実写版「白雪姫」にマンガ家ら7人の観客がフクザツな表情を浮かべた理由【ネタバレあり】

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2025年03月30日 12:51  ITmedia NEWS

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 ディズニーの実写映画「白雪姫」が3月20日に公開されました。あまりに不評なのでボクも見に行ってきたのですが、平日の昼間とはいえ、観客がボクを含めて7人しかいなかったことに驚きました。


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 今作は1937年のアニメ映画の実写リメイク作品で、このアニメ版はディズニーを代表する人気作となっています。しかし今回の実写版は、雪のように白い肌が名前の由来だったはずの白雪姫役に小麦色の肌のレイチェル・ゼグラーさんが選ばれたことや、そのゼグラーさんがアニメ版を否定するような発言をしたことなどで公開前から色々と物議を醸していました。そして公開後は作品自体の評判も悪く、初週の興行収入も苦戦しているようです。


●【以下、ネタバレありです。ご注意ください】


 今作は1937年のアニメ版をベースに、現代の価値観にアップデートされた新たな白雪姫を目指していたように感じます。でも、それがうまくいっているようには全く思えませんでした。


 今作の白雪姫は、白馬の王子様をただ待つだけではない、強く独立した女性として描かれています。一方の女王はアニメ版と同じく自分の外面の美に執着しているので、白雪姫の命を狙う理由が「内面の美しさ」を怖れてという、なんとも納得しにくいもの。他にもアニメ版から変えた部分とそのままの部分がとにかくかみ合わずにチグハグ、そのせいでキャラの言動もブレブレで、かなりお粗末なストーリーになっています。


 強い白雪姫の他にも、白馬の王子様は出さない、代わりに多様性にあふれた山賊集団が登場するなど、思想的なメッセージが全編を通してかなりノイズになっているのも気になりました。その強い白雪姫の表現も、ゼグラーさんの仕草や表情も相まって、個人的には気品や内面の美しさを感じられませんでした。詳しくはマンガをご覧ください。


 古典作品を時代に合わせてアップデートすること自体は個人的には重要だと思います。しかし大前提として、原作の魅力をしっかり伝えることは忘れてはいけないとも思います。今回の白雪姫ではゼグラーさんの発言をはじめ、劇中で白馬の王子様を否定するような言動を繰り返すなど、アニメ版へのリスペクトが感じられないことも不評の要因だと思います。


 今回、久しぶりにディズニー映画を見たのですが、ここまで思想的な部分を強くアピールするようになっていたのかと、正直かなり驚きました。リメイクできる名作はまだまだあると思いますが、今後は原作ファンも納得できるリメイクを作ってほしいと思います。とりあえずは6月公開の「リロ&スティッチ」には期待したいです。


●著者紹介:サダタロー


1998年にテレビ番組「トロイの木馬」出演をきっかけに漫画家デビュー。代表作は「ハダカ侍」(講談社、全6巻)、「ルパンチック」(双葉社、1巻)、「コミックくまモン」(朝日新聞出版、既刊7冊)など。現在、熊本日日新聞他で4コマ漫画「くまモン」を連載中。Pixivはsadataro、Twitterは@sadafrecce。


●連載:サダタローのゆるっと漫画劇場


漫画家のサダタローさんが、世界初の電脳編集者「リモたん」と一緒に話題のアレコレについてゆる〜く語るまんが連載。たぶん週末に掲載します。連載一覧はこちら。過去の連載はこちらからどうぞ。



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  • 「スピルバーグのキャリア最大の失敗はゼグラーをデビューさせた事」言われてて草。
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