製造業の企業が、今後3年間で最も重要視している課題は「人材不足」(78%)。日本能率協会(東京都港区)が実施した「当面する企業経営課題に関する調査」で分かった。
●製造業が直面する「4つの課題」とは? DX・AI活用がカギ
重要視している課題の2番目が「資材価格高騰」で72%、3番目が「エネルギー価格高騰」で48%となった。人材不足と資材価格高騰については、特に売上高50億円未満の企業で、最も高い割合を示している。一方、売上高500億円以上の企業では60%台前半となった。
中期経営計画の達成状況について、「達成していない」と回答した企業は55%に。過去最高の利益を更新できたかについては、「更新できた」が28%、「更新できていない」が52%と半数を超えている。
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既存事業の課題解決のために取り組んでいる施策については、1位が「DX・AI活用推進」(52%)、2位が「高効率設備の開発・導入」(50%)、3位が「従来難しかった工程や作業の自動化改革」(43%)となった。
約2割の企業が「グリーンエネルギー」や「サステナブル商品の開発」に取り組んでいることも分かった。
事業発展・成長の仕組みの観点から、製品や事業の「選択と集中」ができているかについては、69%の企業が「できている」と回答した。
一方で、「できていない(していない)理由」については、「市場や顧客ニーズの変化に対応できていない」(51%)が最多に。「データ分析能力や意思決定体制に課題がある」(43%)、「予算・人材の制約により意思決定に必要なデータ分析ができていない」(38%)が続いた。
「選択と集中」の結果、見直し対象となった事業については、全体の44%の企業が「採算が見込めなくなるまで継続」と回答した。一方、売上高500億円以上の企業では、「事業を撤退」(39%)、「譲渡する」(22%)の割合が高かった。
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●大企業ほど環境リスクを重視
事業発展・成長につながる技術開発の方針と生産戦略について、70%以上の企業が「ある」と回答した。特に、売上高や利益が過去最高を更新している企業で高い割合となっている。
具体的な施策については、技術強化の重要施策は「技術・開発人材の育成」(57%)、生産技術・製造強化の施策では「工場全体の革新に向けた工程編成・整備革新・レイアウト・部品物流の設計および導入」(38%)が最も多かった。特に、売上高50億円未満の企業では、これらの施策がより高い割合で重視される傾向が見られた。
温室効果ガス削減が課題になっている、または自社活動の環境への影響を考慮するとした企業は、それぞれ67%に達した。一方、気候変動が課題と回答した企業は58%だった。売上高500億円以上の企業では89%に達し、大企業ほど環境リスクを重視する傾向が見られた。
調査は、同社の法人会員ならびにサンプル抽出した製造業主要計7616社の代表者または製造部門の責任者を対象に、インターネットで実施した。回答数は702社で回答率9.8%。期間は2024年9月27日から10月18日まで。集計結果は百分率(単位:%)で表示し、小数第1位を四捨五入しているため、合計値が一部合わない箇所がある。
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(小松恋、アイティメディア今野大一)
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