
3月の代表ウィークで、アジアで日本とイランが、南米ではアルゼンチンが、そしてオセアニアではニュージーランドが各大陸予選を突破。来年6月11日から7月19日にアメリカ、メキシコ、カナダの3カ国で開催される北中米W杯の切符を手にした。
そんななか、出場枠の3分の1を占める最激戦区のヨーロッパでは、ようやくW杯予選の幕が切って落とされた。
北中米W杯では、1998年フランス大会から継続されてきた出場枠32が一気に16枠拡大され、開催国3チームを含めた計48チームが参加する。その影響でヨーロッパの出場枠も従来の13から16に増加したため、予選方式に変更が加えられた。
2018年ロシアW杯後にスタートしたUEFAネーションズリーグの成績を加味するようになった前回カタールW杯のヨーロッパ予選では、参加55チームが10グループ(5チームのグループが5、6チームのグループが5)に別れてグループステージを戦い、各グループ1位が本大会にストレートイン。各グループ2位10チームに、UEFAネーションズリーグ(2020−2021)の成績によって権利を得た2チームの計12チームがプレーオフステージを戦い、勝者3チーム(ウェールズ、ポーランド、ポルトガル)にも本大会出場権が与えられた。
しかし、ロシアを除く54チームが参加する今回の予選では、12グループ(4チームのグループが6、5チームのグループが6)でグループステージを行ない、各グループ1位の12チームが本大会にストレートイン。残り4枠をプレーオフで争うことになる。
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そのプレーオフには、各グループ2位の12チームと、UEFAネーションズリーグ(2024−2025)の成績によって権利を得た4チームが参加。16チームを各4チームで構成される4グループに分け、それぞれでノックアウト方式のトーナメントを戦い、各グループの勝者4チームに本大会出場権が与えられることになっている。
グループ数が10から12に増えたことで強豪が分散する格好となり、各チームの試合数が減少したことが、大きな変更点となる。ポット1に配置されるような強豪チームが予選落ちする確率は、確実に低下したと言っていい。
【1位通過が濃厚な"4強"】
とりわけ予選方式変更の恩恵を最も受けたのが、現在進行中のUEFAネーションズリーグで準決勝(ファイナル4)に進出し、4チームからなるグループに配されたドイツ、フランス、スペイン、ポルトガルだ。
予選グループAに入ったドイツ(最新のFIFAランキング10位、以下同)の対戦相手は、スロバキア(41位)、北アイルランド(71位)、ルクセンブルク(92位)。グループDのフランス(2位)の対戦相手はウクライナ(25位)、アイスランド(70位)、アゼルバイジャン(117位)。グループEのスペイン(3位)はトルコ(28位)、ジョージア(68位)、ブルガリア(82位)と、グループFのポルトガル(6位)はハンガリー(30位)、アイルランド(60位)、アルメニア(100位)と、それぞれグループステージを戦う。
各グループの顔ぶれを見る限り、ドイツ、フランス、スペイン、ポルトガルの1位通過の可能性は相当に高いだろう。
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ただ、4チームで構成される他の2グループは無風とは言いきれない。グループBではスイス(20位)とスウェーデン(27位)が同居し、スロベニア(55位)、コソボ(99位)と対戦。グループCもデンマーク(21位)が優勢と見られるものの、ギリシャ(39位)、スコットランド(45位)が同居し、これにベラルーシ(98位)を加えた激戦区を戦う。試合数が減っただけに、1試合も油断はできない。
ちなみに、4チームで構成される上記の6グループはまだ予選は始まらず、今年9、10、11月の代表ウィークで全6節が行なわれる短期決戦となっている。
一方、5チームで構成されるグループGからグループLまでは、3月の代表ウィークから予選が始まった。
そのなかで、順調に勝ち星を重ねたのがグループKのイングランド(4位)だ。初戦の相手アルバニア(65位)に2−0で勝利すると、続くラトビア(140位)も3−0で一蹴。トーマス・トゥヘル新体制下の船出は視界良好で、次節(6月7日)で対戦するアンドラ(171位)に足元をすくわれる可能性も低い。ライバルとなり得るとすれば、次節から参戦するセルビア(32位)くらいか。
【イタリア、3大会ぶりの出場は?】
同じく2連勝スタートを切ったグループGのポーランド(35位)は、次節から最有力候補のオランダ(7位)が参戦するため、油断はできない。オランダとの直接対決2試合が1位通過を決める山場となるが、フィンランド(69位)、リトアニア(142位)、マルタ(168位)との試合では確実に勝ち点3を稼ぎたいところだ。
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最大の注目は、直近2大会で予選敗退を喫しているイタリア(9位)が最有力と目されるグループIだ。同グループでライバルと見られるのが、すでに3月の予選で2連勝を飾っているアーリング・ハーランドを擁するノルウェー(43位)で、その他にイスラエル(76位)、エストニア(123位)、モルドバ(151位)が同居する。
グループHは、6月の代表ウィークで初戦を戦うオーストリア(22位)が最有力で、ルーマニア(38位)、ボスニア・ヘルツェゴビナ(74位)、キプロス(130位)、サンマリノ(210位=最下位)の5チームで構成される。ちなみに、3月の予選ではボスニア・ヘルツェゴビナが連勝スタートを切った。
ベルギー(8位)、ウェールズ(29位)、北マケドニア(67位)、カザフスタン(110位)、リヒテンシュタイン(204位)が同居するグループJでは、6月に初戦を戦うベルギーが最有力。ウェールズは今回もプレーオフ経由での本大会出場を目指すことになりそうだが、3月の第2節で引き分けた北マケドニアがライバルになる。
そして6月から参戦するクロアチア(13位)が最有力のグループKは、3月の予選で連勝したチェコ(42位)とモンテネグロ(73位)がライバル候補。フェロー諸島(137位)、ジブラルタル(196位)との試合で取りこぼしをするような事態が発生したチームは、予選突破が遠ざかると見ていい。
果たして、来年のW杯本大会の出場権を獲得する16チームはどこになるのか。
グループステージは11月の代表ウィークに終了し、12チームの本大会出場が決定。残る4チームを決めるプレーオフは、今年12月の本大会組み合わせ抽選会の後、他の地区による大陸間プレーオフが行なわれる来年3月の代表ウィークに行なわれる予定だ。