【ハイキュー‼×SVリーグ】VC長野の飯田孝雅は烏野の縁下力のように「逃げない」 大きな壁に立ち向かう

0

2025年03月30日 18:30  webスポルティーバ

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

webスポルティーバ

写真

『ハイキュー‼』×SVリーグ コラボ連載(45)

VC長野トライデンツ 飯田孝雅

(連載44:VC長野の安原大は「ゴミ捨て場の決戦」に「胸熱」 高橋藍がいた日体大で「やる気」が出た理由とは?>>)

 今シーズン発足したSVリーグでは、「世界最高峰を目指す」という号令の下、各クラブは攻撃の切り札であるオポジットに有力外国人選手を補強した。ニミル・アブデルアジズ(ウルフドッグス名古屋)、フェリペ・モレイラ・ロケ(広島サンダーズ)、ドミトリー・ムセルスキー(サントリーサンバーズ大阪)、シャロン・バーノン=エバンズ(日本製鉄堺ブレイザーズ)など、総得点ランキングの上位は外国人選手ばかりだ。

 結果、日本人オポジットは厳しい競争を余儀なくされているが......。

「一番手は難しい、とは思っていますけど、"チャンスは必ずくる"と思っています」

 VC長野トライデンツのオポジット、飯田孝雅(23歳)は毅然として言う。身長200cmを超えるデンマーク代表オポジット、ウルリック・ダールは長野の得点源で、日本代表の西田有志、宮浦健人にも匹敵する得点を記録している。

「スタートで出られないというのは、モチベーションを高める上で難しいところはあります。でも、サーブ、ブロック、出たら何でも仕事ができるように準備して待つだけですね」

 飯田はそう言って顔を綻ばせた。腹を括っているのだろう。人生、逆境を乗り越えてきた自負があるのだ。

「負けたくない」

 その反骨が彼を強くしてきた。

 飯田は今も、バレーボールとの邂逅を覚えている。中学校では、生徒は必ず何かの部活に入らなければならず、当初はテニス部か卓球部を候補に考えていたという。だが、小学校時代から一緒だったひとつ上の先輩に誘われ、バレーを体験した。

「1日目の体験が、めちゃくちゃ面白かったんです! 初めてだったんですが、ボールコントロールは下手ではなくて。それで(上級生に)『思い切り打つボールを取ってみる?』と聞かれて、それを戸惑わずに受けたら、ボールが綺麗に上がったんですよ。体験は3日間の予定だったんですが、その日に入部を決めました」

 飯田は興奮を思い出したようにはつらつと言う。レシーブした時、背後には同じく体験に来た生徒たちが並んでいた。ひとりずつボールを受けるなか、彼の番だけ「おー」というどよめきが起こったという。その陶酔が、彼をバレーの虜にした。

 中学でバレーを始めた少年にとって、小学校から続けてきた選手たちは技術的にうまく見えた。身長は180cmあったが、「でかいだけ」とも揶揄されたという。しかし負けたくない一心で、同級生と2人でトスを上げてもらって打つ、を繰り返した。サーブも2人で打ち続け、やがてスパイクもサーブも武器になっていった。

 中学3年の時、次のターニングポイントを迎える。全日本インカレ決勝、石川祐希を中心に無双を誇っていた中央大に、東海大が挑戦する試合を観た。石川や中央大の強さに憧れる人が多かったはずだが......。

「当時の中央大は確かに最強でした。でも、その相手に向かって"絶対に倒す"と挑む東海大が格好よかったんです! それで、東海大に行きたい、東海でバレーがしたいと思ったんです」

 反骨精神は、彼の軸のひとつなのだろう。高校進学でも、その性分が出た。

「当時、千葉では習志野高校が強くて、20年くらい(千葉代表で)春高バレーにも出ていたと思います。自分は市船(市立船橋)を選んだんですが、それは『習志野を倒したい』と思ったから。うまくいかない時のほうが多かったんですけど、『倒すぞ』という気持ちで頑張れました。結局、1回も勝てませんでしたが、もし習志野に行っていたら、あそこまで頑張れたかはわかりません」

 不屈の血が彼を鍛えてきた。捲土重来で立ち向かう姿勢は、戦いを次につなげた。

 そうして入学した東海大でも、とことん走り込んだ。精神論と言われようと、「やらずに負けるのは嫌だ」と全力を尽くした。そして「フルセットに強い」という伝統を守った。

 SVリーグでも、飯田は大番狂わせを演じる楽しさを満喫している。不屈の精神で立ち向かう。コートに立つ彼は、いつだって逆境を覆すのだ。

【飯田孝雅が語る『ハイキュー‼』の魅力】

――『ハイキュー‼』、作品の魅力とは?

「中学2、3年の時にアニメがスタートしたと思うんですが。すでにバレーをやっていたので『(バレー部の)みんなで見よう』と夢中になりました。移動の車で同級生と一緒によく見ていましたね。その後、漫画でも読みました」

――共感、学んだことは?

「(キャラクターが)みんな、諦めないところです。諦めそうになることもあるけど、やっぱり諦めない。そこに共感しました」

――印象に残った名言は?

「烏野の縁下(力)の『逃げる方が絶対後からしんどいって事は もう知ってる』ですね。和久南戦、縁下はキャプテンの代わりに入り、プレー以外でも頑張る姿を見せて、それでみんなが奮い立つ。あれはいいですよね。VC長野も"誰が出ても戦える"というのが目標なので」

――好きなキャラクター、ベスト3は?

「やっぱり、縁下が1位です! 2位は白鳥沢のウシワカ(牛島若利)。同じオポジットだし、あの強さはすごいです。ストイックなのもいいですね。3位は烏野の山口(忠)。僕もサーブが得意なんですけど、山口もピンチサーバーで出てくるじゃないですか。うまくいかないこともあったけど、それを乗り越えて春高で活躍する。葛藤して成長しているところに共感します」

――ベストゲームは?

「烏野vs和久南ですね。さっきも言いましたが、縁下がとにかくいいんですよ(笑)。他にも、町内会チームとの対戦から"ゴミ捨て場の決戦"など、どの試合もいいんですけどね」

【プロフィール】

飯田孝雅(いいだ・こうが)

所属:VC長野トライデンツ

2002年1月19日生まれ、千葉県出身。183cm・オポジット。中学からバレーを始め、市立船橋高校を経て東海大に進学。大学4年時に主将を務め、チームを全日本インカレ3位に導く。2024年、VC長野トライデンツに入団した。

    ランキングスポーツ

    前日のランキングへ

    ニュース設定