。子どもは学校で嫌なことがあったり、教師や生徒からいじめにあったとしても、親に心配をかけたくないと思い、言わないで済ませてしまうことが多いようです。

 陽一が小学校高学年のとき、大泣きしながら帰宅したことがありました。
 陽一は比較的明るく楽観的な性格で、友達との関係も良好でした。クラスメイトからいじめられても、逆にケンカを仕掛けていくようなところがありましたし、そのケンカに負けても、また立ち向かっていくような子どもでした。そのため泣いている陽一を見て、私は気が動転してしまいました。
 話を聞くと、本人とは関係のない理由で、楽しみにしていた学校行事に参加できなくなったということがわかりました。
 そのとき、ようやく陽一が学校で居づらい思いをしていたことがわかったのです。
 私は意を決して学校に行き、教頭先生に相談しましたが、結局卒業まで担任が代わることはありませんでした。
 教師は子どもをほめて育てる方針の方と、ビシビシ厳しく教育するタイプの方がいます。厳しいのはいいのですが、感情をそのまま子どもにぶつける方が担任になると子どもは大変です。人間ですので、相性が悪いこともあるでしょう。でも、人生の窓口ともいえる小学校時代に、保護してくれるはずの担任の先生から拒否されたら途方に暮れてしまいます。陽一の卒業文集に4年生までの楽しかったことしか書いていなかったことを発見し、もっと早く学校に相談すればよかったと、今でも後悔しています。

■著者情報
落合ひろみ(おちあい・ひろみ)
東京生まれ。共立女子大学卒業後、外資系航空会社に入社。秘書業務を経て、ニューヨークを拠点とする別の外資系航空会社に転職し、CAとして勤務。その後、大手代理店と契約し、ロサンゼルスを拠点に、エルトン・ジョンのNYフリーコンサートの放送権やABBAのロンドン公演中継の契約、Queenのロックフェスティバル中継など数々の音楽番組を手掛ける。テレビ番組制作会社を設立し、映画『ラッコ物語』(東宝配給)やTBSのドラマ、音楽番組を制作。後にクラシック音楽に特化した制作を展開し、小澤征爾、パバロッティやドミンゴ等の世界中継番組を制作。現在は日米婦人会の活動に注力し、国際交流を推進している。

落合陽一(おちあい・よういち)
1987年東京都生まれ。メディアアーティスト・起業家であり、筑波大学図書館情報メディア系准教授、デジタルネイチャー開発研究センター長を務める。筑波大学情報学群情報メディア創成学類を卒業後、東京大学大学院学際情報学府博士課程を短縮修了し、博士(学際情報学)を取得。ヒューマンコンピュータインタラクションや空間視聴触覚技術を中心とした研究を進め、「計算機自然(デジタルネイチャー)」という新しい自然観を提唱している。またピクシーダストテクノロジーズ株式会社を創業し、空中音響浮揚などの先端技術を社会実装に導く。主な受賞にWorld Technology Award、Prix Ars Electronica Honorary Mention、令和5年度科学技術分野の文部科学大臣表彰若手科学者賞などがある。内閣府ムーンショット型研究開発制度ビジョナリー会議構成員、未踏スーパークリエータとしても活躍。京都市立芸術大学や金沢美術工芸大学などの客員教授も務め、国内外の学術会議やフォーラムで研究発表を続ける。計算機自然論に基づく複合領域研究を推進し、学内外でも科学と芸術の融合を探究している。

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